本郷恵子のレビュー一覧

  • 怪しいものたちの中世

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    ネタバレ

    世界の辺境とハードボイルド室町時代とこれと、私が高校大学の頃習った中世から近世の前までのイメージが今はずいぶん違うんだな。
    怪しいものの必要性がおそらくネットの今とは大きく違うんだろうけれど。何かどんなふうに校正の歴史研究者に今が読まれるのか結構気になってきた。

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    2016年02月16日
  • 選書日本中世史 3 将軍権力の発見

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    権力を定義するのはとても難しい。まして、将軍と言う日本独特の地位を表現するとは。しかし、それを文書解析から解き明かそうとする人がいて、しかもそれに説得されてしまうとは。恐るべし。

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    2011年05月03日
  • 買い物の日本史

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    【書名】
    買い物の日本史
    本郷恵子

    【本を手に取った動機】
    夫である本郷和人氏の著書を読んでみて面白かったので、妻でもあり同僚でもある本著者の書籍を読んでみたくなった。

    【印象に残ったポイント】
    ・承認欲求の満たし方、官位を寄付を通じて得ること。

    ・幕府において御家人の官位を統制するニーズがあったこと
    ここから、寺社勢力とタッグを組んで官位と寄付単価を吊り上げるのは、三角貿易みあって面白い。

    ・元服≒成人
    いろんな前提の違いはあるが、一人前になって元服し大人となる。所定の年齢まで生きてたら大人扱い、の現代とは異なる。
    わたしは昔の基準に照らすとちゃんとした元服後の大人なんだろうか?

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    2025年04月28日
  • 全集 日本の歴史 第6巻 京・鎌倉 ふたつの王権

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     歴史では中世が好きなので、ヨーロッパ中世に関する本はちょこちょこ読んでいたけれど、日本の中世について編年的に論じ掘り下げた本を読むのは、今回が初めて。知らないことばかりで大変勉強になりました。
     文章が堅苦しくなく、たいへん読み易かったです。各章のインターミッションに、平安貴族の男色(なんしょく)についてなどのコラムがあり、分厚い本を読み進める推進力になりました。
     最初の武家政権として船出した鎌倉幕府、源氏三代の滅亡から北条氏の執権政治へ。御成敗式目という極めて先進的な法律を、おそらく世界に先駆けて成立させたにも関わらずうまく運営できなかったり、元寇という未曽有の国家的危機に襲われるも「神

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    2021年01月26日
  • 怪しいものたちの中世

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    自由と悲惨は表裏一体、強者は弱者に。
    そんな中世社会を跋扈した「怪しいもの」とは何者だったのか。
    第一章 中世の博打・・・詐欺を行う者たち。「博打」と行者との関係。
    第二章 夢みる人々・・・卜占も夢も神意の現れ。
    第三章 勧進の時代・・・浄土思想と勧進。永観と重源。
    第四章 異形の親王・・・院政開始から増えた天皇や院の御落胤たち。
              以仁王の子らの運命。清盛は果たして?
    第五章 法勝寺執行の系譜・・・院政を行い、絶大な権勢と富を得た
             白河天皇が造営した法勝寺。その寺院経営の
             中核であった執行たち。信西の息子や俊寛も!
    参考文献有り。系図も複

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    2019年02月26日
  • 買い物の日本史

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    日本の中世(平安時代末~室町時代)までの時代に、人々がなにを求めたのかということをテーマにした本。『買い物の日本史』というから、貨幣史や流通史、市場経済の本なのかなぁと思っていたら、もう少し分野を絞ったものになっている。題名とは違って、語られているレベルもかなり高いし。

    中世で最も人気が高かった商品はなにかといえば、それは「官位」と「極楽往生のためのお墨付き」の二つで、買官と寄進の二つが富を動かす力になっていた……というのは面白いのだけれど、正直に言えば、ちょっと取っ付きにくい部分もあった。それよりも、第一章と第二章、第九章などで語られる貨幣と市の現場と、第十一章の枕草子のような豊富なエピソ

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    2013年09月15日
  • 買い物の日本史

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    内容は、タイトルと多少違い、中世の「成功」と呼ばれた官位売買の話が主で、中世日本の市、貨幣、金融等にも少し触れられている。官位の売買は、その収入を寺社の改修などの費用にあてるように制度化されていた。官位を買うのは、一生に一度の買い物だが、余裕ができると中世の富裕者は、寺社への参拝、寄進を積極的に行っていた。鎌倉時代の地方有力者の日記に残された寄進の記録の夥しさに驚いた。現代人には、理解できない堅固な信仰心である。ホイジンガの「中世の秋」にも宗教が総ての中心である社会が描かれていたが、日本でも事情は、似ていたようだ。本書は、なかなかイメージしにくい中世の社会を、お金を通して、おぼろげに見せてくれ

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    2013年09月11日
  • 選書日本中世史 3 将軍権力の発見

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    論文2~3本と、それに一般読者を意識してか古文書概論・日本史概論がいくつかで構成。と思う。(笑)
    大まかな所でいえば、鎌倉幕府の統治限定主義が室町幕府の全国統治主義に移行する論理に将軍権力の発露を見た!ということであろう。但し、文書権威や地方との「外交」を土台に形成された将軍権力だ。より高次の道理・衆議に発展したともいえるか。
    武家にしてみれば時代の流れにあわせ、仕方なくって感じもあるんでしょうかねぇ。案外、日本の歴史上は下からの、あるいは武からの王化に対しては面倒くさがりなのかもしれません。
    個人的には官宣旨のくだりは、古文書講義を聴いているようで懐かしかったです。

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    2010年11月15日
  • 全集 日本の歴史 第6巻 京・鎌倉 ふたつの王権

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    最初の感想は読みやすかった。
    二分王権論を強く意識しながら、基本的には政治史に沿った記述です。

    読みやすかった理由は鎌倉だけではなく、後三条〜後醍醐登場までを包括的に扱った点にあるのだろう。
    どうしても鎌倉時代だから頼朝からでとなると、実は非常に分かりにくいし、平清盛をどう評価するのかが見えにくくなる。
    平氏政権は武家政権の入り口であるので、本来切り離せないものであり、本作はその意味で流れを意識して作られている。

    著者の夫は石井進、五味文彦に師事した本郷和人。夫婦で東京大学史料編纂所に勤務しているという、研究環境も本作に影響したのではないだろうか。
    ただ、通史というと1人が書きっぱなしのイ

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    2009年10月04日
  • 院政 天皇と上皇の日本史

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    話が行ったり来たりでやや読みにくい。一般向けにしては難しい。学術的な話や具体的な資料の解説などもあり、オタクっぽい。院政と直接関係ない、中世の特徴などの解説が多いが、そういうバックグラウンド的な話が面白いこともある。院政について深く考えるというよりは、中世の天皇と上皇、摂関家などの人間関係が分かって面白い。

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    2019年09月29日
  • 院政 天皇と上皇の日本史

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    天皇制の転換点なんて言い方もしてるけど、それも後世から見ればでしかない。転換したのではなく結果がそうなっただけであり、誰かの意思でそうなったわけでもない。
    欲望の行き着く先が、一族それも直系による権力と富の独占を願うということらしい。これに事なかれの前例主義が重なると院政も制度になるわけだ。

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    2019年08月03日
  • 院政 天皇と上皇の日本史

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    <目次>
    はじめに
    第1章   院政以前~譲位と太上天皇
    第2章   摂関政治と後三条天皇
    第3章   中世の開始と院政の道
    第4章   白河院の時代
    第5章   院政の構造
    第6章   内乱の時代
    第7章   公武政権の並立
    第8章   院政と公武関係
    第9章   中世後期の皇位継承
    おわりに

    <内容>
    分析というか、事実の羅列が多かった気がする。もうちょっと自分の意見を盛り込んでもいいかも…。旦那ほどサービスはいらないと思うが。
    古文書をバンと出すのは斬新かも…。

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    2019年06月09日
  • 蕩尽する中世

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    本郷和人の奥さんも歴史家で同じ中世が専門(笑)
    消費の世界から中世を見る
    貨幣経済に目を奪われていたが、新しい行政組織の地方から富を吸い上げる力は治よかったのかあ
    確かに、技術革新もあり生産性も増えているし、軍事力をもたない平安時代の地方無政府化から一転、「納めなかったら襲うぞ」という実力保持政府だと無条件で従うよね
    この前提があっての貨幣の流通だと理解しておこう!

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    2018年09月08日
  • 蕩尽する中世

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    中世の生産と富について…ということで、
    章ごとに時代をくぎって書かれていました。
    いわゆる「歴史」の本とは違い、
    訴訟文書や説話集、さまざまな史料(現代語訳されているので読み易い)から中世人の生活を読み解こうという感じ。

    文章が読み易く、さくさく読めました。

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    2013年12月07日
  • 蕩尽する中世

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    蕩尽が、モノの経済圏を発達させ、やがてそれを追い越すようにして、カネの経済圏を沸き上がらせる。モノを伴わないカネの経済は、モノの経済と表裏をなして、より大きな蕩尽を可能にする。ヒト、モノ、カネが、大いに躍動し、そして食い荒らされた日本中世の動態を見る。

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    2013年02月10日
  • 全集 日本の歴史 第6巻 京・鎌倉 ふたつの王権

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    院政の成立から鎌倉幕府の滅亡まで、結構な広範囲を取り扱う。通史ものでこの時代を読んだのが初めてなので、正直なところどういうところが特色なのか評価しにくいですが(取り扱う時代の範囲が特色なのかもしれませんが)、わかりやすい構成と内容だと思います。

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    2012年12月02日
  • 蕩尽する中世

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    バタイユの著作を読みエロティシズム、蕩尽といった概念を学んだわけだが、バタイユはフランス人であるがゆえに、バタイユの考察、あるいはエロティシズム、蕩尽といった概念が日本においてどれほど有効であるのか、かなり疑問であった。そのためこの本を読むことで、日本において富がいかにして蕩尽されていたのかについて考えようと思い手にとった。
    平安時代後期には全国の荘園から集められた富が藤原氏、院によって蕩尽される仕組みができあがっていた。そして平氏が実権を握った時代は、海運が整備され、中国から輸入された富をも中央に集められ蕩尽された。だが武士政権が成立すると、貴族は徐々に衰退し、例えば鴨長明の「方丈記」や吉田

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    2012年08月16日