マイケル・ピルズベリーのレビュー一覧
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CIAの職員として、中国と友好関係を結ぶために長く働いてきた著者の自伝のようなもの。
悔恨の書というか懺悔の書というか、個人としてはそのような趣きがあるとしても、政府が発刊を許したのは、ここから反撃を始めるぞ、という狼煙の役割もありそう。
米中の橋渡しが著者の仕事だったとは言え、日本の姿がまったく見えないこの半世紀の記述である。
せいぜい尖閣でのせめぎあいなど、チャイナが牙を見せ始めてからの一例として登場するくらい。
この存在感のなさが「戦後レジーム」なのだな、とつくづく。
また、チャイナの側も日本のことなどまったく歯牙にもかけていないのが伺い知れる。
それは、別にチャイナのGDPが膨張し -
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親中派の著者(マイケル・ピルズベリー)が、中国の軍事戦略研究の第一人者となり、親中派と袂を分かち、世界の覇権を目指す中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになるまでの記録。
以下、本書より元防衛大臣・森本敏氏の解説。
本書は米国における中国専門家として著名であるばかりでなく、米国政府の対中政策に最も深く関わってきたマイケル・ピルズベリー博士の中国論。
ピルズベリー博士は実際、本書の中で「ニクソン政権以来、30年に渡って政府機関で働いていた中国の専門家として誰よりも中国の軍部や諜報機関に通じていると断言できる」と自負している。
その本人が本書の冒頭で、米国は中国の国家戦略の根底にある意図を見抜く事 -
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原題はthe hundred marathons 100年マラソン。
アメリカのインテリジェンスに籍を置いていた中国専門家による中国の戦略に警鐘を鳴らす一冊。
はっきり言って、翻訳がイケてなく読みづらい。だがそれも、中国文化・歴史観に全く馴染みのない欧米人が読んだときの「捉えどころのなさ感」を共有する舞台装置、ともとれる。
三国志など色々な中国歴史古典に親しみ、文化的にも近い我々からすると然もありなん、なところもあるが、全く文化的親和性のない、歴史の浅い、欧米人には、きちんと言葉で説明されてもなかなか理解しづらいのではないだろうか。
著書自身が中国に対する評価の転換、自らの分析や判断の誤りを認 -
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中国の野望について警告する書。書いてある内容はにわかには信じられないものだ。中国共産党による国家樹立から100年、2049年に中国が世界の覇権を握る計画があるというものだ。確かに、最近の中国の言動を鑑みると、米国と伍するような状況になりつつあるようにも思える。本書は米国が引き続き覇権を握るためにどのようなことに気を付けるべきか警鐘を鳴らしている。では、日本はどうするべきなのかは書かれていない。米国の同盟国として、フィリピンやベトナム、モンゴルと協調することくらいしか書かれていない。米国が持つ駒のひとつという扱いだ。まあ、そこは軍隊を持たない日本なので、仕方ないかもしれない。ただし、日本が集団的
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『China 2049』
・中国(共産党)はいずれ崩壊する
・文革以降、中国は伝統を顧みない別の国となった
といった認識をひっくり返す一冊。
10年以上、関連書籍が散々煽るも全く崩壊せずに成長を続ける中国。何かおかしい、騙されているのでは、という漠然とした感覚への解答。
プロパガンダと切り捨てるには腑に落ちすぎる。
アメリカは中国の姿を冷静に捉えていると思っていたが、日本と同様、いいように操られていたとは。
著者がアメリカの無謬性を何の疑問もなく展開しているのには引っかかる。日本から見ればアメリカも同じようなところはある。しかし、ニュースを見ていればどちらの脅威が大きいかは自ずと見えてくるだろ -
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Posted by ブクログ
中国が虎視眈々と世界の覇者たる地位を築こうとしていることを教えてくれる本。過去(中国の歴史)の例に倣い、野望は表に出さず、2049年を目途に米国をしのぐ国づくりをしているのだそうです。
とはいえ、なぜ著者はこのことを、わざわざ本にしようと思ったのか。あえて口外しないという選択肢もあっただろうに、なぜ?というのが素朴な疑問。本にすることのメリットとは何か。
国レベルではなく、個々人レベルで中国(人)に気を付けろということなのか。
そうこうしている間に、北朝鮮は核実験を実施。中国はこれに遺憾の意をしめしているが、果たして本音は?
ニュースを見る目が変わる、秀逸な本だと思います。 -
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【中国、世界の頂点に向けて…?】
筆者はアメリカの元政府関係者でもあった外交戦略家。書かれたのは2015年、原書タイトルは中国の100年マラソン。
2049年は、共産党成立から100周年のとして、その年を目指した中国の長期的な世界の覇権獲得へ考え方、アプローチが書かれている。
中国のナショナリスト・タカ派の理論こそが、中国の外交アプローチを真に決定づけているものである、とし、中国の歴史を遡って戦国時代の思想家・戦略家の考え方を理解することで、現代中国の世界派遣に向けた長期戦アプローチが見えてくるとする。孫氏や三国志のエピソードが引用されている。
全力でアメリカの視点から書かれた本であること、 -
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拡張の論理、成長軌道の必要性について考える。
脱成長、資本主義の限界、持続社会というようなキーワードが散見され始める中、国家はGDP成長率を求め、株主に対し企業は利益拡大を約束し続ける。人間社会のレースは、相手が成長する限り、立ち止まったものは相対的弱者となり、組織は支配欲を根底に持つから、この防衛本能において成長志向は止まらない。
防衛のための競争。それゆえの成長。だから、競争の構図を読み解く事が人間社会においては、原理原則の出発点となる。国家として、一時的にもこの覇者となり得たのがアメリカ。しかし、圧倒的なはずの覇権国家に対して、二番手以下の利害思惑がバグのように溜まり、トゥキディデス -
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Posted by ブクログ
China 2049というタイトルのとおり、2049年に向けての百年マラソンを含めた、中国共産党や中国人(のタカ派)の真意、行動のとり方の話がメインの本である。
ただ、それらの話は参考にはなるものの、大部分の日本人としては目新しい話ではないと思う。
それよりも、中国に対する米国の関わり方の歴史や、それに対する中国の反応の仕方の変化(本質的には何も変化はなく、表面的な態度の変化があっただけかもしれないが)、相互の(というよりはほぼ米国側のかもしれないが)ミスコミュニケーション、こういった話の方が興味深かった。
日本より格段にレベルが高い米国のインテリジェンス能力も、中国に対してはあまり機能 -
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Posted by ブクログ
覚えているだろうか?
ほんの10年前までは、日本は世界第2位の経済大国だった。今や中国は日本をはるかに追い越し、世界一の座を耽々と狙っている。
この躍進は、世界の工場として海外からの設備投資が集中し、その後、豊かになった国民による内需が拡大したため、といった経済的な説明もできるのだが、実は、中国政府の長期的な戦略に基づく周到な計画のたまものである。
100年マラソンといわれるこの戦略は、西欧により中国は搾取されてきた雪辱を果たすため、毛沢東時代から秘密裡に実行されてきた。
「孫子」「戦国策」といった中国古典においては、謀略を使い、戦わずして勝つことが美徳とされる。100年マラソンにも、 -
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