大石久和のレビュー一覧
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ネタバレ『なんで家族を続けるの?』(内田也哉子 中野信子)で、
「(日本は)豊かに見えるけれども、耕作面積は少ないし、災害にも遭いやすいし、資源も少ないし、意外と潜在的には貧しい国」という一文が気になった時に、
「日本人って、災害大国でどうやって過ごしてきたんだっけ??」と気になって手に取った『国土と日本人』(大石久和)。
災害をテーマとして読もうと思って開いたのですが、
土地開発や日本人の特徴に関する面も読めて楽しかったです。
欧米との比較で「これだけ違うんだ!」って思った…。
弓状列島の中央を脊梁山脈が縦貫している事によるインフラ整備や気象災害対策の難しさについての話、
欧米人が日本 -
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旧国土庁での実務経験も持つ著者が、日本の国土の特徴や課題を、縦軸(歴史)と横軸(世界との比較)の視点から分析する。
キーワードは、「国土に働きかけ、国土から恵みを返してもらう」こと。
日本には、列島の自然条件の脆弱さ(山脈や川により分断され、平野が少なく、地震や台風、豪雨に見舞われやすいことなど)や、所有権絶対の観念(公共事業に多大なコストがかかる)といった事情に由来する国土の「使いにくさ」がある。
今後は、他国との経済競争に遅れないためにも、将来世代により良いものを残すためにも、道路、港湾、空港、河川といったハード面の課題や、首都機能の分散や地域間連携といったソフト面の課題(いずれにせよ、 -
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日本が特殊な国家だと認識しているつもりだった。しかし、改めてこう説明されると景色が全く違って見える。
「国土」が特徴的なのは頭では理解している。
「島国」というだけでも日本は特徴的だが、それを「周囲が海で囲まれている」程度にしか理解していないとすれば「本質が見えていない」と言われても仕方がない。
本書では「日本」という国の特殊性について、極めて論理的に説明してくれている。
それは「海外との比較」を行うことでしか気付けない。
普段「周囲が海」を認識していても、それが他国とどう違うのか。何が本質的に異なるのか。そこまで踏み込んで考えない。
だからこそ、久しぶりに読み応えのある書籍だった。
日本は自 -
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戦争が国歌の舞台 フランス、イギリス、アメリカ
流れる歴史 天為の日本 変化の瑣末化 災害死史観
積み重なる歴史 人為のヨーロッパ 紛争死史観 正義の殺戮
10の厳しい自然条件
細長 4島分割 山脈分断 不安定地質 狭い平野 軟弱地盤
大地震 集中豪雨 台風 積雪
大軍が来れないが文明は吹きだまり 広い対馬海峡 180km(ドーバー海峡30km)
BC2600年から今日まで
世界の平和は292年 14531回の戦争で30億4000万人が殺された(ランド研究所)
都市城壁
City ラテン語 civitas キビタス=壁の中に人が密集
国 國=くにがまえ+戈ほこー武器を持 -
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ネタバレ人間と土地のつながりについて調べるため、日本人と土地はどのようなつながり方をしているのか、の論を学ぶため、購読。
・日本は、度重なる災害などにより、「流れていく」歴史を持つ、一方、ヨーロッパは、「積み重なる歴史」
・日本は天為の国、ヨーロッパは人為の国。
・国土に働きかけて、国土から恵をいただく
・日本は国土を脊梁山脈が分断しているため、日本海側と太平洋側を結ぶことが困難。
・日本は、争うこと自体を悪しきものとし、話し合いを経て「共」にあるということを尊ぶ文化。一方のヨーロッパは、革命を経て権利を獲得した市民が、個々人の利益に優先する「公」のもとにルールを守る文化。
―以上は、どち -
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日本人といっても全体としての論議だから説得力が弱い部分も感じるが、大陸から文化は入ってくるけれども人が大勢押し寄せてくることはない距離が離れており、山がちで平野が少なく、自然災害が多いといった国土の特徴が、日本人の気質をつくってきたというのは、その通りだろう。
マシュー・ホワイト「殺戮の世界史」では、日本での虐殺は、島原の乱が記載されているのみで、2万人の男性信者と1万7000人の女性と子供が殺された。
小さな平野が分散している日本では、強大な権力は生まれなかったため、仲間内の徹底した話し合いによって地域をまとめた。顔見知り仲間での緊張を高めないことが優先されたため、厳密なルール化とその厳 -
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大学は理系に進みましたが、高校時代は歴史も地理も大好きでした。特に、高校時代に地歴図という副教材があって、地理と歴史は繋がりがあるのだな、という漠然と感じていました。
そんな私にとって、まさにこの本は、千載一遇の出会いでした。災害により大量の仲間が瞬時に亡くなってしまうことを何度も経験してきた日本人だからこそ持つ気質というのは、地形や気候がかなり影響していることがよくわかりました。
その観点からすると、良いとは思えませんが、大量虐殺の歴史を持つ国にも、地形や気候から考察できるような気持になりました。この本を読むことをで、今までとは少し違う目線で物事を見ることができるようなった気分です。この -
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ネタバレ【内容】山地が七割を占め、地震や台風にしばしば見舞われる日本。この試練の多い土地に住みついた日本人は、古来、道を通し、川筋を変え、営々と自然に働きかけてきた。私たちが見る風景は、自然と人が共に造り上げたものなのだ。本書は、まず日本の国土の地形的・社会的特徴を明らかにする。さらに大震災に見舞われ、財政危機にある今、海外に伍して豊かな国土を築き上げ、日本人が再び活力を取り戻すために何が必要かを提言する。 (「BOOK」データベースより)
【感想】いま、いわゆる土木行政に携わる仕事をしている。せっかくなので、その関係の本を読んでみようと手に取った。
日本の国土形成の歴史からはじめ、日本列島の自