針生悦子のレビュー一覧
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赤ちゃんは母語を楽に習得しているのではない。単なる連続した音の山から、意味のある音を聞き取り、単語を覚え、文を作るルールを覚えていくのは相当な困難と努力が必要である。周りの大人が優しく喜んで協力して応援してくれてどうにか達成できるもの。
転じて幼少期から英語に触れさせれば自然と努力しなくてもネイティブやバイリンガルになれるという幻想を丁寧に分析していく。そのようなイメージを作ってしまう逸話として、外国に駐在した人が子どもをインターナショナルスクールに通わせたら、半年で現地の子どもと会話をしながら遊ぶようになるのを見て、子どもはすぐに簡単に新しい言語を覚えてしまうんだ、と感じるエピソードがある。その習得までの子供の努力は相当なものだし、実際に現地の子供と同じレベルでの会話ができていたかというのは全く定かではない。ネイティブではない親が外から見て、会話しているように見えただけで、同じレベルでは決してなかっただろうと予想される。その通りだろうな。 -
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赤ちゃんがことばを覚えるしくみ、その不思議で驚くべきプロセスを解説してくれる。
そして、たとえば「小さいうちから英語に触れさせれば簡単に話せるようになる」というような常識はどうやら嘘らしいことも解説してくれる。
海外勤務になった人の子供が、いつのまにか現地の子供たちと喋ったり遊んだりしているのを見て「やっぱり子供は語学の天才だ」と思った、みたいなエピソードがあるが、それは「喋れない親」目線での判定であって、実は全然ネイティブ並みではない場合が多い。調査によればきちんと話せるようになるには3〜7年かかるとのこと。
私たち自身が母国語を話せるようになるまでに「苦労した」実感がないから、このような誤解をしてしまう部分もある。しかし実際には、赤ちゃんは丸一日、毎日毎日、周りで飛び交う「音」を聞き、分析し、真似して、周りの大人たちの必死のサポートも受けて、何年もかけてやっと母語を習熟しているのだ。
その意味では、バイリンガルというのは、ひとつの言語習得にかける時間がモノリンガルに比べて減るわけで、「バイリンガルの中には、モノリンガルが2人入っているわけではない」という説明にも頷ける。
また、発達の早い時期に別の言語環境で生活するようになった場合、母語のレベル(偏差値)が低下するという調査結果もある。それはそうだ、毎日母語の学習を続けている人とそうでない人では、差がついて当然だ。
私が漠然と感じていたことを肯定してもらえて嬉しかったのは、「小学校中学年以降の子供で調べると、母語の力が高いほど、新しく身につけた現地の言語の能力も高い」ということだ。サピア=ウォーフ仮説ではないが、第二言語の学習に際しては、母語を通じて思考するわけだから、(言語に限らず理科でも社会でも数学でも)読んだり聞いたりして学んだことの意味をどれだけ掴めるかは、母語運用能力と無関係ではないよな。
我が子よ、国語を頑張れ。 -
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ネタバレ周囲で0歳から英語を習わせる親御さんたちがあまりに多く、少し不安になり、手に取った。
結論。苦手意識を持たない程度にほどほどに触れるくらいでちょうど良いのかな、と思った。その後は、文法などをきちんと勉強してから、本人が必要だと思えばきっとなんとかなるはず…。
赤ちゃんの言語学習が決して楽ちんではないことがよくわかった。その中で必要のない聞き分けはしなくなっていく。バイリンガル環境で育つ子どもは一時的にどちらかの言葉でしか使わない音を聞き分けられなくなるという研究結果には驚き!その後、聞き取りの絶対量が増えると、両方聞き取れるようになるようだが…。ただ、バイリンガル環境で一見しゃべれるように見えても、本当に第二言語がネイティブに追いつくレベルになっているのか判断できているのか、母語の方のレベルが相対的に低くなっていないか、という観点は大事…。 -
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自分が赤ちゃんを育てるようになって、
改めて人間の脳や心理の発達について興味を持つようになった。
知りたい、という単純な欲望から本を読むことの面白さ。
日本語は大事にしたい、とはなんとなく思っていたけれど、
それを科学的・論理的に説明してくれて、スッキリ。
母語で考えて、外国語を学ぶ。
人は言葉で考えるのだから、
知らないこと、知らない気持ちを
自分で発見したり、相手に伝えたりできるように、
我が子には日本語は深く大事にして欲しい。
それにしても、赤ちゃんってひとつの単語を習得するのにも、
とっても考えてもがいているのだなぁ。がんばれ~~!がんばろ~~! -
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娘が生まれたので、赤ちゃんはどのように言葉をおぼえていくのかな、というところが気になって手にとりました。
具体的な実験方法からその考察まで書かれており、そういった意味では結構学術研究的な内容ですが、興味深い実験も多く、個人的には面白く読めました。
名詞の基礎カテゴリーを即時マッピングしていくという能力にすごい!と感心したり、一方で、動詞や形容詞の意味をいろいろなヒントを得ながら学習していくのにもすごい!と感心したり。
自分もどのように日本語を学習してきたのかもちろん覚えていませんし、今まさに学習している子どもたち自身もその仕組みはもちろん分からないわけで、それを明らかにしようとさまざまな実験を考えて実施・考察している言語学者の方はすごいなぁと思いました。これからさらに解明が進んでいくのが楽しみです。
外国語学習にとっても示唆に富んだ内容があり参考になりました。「同じ意味領域に属する単語を一度に学習し、母語との違いを学習者が考えること」で学んでいるその外国語の意味領域の全体像をつかめる、と。 -
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赤ちゃんが言葉を覚えるとき、効率よく学習するため、生まれ持ったバイアスを適用して、語が表すことの可能性を絞る。単語の種類によってかけるバイアスが異なる。
名詞の場合、同じような形をしたものは同じ名前を汎用して適用する。
しかしこれだと粘土などの物質名の学習が妨げられるので、柔らかそうなものには形バイアスは使わないなど、うまく適用している。
初めてあれはコップだと聞いた時に、コップのことなのか、ガラス製のもののことなのか、そのものの固有名詞なのかは区別できないが、うまくバイアスを使って驚くほど正確に一度で覚えられる。
動詞の場合、AがBを持つ等、関係する後の数が多いので安易には汎用せず、多くのパターンを覚えてそこから共通の部分を抜き出して学習する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもが生まれ、いつから話し始めるのか、話し始めるまでにどのように言語を習得するのかに興味を持ち、手に取りました。
今、0歳の我が子に最も話しかけている単語は子ども自身の名前ですが、それが自分の名前だとどうやって認識するのだろう?そもそも「名前」という概念をどう知るのだろう?また私のことを「お母さん」とどうやって紐づけるのだろう?不思議でたまりません。
上記の問いに直接的な回答はありませんでしたが、ヒントとなる研究はいくつか示されていました。
・7〜8ヶ月ごろは「指差し」の意味(指された先を示していること)を認識できず、人差し指を向けた手をじっと見つめるだけだが、1歳半ばにもなると対象に注意を向けてそれを調べる、という意味だと理解し、指を指された方向に首を向けることができる
・1歳から初めて触れるモノへの振る舞いに迷うと近くの人の反応(表情や声)を参考にする(社会的参照)
・1歳後半から子どもが語彙爆発を起こすのは、視線や指差しを手がかりに相手が示そうとしているモノを確実に探せるようになり、言われた単語は常識的にはモノの名前だということもわかるようになる両方の結果である
など。
赤ちゃんが、「名詞」や「動詞」などの文法はもちろん、「言葉」という概念すら持っていない0歳の頃から必死で周りで話される言葉を聴いて、その人の様子を観察し、それがどのようなルールや常識に沿って発せられているのかを掴み取っているのだと知り、思わず我が子に「頑張ってるんだね、すごいね」と声をかけてしまったほどです。
ふにゃふにゃして「うえええん」しか言わない我が子が、「何も知らない」ところから、凄まじい努力を通して仮説を立てては試して反応をみて学習し、これから言葉を獲得していくんですね。今、このことを知れたおかげで、約1年後、初めて単語を発した時の感動が倍増しそうです。
すでに色々なことを知っている大人の私が何かを学ぶとき、「難しい」だの「めんどくさい」だの、弱音を吐いている場合ではないなと思いました。 -
Posted by ブクログ
なんだかちょっとまどろっこしいです。同じようなことが何度も書かれていて……。学術書といった感じです。子供の語彙についてどのような実験を行っているのかを知りたい方には良いかもしれません。
子供がなにもない状態から言葉を学ぶとき、「形の似たものを同じ名前で呼ぶ」みたいなある種のバイアス(本書ではメタ知識と呼ばれています)を持っているから、一度新しい言葉を聞いただけですぐにその言葉を(他の対象にも)使えるようになる、とのこと。
以前『ことばの発達の謎を解く』を読んだときのほうが感動が大きかった気がします。内容的な問題なのか、読解力の問題なのか……。 -
Posted by ブクログ
難しかった〜〜。
論文等、難しい文章を読み慣れているような方からしたら読みやすいのでしょうが、普段エンタメ小説ばかり読んでいる私には読むのが大変でした。
しかししかし、内容はちゃんと理解できて、とても興味深かったです。
普段当たり前に話している日本語ですが、たしかにこのクオリティで話せているのすごすぎるよな〜と思いました。
ぱっとわかりやすく印象的だったのは、実験の方法が素晴らしいなあということです。
界隈の方からしたら当たり前なのかもしれませんが、実験を正確に行うということ自体がそもそもとても大変なことだと気付きました。
今後も言語に関する本は読んでいきたいと思います。
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一つ一つの単語の意味を学ぶと言うことは単語が属する意味領域全体のマップの中でその単語の位置づけを学び,さらに領域の中で隣接する他の単語とどう違うのかを理解し,他の単語との意味範囲の境界を理解することであることは,外国語を学習する時にも同じである。
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