スカイエマのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編形式で、六個の短編が収録されている。
一つ目は、二人が主人公に隠れて誕生日プレゼントを購入しているのかと早合点したのを恥じる。伏線の回収が鮮やかで綺麗だった。
二つ目は、因果応報と、利用規約の大切さを学んだ。今の時代、利用規約を全く読まずに同意をする人がいる、私には考えられないものだ。かといって、全て読むなど面倒くさい人もいるのは事実だ。
お勧めしたいのが調べたらいい。誰かが纏めてくれているのを見ればいいだけなのだ。自分にできないことは誰かにやってもらえばいいのだ。
三つ目は、楽しめた。
四つ目は、主人公の内面をちょっと詳細に書きすぎかな。あと、そういう性格にするのならばもっと復讐心を無くすべきだ。
五つ目は、行動を起こすことが大切だと教わった。誰もが子供の頃に犯すであろう間違いの正し方を見た。
六つ目は、人と関わりたくない弟を持つ姉が疑問に思いながらもそれを否定することはなかったのは良かった。ちゃんと纏められていて良かった。最初の段落は姉が気恥ずかしさから来るものだと思っていたがそうではなかった。いやぁ、楽しめた。
最後に、ある一言から始まる物語かと思って読んだが、そうではなかった。それに、もうサイアクだ!と言う言葉が出てこない作品の方が多かった。
思うに、これは感情なのだろう。自責的作品が多くそういった作品が嫌いな私でも楽しめた。
他に、こういう作品があるのならばまた読みたいと思った。 -
Posted by ブクログ
★あたしには、成仏して舟に乗り、生まれ変わるために必要な大事なものが、欠けているんだって。(p.178)
(一)コースケは死んだが生前女神さまたちに三つの願かけをして受け入れられていたので六日間だけ寿命が延びることになりその間に願が成就するよう(自分で)努力しなければならず願かけする気になったくらいなのでどれも簡単ではない。あっさり、さっぱりの「いい話」です。
(二)「鬼灯の冷徹」を読んでる人には入りやすいかも?
(三)これも最近気になってる絵師、スカイエマさんの挿画です。偶然、というよりこのイラストレーターさんはとても人気のある方なんでしょうね。せやから必然的にときおり手に取ることになるんでしょう。
■簡単なメモ■
【一行目】いちめんに、うすいもやが立ちこめていた。
【天野あずみ/あまの・あずみ】かつて森下千草のパートナーだったテニスプレイヤー。愛称「あずにゃん」。
【植村綾乃/うえむら・あやの】浩介の片想いの相手。二年生。硬式テニス部部員で浩介が入部した動機。どうやら前園のことが好きらしい。
【遠藤】硬式テニス部員。ダブルス。
【閻魔】三途の川の向こうにいる。カラスも会ったことはないらしい。
【オーシャン】大西洋(おおにし・ひろし)。えらい名前つけられたもんやなあ。硬式テニス部部員。体が大きいが動きはにぶい。イギリスからの帰国子女。六月の終わりに転校してきた。
【大西洋/おおにし・ひろし】→オーシャン
【岡島/おかじま】浩介たち硬式テニス部の顧問。
【おしょう】浩介の小学校時代の親友。
【鎌倉ステーキ】ステーキ屋。とても美味いがとても高い。敷居も高い。中学生が一人で入れるような店ではない。
【カラス】脱衣婆の家にいる。十年くらい前に死んでカラスの死骸に入り、会所で脱衣婆たちのお世話をしているようだ。
【願かけ】こういう願を持っており頑張りますので神様見守っていてくださいというもので神様が叶えてくれるわけではない。あくまでも自力。浩介の願はテニスの県大会団体戦でベスト8に入ること、鎌倉ステーキで腹いっぱい食べること、硬式テニス部の植村綾乃と仲良くなること。
【北沢】硬式テニス部員。ダブルス。
【懸衣翁/けんえおう】脱衣婆の連れ合い。死者の服を枝にかけてそのしなり具合で罪の重さをはかる。今はいないのでなりてを探している。
【コースケ】山室浩介。主人公の「おれ」。十三歳。数えで十四歳。境川南中学硬式テニス部。だが弱く、女子にもほとんど勝てない。お祖父さんの影響で古いことをけっこう知っている。江の島に行った帰りに崖から落ちて死んだ。
【小山】硬式テニス部員。
【賽の河原テニスクラブ】なんと! 賽の河原にはテニスコートがあった。
【佐伯裕子/さえき・ゆうこ】硬式テニス部女子部の新キャプテン。コースケと同じ二年A組。小柄でショートヘア、日焼けしているので「ちびこんぶ」と呼ばれることも。明るく誰からも好かれるタイプ。兄はインターハイでも活躍している選手。
【境川南中学】浩介の通う中学。
【関根由紀/せきね・ゆき】硬式テニス部女子部部員。二年生。
【脱衣婆/だつえば】通称「だっちゃん」。ボロボロの猫の姿をしている。三途の川を渡る舟の舟番。死者たちから渡し賃として服をはぎ取り、懸衣翁が枝にかけてそのしなり具合で罪の重さもはかる。賽の河原の「会所」にいるらしい。どうやらずっと同じ者が続けているのではなく死者の中から選ばれてしばらく続けるというシステムらしい。今の脱衣婆は二十五年前に死んだ人。猫の死骸に入り込んだので猫の姿。人間として死んだときは十五歳だった。賽の河原テニストーナメントで負けなしの七十連勝中。
【だっちゃん】→脱衣婆(だつえば)
【徳】だっちゃん《徳というのはね、このちょっと幸せな気持ちのほうかもしれない》p.130
【姉ちゃん】浩介の姉。中三。
【番頭】脱衣婆の会所の番頭。
【前園/まえぞの】硬式テニス部部員。新部長。小学校の頃名門クラブに通っていて、テニス部の絶対エースだった。足の靭帯を痛め大会に出られなくなったので浩介に出番がやってきた。
【宗像三女神/むなかたさんじょしん】田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)、市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)、多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)の三柱。江の島に祀られていて浩介はそこに願をかけした帰りに崖から落ちた。ちゃんと二拝二拍手一拝を守った。
【森下千草/もりした・ちぐさ】佐伯が憧れている、かつての美少女天才テニスプレイヤー。
【山室浩介/やまむろ・こうすけ】→コースケ
【リストバンド】姉ちゃんが買ってきてくれた。猫の絵が描かれておりコースケにはちょっと恥ずかしかったがだっちゃんがつけろとせがむのでつけた。 -
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2010年単行本化、桐野夏生さんの長編小説。
今回は、面白く通読できるものの、桐野さんの作品としては幾らか物足りないものを感じた。たぶんその理由は次のような点だ。
(1)主人公はじめ主な人物は少年であり、いつもの「女性の視点」がほぼ無かった。
(2)小説ならではの心理描写はさほど優れず、プロットと行動・会話ばかりが浮上して、ジュブナイル風の平易な物語となっていた。
(3)社会システムや理不尽な「周囲の人びと」への怒りがあまり表面化されないのが、いつもの桐野作品と異なり、苦痛が控えめだった。
(4)桐野作品がしばしば体現する小説的形式の破綻が無く、「ふつう」に感じられてしまった。
2008年のリーマンショックにより日本では「派遣切り」など経済格差がいよいよ拡大し、貧困層が激増したが、こうした情勢に着想を得て、「破綻した福祉システム」下に生きるホームレスの少年たちを描いている。渋谷は廃屋が増え、半ばスラム化しているし、東京の地下には一部のホームレス少年たちが住み着いている。
どうやら一定の職を持つ富裕層は通勤し普通に暮らしているようなのだが、彼らの様子はほぼ描かれないし、そのような階層とのギャップや軋轢が作中にはほとんど出てこないのが、私としては不満に感じたのかも知れない。
現在15-16歳である主人公イオンは孤児で施設を脱走し都内の公園や廃屋をねぐらとし辛うじて生きている。都内でNGO「ストリートチルドレンを助ける会」に所属してホームレスの少年たちを援助しようとする「優しいおとな」モガミとイオンとの微妙に移ろう関係性が、小説全体の骨子の一つとなっている。
モガミとケンカしてイオンは「アンダーグラウンド」の世界に入り、そこで軍隊のような組織を模して暮らす少年たちと合流するのだが、この「地下世界」での少年たちを巡るプロットは、劇画調(今は劇画という言葉は無いのであれば、コミック調)であり、なんとなく大友克彦さんの「AKIRA」を思い出させるものだった。全体にコミックとしても表現できそうな本小説は、『残虐記』(2004)などと異なり、容易に映画化できそうである。
何故本書で心理描写が冴えないのかと考えてみたら、主人公が少年であり、ほとんどの登場人物が男性ばかりであるからかもしれない、と気づいた。極微の領域にかすかに変移する女性心理とは違って、抽象性に心奪われ単純で直線的なわかりやすい心情しか持たない男性心理を描くのは、よりシンプルな図像を描出することにしかならないのではないか。
少年イオンの心には明確な神話があって、幼年期に過ごした施設で出会った双子の年長の少年「鉄」と「銅」への強烈な憧憬が、あまりにも純朴でストレートな「少年の心」を支配している。
『OUT』『グロテスク』でも男性の心や経歴を描く時、そこには「神話」が露出されていた。『残虐記』では、不可知な男性の欲望を主人公の女性が勝手にあれこれ想像して「神話」を見いだすというプロセスが描かれていた。
桐野夏生さんは、女性とは異なる男性性の核心に「神話」を見いだし、いつもそこから現実的なるものと対立させながら「男性の物語」を奔出させる傾向があるのではないだろうか。たぶんこの「男性の抱える神話」は、「少年的なもの」なのではないだろうか。
そう考えてみると、桐野夏生さんの全小説という領野の中で本作が占めるポジションというものが、興味深く思われてくる。
ラストで明かされる「ハウスでの実験」は、『抱く女』(2015)にも登場するので、作家の着想のこのつながりにも驚いた。これは本書巻末の参考文献に挙げられている『洗脳の楽園—ヤマギシ会という悲劇』(米本和広著)なる本(もちろん未読)に着想を得たのではないか? wikipediaの「幸福会ヤマギシ会」の項目を見てみると、どうやらそのようだ。 -
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優しいおとな、厳しいこども。なんとなく、そんな対比を考えてみた。資本主義の北半球の国々は、大体こうだと思う。子供は、小さなおとなだから、今時子供だましのなにかではもう歓心を得られない。
この小説を、「現代の日本の社会的な問題で……」という視座から云々すると、とたんにテクストが色褪せ、興がさめてしまう。具体的な地理も、アンダーグラウンドも、闇人も照葉も、物語にしかなしえない、普通の階級の日常をおくる私たちの生活のメタファーだと感じた。要するに、希望を失って闇に潜るのはなにもホームレスとかストチルに限った話ではないということだ。私たちは、人生の中で喪失しつつ、得ようともがきつつ、底なしの希望を希求していつのまにかエアポケットにはまりこむ。 -
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ネタバレ荒廃し、スラム化した日本の繁華街シブヤでストリートチルドレンとして生きる少年イオン。
親の記憶が無い彼は人への「愛情」を知らず、自分を助けてくれる唯一の大人モガミにも冷たくしてしまう。
イオンはかつて一緒に育った仲間を探すため、地下の犯罪者集団に飛び込んでいくが、そこも安住の地では無かった――。
序盤は近未来のサバイバル小説という様相で、物語についていけるか少し不安でした。
が、誰のことも信用できないような生活を送ってきた浮浪少年の思考回路や、彼の目から紡がれる路上生活の苛烈さが妙にリアルで、すっと物語に入り込めました。
読者に違和感を抱かせずに世界観を構築する作者のテクニックは、いつもながら凄いです。
そして中盤から、イオンがアンダーグラウンド世界に潜っていく展開の先が読めず、この話はどうなるんだろうと嫌な予感がしながら読み…。
イオンが愛情を求めるのと同じくらい物語が加速していくドライブ感が凄まじく、唐突とも言えるラストの情景に辿り着くまで、一気に読みました。
全体的な感想は…悲しい話でした。
優しさや愛情というものの正体についての言及が鋭く、考えさせられました。
特定の一人への愛着(愛情)は、エゴイズムなのか。
愛情が深ければ深いほど、どうでもいい他人を傷付ける凶器になったりもする。
しかし、特定の愛情を受けなかった子どもは、その後の人生にそれが大きな影響を及ぼしてしまう…。
親を知らないイオンにとっての大人とは、優しいか優しくないか、どっちつかずかの三種類。
独りきりの時はそれゆえに強かった彼は、他人の気持ちに触れることでを自身の弱さを知る。
悲しくもあたたかいラストは、ひどく心に残ります。 -
Posted by ブクログ
読みやすく、そこそこ面白い。この本はまだ始まりで、これから物語がどう展開し、纏まるかが、作品の価値になるだろう。
村八分にされている娘が、他の娘とは違う、男と競って戦士になることを決意するわけだが、見た目美人で戦士的な才能があるという御約束の設定には、大人としては鼻白むし、選ばれし戦士には「声」が聞こえるというのも、読み手に説得力があるように書けるのかという不安を抱かせる。
でも、まあ、続きを読んでもいいかという気持ちにはなった。
それにしても、スカイエマは売れっ子だと理解していても、絵が荒れてないか。PCで描くことは否定しないが、それは一定のクオリティがあればこそ。手描きより劣るならやめた方がいい。まあ小学高学年から中学生が魅力を感じ、ライトノベルっぽくならないイラストが描ける人は意外に少ないからこの人に依頼が集中するのだろうけど。 -
Posted by ブクログ
『地球のまん中 わたしの島』の続編だった・・・。
もちろん、『明日は海・・・』から読んでもいけるのですが。
離島・辰島に暮らす竜太(りょうた)・中学2年。
同じく中学2年生は東灯子。中学1年の勇気と、島で中学生は3人だけ、小学生も6人の小中併設の分校に通っている。周囲3キロほどの小さな島の住民のほとんどは漁業に携わり、本土の町へは高速定期船が1日1往復あるのみだ。
竜太の家も漁業をしているが、同級の灯子の家は、島で唯一の民宿をはじめて5月に転入してきたばかりだ。
9月。2学期に入って、灯子の発案で、辰島ニュースという新聞を作るため、竜太と勇気は、島の歴史に詳しいトクさんを訪れた。記事にするなら、まず神社。島のことを知ろうとする灯子。
竜太の兄は、本土での仕事を辞め、島に戻ってきた。自動車整備の仕事が好きだったのに、漁師になるらしい。
老人の多いこの島の未来はどうなっていくのか。
高校進学すると、灯子は本土へ通うこととなる。
竜太は漁師になりたいが、灯子はいつか、本土に帰ってしまうかもしれない。(竜太は水産高校希望)
お互いを認めながら、自分たちと島のこれからの事に不安を抱え、迷う二人。みずみずしくさわやかな物語。