スカイエマのレビュー一覧

  • 「リベンジする」とあいつは言った
    最初のメガネをほうりあうシーンは気持ちがざわついたけど、すぐに切り替わり、読み進めることができた。

    初めはびくびくで江本のいうことを聞いていたけど、だんだん彼のことを理解するようになり、友情と気づかないまま、心が近づいていくのがいい。

    江本の父さんもよかったあた。
  • 月のうた
    なかなかに泣けた。
    泣かされた、という疲労感もなく、
    ここちよく。

    妻になってももう一度読みたい。
    母親になってももう一度読みたい。
    祖母になってももう一度読みたい。
    もし後妻になっても。
    腹違いの兄弟ができても。

    そんなかんじ。
  • 月のうた
    ひとつの物語を、章ごとに異なる登場人物の視点から描いています。
    こういう見せ方をする作品はもともと好みなので、楽しめました。

    物語自体は、取り立てて大きな事件が起きるでもなく、
    淡々と静かに進んでいく感じです。

    毎年、秋~冬は、静かで落ち着いた物語が読みたくなるので、
    次の秋にでも再読したいと思...続きを読む
  • 願かけネコの日
    登場人物に個性があって、最後まで一気に読みました。
    テニスと三途の川、絶対合わない筈なのに…イイ!映像が見えそうです。
    挿絵もすごくイイところに入ってて、ステキです。
    ただ、私からみると結構ちゃんとしてるコースケが、本の中では生きにくそうにしてて、それがリアリティがあるって、何だかさみしいなぁと思っ...続きを読む
  • 月のうた
    それぞれの登場人物が活き活きしていて読んでいても気持ちよい。民子の強さ、宏子がマイペースだが誰にも媚びず自分を貫く姿も好感が持てる。
  • 「リベンジする」とあいつは言った
    蒸し暑い梅雨の季節、アレルギーが出てむしゃくしゃしていた僕は、腹いせに最近転校してきた江本のメガネを友だちとキャッチボールのように投げ合った。そして、メガネを受け損なって…

    タイトルと物語の始まり方からして、「どうやってこの物語は終わるんだろう?」心配になったんですが、見事に完結していました。「相...続きを読む
  • 月のうた
    ひとつ前のサスペンスもそうだったけど、出てくる人それぞれの視点で書いてある本好き。色んな人がいて色んな考え方をしてるんだよな。だから、ぶつかるのは当たり前。母親が亡くなるとこは思わず泣いてしまった。あとがきで向田邦子の名前が出てきた。うん、確かにそうかも。この読みやすさは向田さんに通ずるものがある。
  • ぼくとあいつのラストラン
    じいちゃんが死んだ。と言っても、本当の祖父ではなく、隣のじいちゃんで、でも、ぼくらにとっては本物のおじいちゃんのような存在だった。

    大好きな人を亡くした少年の心あたたまる成長物語。当たり前すぎて、ふだん忘れがちな人間らしい心を気づかせてくれる話。
  • 月のうた
    すらすらとすんなりと読めちゃう
    ただどうしても始めの「凍み豆腐」のルビが気になる
    地元民はそんな言い方しませんよ
  • 優しいおとな
    久しぶりの桐野作品。ぶっ飛んでいるいつもの感じが、リアリティーもともなって、近い未来か現実か…と思ってしまう。これが、2009年の作品だから今、少し近づいてるかも。
  • もうサイアクだ!
    短編形式で、六個の短編が収録されている。
    一つ目は、二人が主人公に隠れて誕生日プレゼントを購入しているのかと早合点したのを恥じる。伏線の回収が鮮やかで綺麗だった。
    二つ目は、因果応報と、利用規約の大切さを学んだ。今の時代、利用規約を全く読まずに同意をする人がいる、私には考えられないものだ。かと...続きを読む
  • 優しいおとな
    渋谷で野宿者として生活する少年イオン。
    NGOのモガミという大人がイオンを助けたいと近寄ってくるが、イオンは逃げる。
    そして闇で暮らす地下の集団に行き着く。
    イオンが暮らす日々は危険と隣り合わせで、読んでいて苦しくなった。
    そしてイオンの幼少期の真実。
    こんな世界が現実になったら…と思うと怖い。

    ...続きを読む
  • 願かけネコの日
    ★あたしには、成仏して舟に乗り、生まれ変わるために必要な大事なものが、欠けているんだって。(p.178)
    (一)コースケは死んだが生前女神さまたちに三つの願かけをして受け入れられていたので六日間だけ寿命が延びることになりその間に願が成就するよう(自分で)努力しなければならず願かけする気になったくらい...続きを読む
  • 一丁目 窓辺の少年
    5編の短編集。
    奇妙な物語。すっきりしたりもやっとしたり。
    いちばん最後に掲載されている、「未来の手紙」がいちばん好き。
  • 優しいおとな
    近未来の小説なので挿画・挿絵にスカイエマさんを選択されたであろう事は想像しましたが、今までの作品とはあまりにも違うので驚きでした。

    内容は近未来の渋谷でしたたかに生き抜くホームレスの少年・イオンを中心に物語は展開して行きます。

    地下のシーンが多いので脳内映像だけで息苦しくなる様な展開です。 ...続きを読む
  • 優しいおとな
     2010年単行本化、桐野夏生さんの長編小説。
     今回は、面白く通読できるものの、桐野さんの作品としては幾らか物足りないものを感じた。たぶんその理由は次のような点だ。

    (1)主人公はじめ主な人物は少年であり、いつもの「女性の視点」がほぼ無かった。
    (2)小説ならではの心理描写はさほど優れず、プロッ...続きを読む
  • トクベツな日
    小学5年生の大森二葉、高橋真央、佐々木達也、林田勝の4人を主人公に、今の自分の悩み、絡み、時にぶつかり合いながら、お互いを知り、成長していく。

    悩みのない人なんていない・・・自分の悩みだって、受け入れ、解決していくことができると感じれられる物語。
  • 優しいおとな
    優しいおとな、厳しいこども。なんとなく、そんな対比を考えてみた。資本主義の北半球の国々は、大体こうだと思う。子供は、小さなおとなだから、今時子供だましのなにかではもう歓心を得られない。
    この小説を、「現代の日本の社会的な問題で……」という視座から云々すると、とたんにテクストが色褪せ、興がさめてしまう...続きを読む
  • 優しいおとな
    荒廃し、スラム化した日本の繁華街シブヤでストリートチルドレンとして生きる少年イオン。
    親の記憶が無い彼は人への「愛情」を知らず、自分を助けてくれる唯一の大人モガミにも冷たくしてしまう。
    イオンはかつて一緒に育った仲間を探すため、地下の犯罪者集団に飛び込んでいくが、そこも安住の地では無かった――。

    ...続きを読む
  • 優しいおとな
    福祉システムが破綻した近未来の日本を舞台に、ホームレスの若者・イオンが探し求める希望を描く衝撃の長編。
    作品の発表時がリーマンショック直後ということで、若者の貧困や派遣切りなどが社会問題になっていた。暗い世相を反映して物語も陰鬱で、かつ高揚感もない。桐野作品の中ではあまり記憶に残らない作品。