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Posted by ブクログ
日本社会はこのままで良いのかと警鐘する著者の思いが詰まった一冊です。
教育学者の本田由紀、フリーター・ニート問題に詳しい玄田有史を足して二で割った感じでしょうか。「日本社会」といった漠然とした分野を扱っていますので、上2名の著書を併せて読むと、更に理解が深まると思います。また、西條剛央『人を助けるすんごい仕組み』が実践的でタイムリーなので、本書に共感された方には強くオススメします。
読んでいると暗い気持ちになりますが、何とかしなくてはと思います。最後は社会人の力を希望にして締め括っているので、読後感はちょっと希望的観測で満たされます。
大概、人生において完全に自己責任と言えるようなものは少なく、それを『お前が悪いからだ!』と責められても、『いや、ただ生まれてくる時代が悪かった』と言われれば一言もありません。この例は極端ですが、自己の能力ではどうしようもないことだって沢山あるわけで、それを全部他人のせいにするのは良くないですが、少しくらい斟酌したって良いじゃないかと思うんです。
利己に走らず、利他的にもなりすぎず、均衡を保っていけば、もっと良く生活できると思います。
社会全体に余裕がなくなってきていて、他人に構ってあげられる余力も小さくなっている時代。ジリ貧は目に見えているのに、目先の問題ばかりに焦点を向ける昨今の政治には閉口します。もう数十年まえから少子高齢化社会は予見されていたのに、全く改善される兆しはありません。どうせジリ貧なのは分かりきっているので、無理矢理余裕をもった行動なり施策を行わなければなりません。
いっそのこと、『一日一善法案』みたいなものを作った方が良いかもしれません……他人に対して一善を行う、みたいな(笑)。
他人とのつながりはもちろん大切なのですが、同時に考えなければならないのは、『絆(きずな)=絆(ほだ)し』という事です。情に絆される、という慣用句にあるように、束縛するという側面もあります。
それに嫌気が差して、日本の伝統的な文化(親戚付き合い、お中元・お歳暮、年賀状等、集団における個人の役割等)を放擲して、自由を求める(プライベートを充実させたり干渉を無くしたり、お節介が行き過ぎた行為に捉える等)、そして東日本大震災によって「絆」が再び注目されるようになっています。
この変遷を抜きにして社会は語れないと思います。
この議論は、山岸俊男『安心社会から信頼社会へ』で有意義な見解が述べられているので、興味のある人は是非とも読んでほしいです。
本書では、社会人と民主主義を結び付けていますが、所謂政治力が高ければ民主主義は高まらないし、大衆は政治に関心を持たなくなるでしょう(良い意味で)。僕はそれが理想だと思います。つまり、民意を反映していなかったり、横暴な振る舞いがあるからこそ民主主義や討論が活発になるわけで、大衆が『政治?そんなの、政治家に任せておけば大丈夫だよ』と他意無く言えるようになるといいなと思うんです。まぁ、現状の日本は政治が腐り過ぎて大衆も政治に関心が無くなるという悪循環に陥っていますが。
最近は話題にならなくなっていますが、豊かさと引き換えに失ったものを、もう一度考え直さないといけないと思います。そのための一冊としては最適なものに仕上がっていると感じました。
僕の評価はA-にします。
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