ヴェルヌのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
秀逸で分かりやすく面白い。
物語としても素晴らしく、翻訳も本当に素晴らしい。
ただ語学的にただしく訳しただけでは作品にならない。音符通りに正確に弾いただけでは音楽にならないのと同様に、という言葉に痺れた。
そこに、翻訳の「美学」を感じる。
物語に登場する博士に対して、不安や恐怖からそんなことはあり得ないと批判を繰り返していた博士の甥が、そんなあり得ないことが現に自分の目の前に起こってしまった時の頭の中の感情と思考のメーターの振り切れようが半端ではない。
否定していた人間が今度は打って変わって、先陣をとって博士をも置き去りにする勢いで突き進む人間になってしまった。
反動で余計に -
Posted by ブクログ
2018年30冊目。
小学生の頃、ヴェルヌの『海底二万里』を渡されて、ほとんど読まずに放棄していたことを思い出す。
これだけ想像力が刺激され、未知の世界にワクワクできるヴェルヌの作品を逃していたことを後悔。
『地底旅行』は、大人になって読んでも心踊る、素晴らしい本だった。
危険な地底への旅に邁進する鉱物学者の叔父リーデンブロック教授のキャラクターが強烈。
科学者でありながら、旅にとって不都合で、旅を差し止めるような危険性を示唆する理論には真っ向から反対。
自分が進むべき理由だけを盲信して突き進む。
なんだかドン・キホーテみたいだなと思いながら読んでいたら、役者あとがきにも同じことが書かれて -
Posted by ブクログ
ネタバレ漂流した少年たちが規律をしっかり守ることで生き延びる様子が印象的だった。彼らは寄宿学校の生徒なので合理的に考え行動できる。また、生徒ではない見習い水夫の黒人のモコが調理能力があり、食事を美味しく楽しく食べることが出来たのも高揚感を覚えた。皆年齢が8〜14歳で家族が恋しかっただろうによく頑張って乗り越えた。健康や清潔にも気を遣えて偉い。それに、植物や動物の食べられるものを知っているのも賢い。食べられるかどうか分からなければ諦めるしかないが、知識のおかげで食べられるものが増えると心強いし嬉しかっただろう。エヴァンズ航海士が島の名前を少年たちに教えたときは安堵感で胸が満たされた。あの場面は希望の光が
-
Posted by ブクログ
言わずと知れたヴェルヌの名作。
とにかく長い! でも飽きさせない! 少年たちの冒険にワクワクしながら読める本。
【ネタバレあります】
いや、正直言って私は最初の方は飽きそうになりました。だって、無人島の描写がこれでもかと続くんだもん。そして、子どもたち、物資に恵まれすぎ(お酒飲むし!)、落ち着きすぎ知識持ちすぎ(普通のローティーンは壊れた船を有効活用したりできないし、食べられる植物とか見分けられないよ)。「そんなわけあるかい」と思いながら読んでしまうところがね、多少はありましたよね、ええ。
ただ、ジャックのウジウジした感じに「も、もしかしてお前か? お前のせいなのか?」というドキドキが高 -
Posted by ブクログ
この物語が作られたのは19世紀末のフランス。
その後多くの国の言葉で翻訳され、子供から大人まで、多くのひとの冒険心をくすぐる。
絵画であれば美術館で飾られ、音楽であれば「クラッシック」とカテゴリされるところ、本は紙に印刷されることで、今でも多くの人へ作者の意図そのまま愛されることができる。
もちろん「絶版」として一部のマニアの嗜好品となるものもあるが、読む人が多ければ変わらずに世に出続ける。
この、石川湧訳角川文庫版も既に60年以上重版され続けているし、他の出版社からも多くの翻訳版が存在する。
もうそれだけで感動に値する。
本の神様、ありがとうございます。