あらすじ
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
院政期から、鎌倉幕府の誕生とその滅亡までを描く。公家政権の暴力装置に過ぎなかった武士が、いかにして権力の中枢に食い込んだのか。権力を握った幕府は、なぜ朝廷を滅ぼして唯一絶対の地位を求めなかったのか。そして、「武家の棟梁」として誕生した幕府が、どのようにして日本の統治者としての自覚に目覚めていったか……。こうした疑問の背景には、殺生と信仰の狭間で苦悩する武家の姿や、原理原則を柔軟に現実世界に対応させていく公家たちのしたたかな生き様が隠されている。公家と武家、京と鎌倉を対比しつつ、以後700年に及んだ日本独自の二重権力構造の源泉を探る。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
歴史では中世が好きなので、ヨーロッパ中世に関する本はちょこちょこ読んでいたけれど、日本の中世について編年的に論じ掘り下げた本を読むのは、今回が初めて。知らないことばかりで大変勉強になりました。
文章が堅苦しくなく、たいへん読み易かったです。各章のインターミッションに、平安貴族の男色(なんしょく)についてなどのコラムがあり、分厚い本を読み進める推進力になりました。
最初の武家政権として船出した鎌倉幕府、源氏三代の滅亡から北条氏の執権政治へ。御成敗式目という極めて先進的な法律を、おそらく世界に先駆けて成立させたにも関わらずうまく運営できなかったり、元寇という未曽有の国家的危機に襲われるも「神風」のおかげで乗り越えたり(実際はそうでもなかった)、北条政権よく頑張ったなあ、という感想をもった。しかし、歴史の力学は無情にも彼らを滅亡に追い込む。
最終章は後醍醐天皇の登場で締めくくられ、次の時代へと移っていきます。
Posted by ブクログ
最初の感想は読みやすかった。
二分王権論を強く意識しながら、基本的には政治史に沿った記述です。
読みやすかった理由は鎌倉だけではなく、後三条〜後醍醐登場までを包括的に扱った点にあるのだろう。
どうしても鎌倉時代だから頼朝からでとなると、実は非常に分かりにくいし、平清盛をどう評価するのかが見えにくくなる。
平氏政権は武家政権の入り口であるので、本来切り離せないものであり、本作はその意味で流れを意識して作られている。
著者の夫は石井進、五味文彦に師事した本郷和人。夫婦で東京大学史料編纂所に勤務しているという、研究環境も本作に影響したのではないだろうか。
ただ、通史というと1人が書きっぱなしのイメージが強い。特に中世はその傾向にある。講談社の中世が秀逸だったため、不満は残る。