暉峻淑子のレビュー一覧

  • 承認をひらく 新・人権宣言

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    "承認" という他者との繋がりが命の尊厳へと歩む。だが誤った認識や無関心の肯定が、一人ひとりの心を蝕んでいく。世間はいつの間にか "勝ち組" "負け組" という不条理なカテゴライズを黙認してしまう。黙認どころか、弱者の自己責任という排除思考によって万人の心が荒廃する。現状の社会構造は平穏へと辿り着ける訳がなく、生活の疲弊、格差、そして分断へと陥ってしまい共生という社会の本質は理想なんだと諦めている。ならば、私たちの意識で変わろう。そして公共が怠けてはいけない。

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    2024年09月24日
  • 豊かさとは何か

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    カネとモノが至高とされる生活は果たして豊かさを享受できるのか。高度経済成長に邁進した先進国の人びとは周囲に忖度して己の意見を押し留めてしまい大切なものを犠牲にしてしまったのではないか。それに気づく人はまだいい。気づかない人はそれが正しいマジョリティだと盲信するのはカルトにほど近い。そこに安住はあるのか、その先には疲弊した福祉や教育となればまさに現在の日本だと筆者暉峻淑子は警鐘を鳴らす。現代に流布する言葉・コモンという共同富を使った自治論を展開する斎藤幸平はその流れを継承している。なるほど線は繋がる。そして私たちは本当に今、声を上げるべきだと感じる。

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    2024年08月31日
  • 承認をひらく 新・人権宣言

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    「自己責任が当たり前とされる社会になったとき、それに反比例するかのように「承認欲求の病」といわれる風潮が強くなったのは偶然ではないでしょう。しかし、ことはそれほど簡単ではありません。鏡の方が歪んでいることも、多々あるからです。」

    私たちひとりひとりはこれまで、「承認」という言葉を奪われていたのではないだろうか?
    弱い立場の人々や少数派が発言することを「力」で抑えつけ無力化されたり、他人事のように思わされてこなかったか?
    「承認」の持つ力を私達自身が自覚し、尊重し合う社会でありたい。
    まずは来たる都知事選挙から“承認”を取り戻そう。

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    2024年07月05日
  • 豊かさとは何か

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    教育、医療、人としての生き方、暮らし方が、日本とドイツでは大きく異なることが分かる。やはり政治の力が大きいのだと感じる。

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    2022年09月10日
  • 社会人の生き方

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    非常に読み応えのある本でした。
    理想論ではなく、地に足がついた視点で問題提起と解決策へのヒントが述べられています。
    人間は社会的つながりの中でこそ生きる意味と幸せを見出すことができる。それに沿った社会であるべきである。ということを改めて実感させられた。

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    2020年04月28日
  • 対話する社会へ

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    第2章で紹介されている「対話的研究会」が素晴らしい.対話することに飢えている人たちは,対話できるような設定があれば,水を得た魚のように話を始めることが,多くの事例で紹介されている.対話をする基礎になる素養を,小学生の段階からしっかり教えていく必要があると感じた.理論的な背景を紹介している第3章はやや退屈だが,多くの研究者が対話の重要性を指摘しているという学問的なエビデンスは,お堅い考えの役所などを説得する資料となろう.ファシリテーターの存在は知っていたが,伊藤さんの役割は非常に重要で対話を実のあるものにすることのできる素晴らしい人材だと思う.

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    2017年10月22日
  • 豊かさとは何か

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    発刊年はやや古いが名著である。日本や日本人を相対的に捉えており、普段の自分自身の中にある根底の考えを見直すきっかけにもなる。

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    2017年06月22日
  • 豊かさの条件

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    競争ではなく、助け合う世界、社会にしていく。
    日本の教育はこれを実現するためのシステムにはなっていないし、社会そのものが、競争を煽る仕組みになっている。
    見習うべきものの、一つは、筆者が知るドイツにおける教育である。

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    2016年06月26日
  • 豊かさとは何か

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    エーリッヒ・フロムが『生きるということ』のなかで説いた、人間の価値様式、「持つ様式」と「在る様式」を日本という社会にプロットして論じた名著といえる。人間にとっての本当の豊かさについて教えてくれる。

    がんばって働いても報われない、ひとりひとりのがんばり(特に過労死や自殺で死んだりすることもある)で支えられている経済至上主義と哀れとまで言える社会資本の貧しさのなかにこの国は存在している。

    余暇活動の価値も到底認められないから、有給取得率だって上がらない。これでは日々の暮らしのなかで、文化的価値を見出し、友人や家族など、人と人とのかかわりあいを通じて、自己実現を果たしていくなんて到底夢のような話

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    2016年07月20日
  • 豊かさの条件

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    誰もが感じている経済と豊かさは別物だということ。何で本当の豊かさを訴える政治家が出てこないのか不思議です。

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    2015年06月21日
  • 豊かさとは何か

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    この本はすごく良かった。studio-Lの山崎さんがオススメしていて興味を持って手にとって、まさに暮らしの豊かさについて考えさせられました。本当によく考えられている。お金を稼ぐために、ではなくて、「より豊かに生きる」ということを何十年、何百年と考え続けてきたエッセンスが詰まった一冊だと思いました。日本にも、このまちにもまだまだできることがあるなぁと考えさせられた一冊でもありました。

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    2015年05月23日
  • 豊かさとは何か

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    データは古いが本質的には今も変わらないと思う。どんな社会を目指すのか、そのために何をするのか。
    "お任せ"はそろそろ卒業しなければ。

    『個人の自由が、じつは共同体的な土台によって支えられていることを、私たちは忘れてはならない。』

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    2014年01月14日
  • 社会人の生き方

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    タイトルが何か教訓臭いのが残念である。内容は、現在の貧困や問題点を指摘しているので、この本を読んで卒論のテーマが見つけられるであろう。上海がOECDでトップになったのは、成績のいい学校を悪い学校を一緒にして、更に最下位の成績の学校には一番いい教師を入れた、ということはほかでまったく説明されていないことである。教育問題を扱うためにも読んだほうがいいであろう。

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    2013年02月09日
  • 豊かさとは何か

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    まさに自分にとっては原点と呼べる本。
    豊かさとはなにか?
    その答えは、ないだろうし、明確にないということが答えなんかなーって思った。
    だから、常に考えていなきゃいけない。なんのために生きているのか。なんのために働くのか。

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    2012年07月24日
  • 豊かさとは何か

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    日本は海外から見ればこんな風に思われてるんだ。震災以後日本の様々な対応について、白い目で見られていることは明白。周りがどうではなく、自分はどうしたいのか考えなければいけないと痛切に思う。名著。

    「しかし、考えてみると、日本から輸出される安い自動車やコンピューターの背後にも同じ問題があります。自動車を作っている下請け労働者の長い労働時間やウサギ小屋の住宅。少ない有給休暇や、退職したあとの老人福祉の貧しさ。そんな犠牲の上に作られた日本の競争するためには、ヨーロッパの国も同じレベルにまで勤労者の生活を落とさねばなりません。しかし、そうすれば、人びとが営々と何百年もかけてつみ重ねてきた基本的人権や福

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    2012年07月01日
  • 豊かさとは何か

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    ネタバレ

    高校生のときに読んで、自分の問題意識の根底にあったのは、これだったかと気付かされた1冊。

    経済的な豊かさだけではない豊かさを考える。
    日本は豊かな社会か、つねに問い続けていかねばならない問いでもある。

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    2012年01月03日
  • 豊かさとは何か

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    私は流行語の勝ち組、負け組と言う言葉が大嫌いである。弱者にいたわりのない米国型の冷たい国、という印象を受けるからだ。日本は拝金主義が横行し、万事が金もうけに費やされる国である。子供は出世コースを歩むために幼いころより塾通い、会社に入れば今度は不毛な決して勝者のない競争社会である。本書ではこの原因は明治維新にまで遡るという。要するに富国強兵の精神が未だに根付いており、企業内では個人の人権はなく、憲法は企業の門前まで、と書かれている。著者はこの解決には時短、人権意識の改革が必要と唱える。まさにその通りであって、未だに週40時間労働が守られている会社はほとんどない状況である。今でこそ、ワークシェアリ

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    2023年02月22日
  • 対話する社会へ

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    「戦争の反対語は何もしない平和ではなく対話であることを」
    この一文に感銘を受ける。他者の声を取り込んで考える。多様な意見はあらかじめ決められた結論に辿り着けるはずもなく、互いに熟考する中で心が発達して納得できるような着地を試みる。それでもまだ課題は残されている。ゴールはそう易々と迎えない。その道程にデモクラシー、そして有意義な日常が得られるのではないか。慌てず恐れず休みながら本心を訥々と語ってみよう。

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    2024年11月07日
  • 豊かさとは何か

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    ネタバレ

    古本屋で出会った書籍のためおよそ30年前のデータや価値観で書かれたものですが、それでも現在の社会に対しても通ずる内容と感じます。
    ・当時のお金や物質的な豊かさばかりに囚われそれ以外の豊かさを国民が享受できる状況にないこと
    ・「健康で文化的な最低限度の生活」をうたいながら実際には生きるギリギリでしか支援が受けられないこと
    ・その他仕事や生活があまりにも豊かさを感じられないほどに厳しくなっていること
    ・これらに対する批判や提案とヨーロッパ(特にドイツ)での取り組みやそれによる生活の様子
    これらがとても印象的に感じました。カネやモノでしか評価されない豊かさについて考え、人生や生活をどうすれば豊かで満

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    2021年11月28日
  • 対話する社会へ

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    「戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話です」。
    平和というと、ただ戦争がない状態という漠然としたイメージになりがち。
    「対話」となると、そこには目の前の一人の人が存在する具体的な出来事になる。
    「対話が続いている間は殴り合いは起こらない」とも。

    学生時代の恩師との対話。
    難民支援の現場での対話。
    教育現場での対話。
    精神医療の現場での対話。

    様々な実例をあげ、対話の持つダイナミズムを具体化している。

    対話とは、話すことではなく聞くこと、とも。
    対話こそ、人が人である証拠なのだ。

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    2017年06月30日