スカイエマのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アレルギーの湿疹にイライラしていたぼくは、転校生の江本くんのめがねを友達と投げ合い壊してしまい、そのせいで江本くんは骨折してしまう。ひとり病院に行ったぼくに江本くんは「リベンジする」と宣言するのだった。
衝撃的なタイトルに主人公はいじめる側だと知り、重い話なのではないかと少し尻込みしました。しかしいざ読んでみると、軽やかな文体に誘われるように読み進めていったのです。
もちろん内容的には重いものを含んでいます。その時はちょっといらついてたから、ちょっとしたからかいのつもりだったこと。それが相手をけがする原因を作ってしまったこと。クラス全体がそのことを隠そうとしたこと。自責の念から江本くんの元に行こうとするも、誰も同行しようとしなかったこと。それらはぼくの心に重くのしかかります。
しかしそれに対する江本くんは、実に軽やかにぼくに対して「リベンジ」を宣言してあれこれと用事を言いつけるのです。そこで始まるふたりの奇妙な関係。
結果として江本くんとぼくのふたりは、時間を共有することが増えます。そのためぼくは学校では見られなかった江本くんの様々な姿を見ることになります。そして時間を共有することは体験を共有すること。ペットのバニラの誤飲事件、トイレに閉じ込められる事件などを通じてふたりの関係性が変わっていく様が書かれます。
そして垣間見える江本くんの家庭の事情。
それらを通じてぼくにとっての江本くんの存在意味は変わっていき、江本くんの気持ちも変わっていきます。そして江本くんの「リベンジ」の行く末は?
重い話にも目を背けず、それでいながら小学生男子の奇妙な関係性を軽やかに描き切った読み応えのある一冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレふんわりと穏やかな雰囲気が物語全体を優しく包み込む。
読んでいて何度も温かい涙を流した。
強いメッセージはないけれど、そっと静かに心に刻まれていく。
小学生の時に母をガンで亡くした民子、民子の継母の宏子、民子の亡き母の友人の祥子、民子の父の亮太4人の視点による連作短編。
大人びていて冷静な民子と、カラリと明るい宏子。
正反対の性格の、一見合わなさそうな二人が徐々に打ち解けていく様子がとても良かった。
民子の優しい祖母と宏子の豪快な母親も素敵で二人のエピソードに泣けた。
「人は生かされている」
「本当の優しさは、自分のことは自分で全部背負い込んできっちり落とし前をつける強さがないと出てこない」
「生きていくことは自分で決めることを繰り返していくこと」
心に染み入る言葉が続く。
まんまるお月さまがいつもみんなを優しく照らして見守ってくれている。
この作品に出てくる女性達の芯の強さや優しさが清々しく、とても良かった。
亡き母も月の裏側できっと微笑んでいるに違いない。
穂高さんはこれが初読み。
他の作品も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
文章のリズムが自分のどストライクゾーンから少し外れていて、冒頭の一頁を読み齧ったまま1年ほど積読しておりました…
2015夏、数年に一度の蔵書棚卸(不要本の仕分)作業の際「あれ?未読だったわ」と手に取ってみたところ、とても良い本でした。(これは手元に残しておこう。)
前置きが長くなりました。ここからレビューです。
主人公は民子、昭和臭漂う古臭い名前の中3。母を亡くしている。部活に打ち込むという正当な理由で煩わしいことから距離を置くなど、考え方のしっかりとしたコ。
と思いきや、次の章では主人公がバトンタッチ。
継母である宏子に代わる。
…冒頭まさか主人公が代わることを想定していなかったので、別の話になったのかと困惑したけれど、馴れてくるとこの語り手交代制はとても良かった。
1章 民子
2章 宏子(民子の継母)
3章 祥子(民子の実母・美智子の親友、陽一の母)
4章 亮太(民子の父)
最初 民子の視線から描かれていた世界が、他の人物から描かれることでどんどん厚みを増してゆく。
あの時のアレはそういうことだったのか!と気づき、登場人物たちの想いの深さに心打たれる。
1章では中3であった民子は章が進むごとに進級してゆく。そして民子と継母との関係性も変わってゆく。
民子の祖母と、宏子の母のセリフはとても深くてとても良い。ぜひ読んでほしい一冊。
最後に、個人的に胸に響いたくだりを2つ。
(ひとつは解説にも書かれていたくだり)
(ここからネタバレ)
「本当のやさしさってのはね、自分のことは自分で全部背負い込んで、きっちり落とし前をつける強さがないと出てこないもんなの。そういう覚悟がある人だけが他人に本当にやさしくできるのよ」
いいかげんになるのではなく、肩肘張らずに「良い加減」に生活すること。たまには息抜きしているそんな自分のことをそれでいいんだよ、と許…(略)
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これほんと大事。わたしにも足りない部分 -
Posted by ブクログ
ネタバレ感想を放置し過ぎて忘れたシリーズ……なんだけど、メモにちょっとだけ書きかけの感想が残ってた。
小学生だって10年ぐらい生きている。ハッピーエンドの約束された御伽話ばかりに触れ続けていれば、だれだって飽きるに決まっている。
そのうち子供たちは不穏な話に興味を持ち始める。めでたしめでたし、にならなかったら主人公はどうするのか。私たちが子供の頃は、学校の怪談がよく流行ったが、いまだ他人事にすぎない死への恐怖、身近な場所に潜む怪異への憧れだけではなく、先に書いたような理由もあるのではないかと思う。
『アサギをよぶ声』は、決してハッピーエンドの話ではない。アサギにとっては希望のある終わり方ではあるけれど、戦士になるためにアサギが払った多大なる努力は、女屋に入ってしまえばまず生かされることはない。
「努力は報われる」という言葉は大人が往々にしてつきたがる嘘である。世の中、報われない努力がほとんどだ。(ここまで)
ここから何を書こうとしていたのかまったく思い出せないのだった……。また読んでもいいな、これ。