あらすじ
モノとカネがあふれる世界一の金持ち国・日本。だが一方では、環境破壊、過労死、受験競争、老後の不安など深刻な現象にこと欠かず、国民にはゆとりも豊かさの実感もない。日本は豊かさへの道を踏みまちがえた、と考える著者が、西ドイツでの在住体験と対比させながら、日本人の生活のあり方を点検し、真に豊かな社会への道をさぐる。
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Posted by ブクログ
カネとモノが至高とされる生活は果たして豊かさを享受できるのか。高度経済成長に邁進した先進国の人びとは周囲に忖度して己の意見を押し留めてしまい大切なものを犠牲にしてしまったのではないか。それに気づく人はまだいい。気づかない人はそれが正しいマジョリティだと盲信するのはカルトにほど近い。そこに安住はあるのか、その先には疲弊した福祉や教育となればまさに現在の日本だと筆者暉峻淑子は警鐘を鳴らす。現代に流布する言葉・コモンという共同富を使った自治論を展開する斎藤幸平はその流れを継承している。なるほど線は繋がる。そして私たちは本当に今、声を上げるべきだと感じる。
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エーリッヒ・フロムが『生きるということ』のなかで説いた、人間の価値様式、「持つ様式」と「在る様式」を日本という社会にプロットして論じた名著といえる。人間にとっての本当の豊かさについて教えてくれる。
がんばって働いても報われない、ひとりひとりのがんばり(特に過労死や自殺で死んだりすることもある)で支えられている経済至上主義と哀れとまで言える社会資本の貧しさのなかにこの国は存在している。
余暇活動の価値も到底認められないから、有給取得率だって上がらない。これでは日々の暮らしのなかで、文化的価値を見出し、友人や家族など、人と人とのかかわりあいを通じて、自己実現を果たしていくなんて到底夢のような話。生涯学習論の中ではずっとこの話はしてきたのに。
バブルのころよりはショボくなったんだろうけど、経済分野、土地への投機は相も変わらずこの国が大好きなこと。国の政策だって企業の設備投資を促すだの、結局は上から下へと流れていくもの(そして下には流れてこない)。社会資本整備、特に福祉への投資なんて政治家はいつもリップサービス程度。保育士や福祉職の待遇なんてどんな時も上がらない。
こんな日本が本当に豊かな社会なのか?と考える前に、すべてを読み終え唖然としたこと。本書が刊行されたのは、今から30年近くも前のことなのに・・・
結局のところ、今も昔も何も変わっていない。この国には進歩も本当の豊かさもあったもんじゃないのかと。
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この本はすごく良かった。studio-Lの山崎さんがオススメしていて興味を持って手にとって、まさに暮らしの豊かさについて考えさせられました。本当によく考えられている。お金を稼ぐために、ではなくて、「より豊かに生きる」ということを何十年、何百年と考え続けてきたエッセンスが詰まった一冊だと思いました。日本にも、このまちにもまだまだできることがあるなぁと考えさせられた一冊でもありました。
Posted by ブクログ
データは古いが本質的には今も変わらないと思う。どんな社会を目指すのか、そのために何をするのか。
"お任せ"はそろそろ卒業しなければ。
『個人の自由が、じつは共同体的な土台によって支えられていることを、私たちは忘れてはならない。』
Posted by ブクログ
まさに自分にとっては原点と呼べる本。
豊かさとはなにか?
その答えは、ないだろうし、明確にないということが答えなんかなーって思った。
だから、常に考えていなきゃいけない。なんのために生きているのか。なんのために働くのか。
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日本は海外から見ればこんな風に思われてるんだ。震災以後日本の様々な対応について、白い目で見られていることは明白。周りがどうではなく、自分はどうしたいのか考えなければいけないと痛切に思う。名著。
「しかし、考えてみると、日本から輸出される安い自動車やコンピューターの背後にも同じ問題があります。自動車を作っている下請け労働者の長い労働時間やウサギ小屋の住宅。少ない有給休暇や、退職したあとの老人福祉の貧しさ。そんな犠牲の上に作られた日本の競争するためには、ヨーロッパの国も同じレベルにまで勤労者の生活を落とさねばなりません。しかし、そうすれば、人びとが営々と何百年もかけてつみ重ねてきた基本的人権や福祉の社会は、経済競争のためにくずされてしまいます。日本の方が、国際社会の進歩に合わせるべきでしょう。日本人が、日本の中だけで生きていくのなら、日本人が好きなように、長時間労働でも何でもすればよいけれど、国際社会の中で生きていこうとするのなら、国際社会のルールに従ってほしい。」
Posted by ブクログ
高校生のときに読んで、自分の問題意識の根底にあったのは、これだったかと気付かされた1冊。
経済的な豊かさだけではない豊かさを考える。
日本は豊かな社会か、つねに問い続けていかねばならない問いでもある。
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私は流行語の勝ち組、負け組と言う言葉が大嫌いである。弱者にいたわりのない米国型の冷たい国、という印象を受けるからだ。日本は拝金主義が横行し、万事が金もうけに費やされる国である。子供は出世コースを歩むために幼いころより塾通い、会社に入れば今度は不毛な決して勝者のない競争社会である。本書ではこの原因は明治維新にまで遡るという。要するに富国強兵の精神が未だに根付いており、企業内では個人の人権はなく、憲法は企業の門前まで、と書かれている。著者はこの解決には時短、人権意識の改革が必要と唱える。まさにその通りであって、未だに週40時間労働が守られている会社はほとんどない状況である。今でこそ、ワークシェアリングと言われ出しているが、これも実現にはほど遠い現状である。読んでいて、土地の異常な高騰を招き、環境破壊が繰り返され る日本という国の将来を暗く感じる。
Posted by ブクログ
古本屋で出会った書籍のためおよそ30年前のデータや価値観で書かれたものですが、それでも現在の社会に対しても通ずる内容と感じます。
・当時のお金や物質的な豊かさばかりに囚われそれ以外の豊かさを国民が享受できる状況にないこと
・「健康で文化的な最低限度の生活」をうたいながら実際には生きるギリギリでしか支援が受けられないこと
・その他仕事や生活があまりにも豊かさを感じられないほどに厳しくなっていること
・これらに対する批判や提案とヨーロッパ(特にドイツ)での取り組みやそれによる生活の様子
これらがとても印象的に感じました。カネやモノでしか評価されない豊かさについて考え、人生や生活をどうすれば豊かで満足に生活できるかを考えるきっかけになるのではないかと思います。
Posted by ブクログ
良書。
さすがに古い。バブルの頃、そんな時代もあったなあ、って感じ。
だけど、今でこそこの本を読むべき。
人間は、生活に必要なモノ、カネがあれば良い。
金銭中心の文化は、人間の文明を滅ぼす。
いまだに、日本は裕福な国だとは思うので、自戒の意識を持つべきと感じた。
Posted by ブクログ
来年から私は労働者の一員になるわけだけど、労働は一歩間違えれば自分を不幸にするだけなんだと感じた
いますぐ労働環境を変えることは難しいけど、豊かさとはなにかが自分でわかっていれば労働に飲み込まれずに豊かさに生きれると思う
豊かさのヒントがたくさんつまった本でした
Posted by ブクログ
20140113 四分の一世紀経って自体は良くなっているか。その国の豊かさは、最も困窮している人に対してどのような処遇をしているかによって証明される。忘れないようにしよう。
Posted by ブクログ
物にあふれた日本の精神的な豊かさの喪失を危惧した筆者が、西ドイツと日本の比較を足がかりに、日本の豊かさの再検討をする。書かれている内容は現在の日本にも十分当てはめることができる。筆者は日本の長期間労働、社会インフラの不備、不十分な社会保障制度に着目し、少なくとも現在、将来の生活に不安を感じることのない行政サービスを提供していかなくては人々が精神的な豊かさを感じることは難しいと述べている。全体的に非常に考えさせられる問いを投げかける本であったが、筆者の西ドイツへの思い入れが強すぎて、少し冷静な分析ができていないのではと思う感じもあった。
Posted by ブクログ
最近書かれた本、だと思ったら「1989年」と知り驚いた。
バブル崩壊前にこの内容を書いて出版するのは凄く勇気がいったと思う。
刷も重ねられているが、恐らくバブル崩壊後に売れ出したのだと思う。
それにしてもまさに今にも当てはまる状況でもあり、この時点から一層状況が進んでいるのであれば事態は深刻
ただ、多少外国のいい所取りをして、日本と比較をしている感があった
Posted by ブクログ
日本と欧州の生活環境の差という視点から、人間としての豊かさについて考える。
驚いたのは、著者が実際に生活し、欧州の生活の豊かであることの例として登場したのが 西ドイツ。
西ドイツ…
この本が書かれたのは1989年。そうか まだ壁のある頃か…
あと、住環境の劣悪さの説明として提示された土地の値段のべらぼうさ。あぁ、この頃は噂に聞く泡の時代か…
ところどころ歴史を感じさせる部分はあるけれども、ささやかながら少しでも豊かな生活を求める一人としては頷くところが多い。そして、この本が書かれてから20年以上、改善されたところと変わらないところ、悪化しているところとを思ってしょんぼりする。
いいかげん、みんなで豊かになりましょうよ。モノではなく。お金ではなく。
“その国の豊かさは、最も困窮している人に対してどのような処遇をしているか、によって証明される、というが、その通りである。強者には政治はいらない。弱者のために政治は必要なのである。”(p.225)
Posted by ブクログ
20年以上前に書かれた本ですが、日本はその根本は変わってないんだなって思いました。
「日本は経済大国であるという。しかし、豊かな国ではない。」
悲しいけれど、そう思います。
豊かさとは何か、どのように豊かな人生を生き、豊かな社会をつくっていくか、考えていくべきなのだと思うのですが、そんな余裕すら持ち合わせていないのではないか、それを考えるということすらできないでいるのではないか。だから、いつまでたっても変わらないのでしょうか。
Posted by ブクログ
@yonda4
1989年に出版された本。世間はバブル期。
古本屋で理由なく手に取り、購入したがかなり考えさせられる内容だった。
本書の内容を簡単に要約すると、
「モノやカネを常に追求する日本社会の豊かさは間違っている。家族を愛す、自然を愛すなどのゆとりを持てる社会が本当の豊かさなのではないか」
ということ。
さらに一番重大と考えるのは
「この頃に挙げられている社会問題が何も解決していないこと」
例えば、労働時間が長い、有給休暇も自由に取れない、業務が膨大にあり常に忙しい、などなど。数えるときりがなく、現在では、働くところがない、という問題がプラスされている。
確かに一朝一夕な問題ではないと思うが、何かひとつでも解決する方向へ向かっているのだろうか?
比較対照として西ドイツの社会システムが挙げられている(西ドイツってところが時代を感じさせる)。
日本と西ドイツの社会環境と比べると、経済的には同じになったとしても、暮らしの質が格段にちがう。
日本人が馬車馬のように働いているのに対し、ドイツ人は毎日夕方からからビールのようなちがい。誇張しすぎか(本書にはこんな例はありません)。
戦後日本を復興させるために、国民全体が一生懸命に働いたことで今の社会があり、自分もその礎の上にいる。
「カネ」「モノ」も生きていく上でとても大切なもの。
でも、それらに縛られすぎる社会をどうしても好きになれない。
これからは本当に大切なものを見極めていきたい。
Posted by ブクログ
著者はかなりの平和主義者で、筆者の考えの軸は「日本は経済的には豊かやけど、精神的には豊かではない」ってとこかな。
全体的に、言ってることは間違ってない。
労働と福祉(特に高齢者介護)と住環境についての、日本の問題点を明らかにしてる。
この作品は20年以上前に書かれた本やのに、今の日本はそれから進歩したのか?
今、もう一度、読まれ直すべき一冊やと思います。
ただ、最初の筆者の西ドイツでの生活の部分は明らかにいらないwww
はっきり言って、あの部分がなければかなりの名著やと思うんやけど、あの部分のせいで筆者がただの西ドイツ好きでしかない感じを受けてまう・・・
あの部分は読んでて「なんや、ただの外国かぶれのおばちゃんやん」と思ってしまったwww
経済主体の社会に対して不満を抱いてる方、競争社会に疲れてしまった方、お金大好きな人間に食傷気味の方は是非。
Posted by ブクログ
30年前の本で読みやすかったとは言えないが、今にも通じる問いは多くあった。個人的には2,4,5章に学びが多かった。特に海外の豊かさを体験して、そのイメージを鮮明に持てることは大事なのだろうなと感じる。
Posted by ブクログ
日本は仕事きちがいだと言われる、本当にそうだろうか?日本は著しく平等な国と言われるがそれは形式的な平等なのではないか?もはや日本でもっとも貧しいのは東京、その東京を日本代表であるかのように謳うのどうなのか?さまざまな視点から「豊かさ」を見つめ直す。
Posted by ブクログ
1989年に刊行された本です。経済的な豊かさを至上の価値とする日本社会が本当の「豊かさ」を置き去りにしてきたことを批判的に論じています。
著者自身が見聞した(当時)西ドイツのすばらしいところと比較することで、この国の教育、労働、福祉などの問題点が指摘されています。現在のヨーロッパは金融不安と移民問題で苦しんでおり、本書で書かれているような理想的な国家ではないのでしょうが、本書で指摘されているわが国の問題は改善されるどころか、ますます深刻になっているようにも思います。
Posted by ブクログ
このタイトルでバブル期によく読まれた本なので興味があって読んでみた。内容を簡単にまとめると金銭的幸福に浮かれる現代(当時の)に対し、社会的幸せ(福祉やワークライフバランス等)を訴えている著書。いつの時代も同じことを訴えているが経済成長がないと社会的福祉の享受も難しいジレンマをどのように解決するかという点をもう少し突っ込んで欲しかった。結局は国民が格差があっても利益を追求するか、ある程度の全体の最適化を優先するかを選択するしかないと思うが。
Posted by ブクログ
労働や環境、社会福祉など4つの視点から日本が豊かでない点を述べている。
アーヴィングフィッシャー
「産業活動で自然破壊が生じることは、台所を広げて庭をつぶすにひとしい」
残業が10時間超えで育児と子どものアドビがなくなる。20時間で趣味や読書がなくなうr。50時間で夫婦の会話がなくなり、それ以上でテレビがなくなる。
Posted by ブクログ
20年以上前に書かれた本であり,
私は,状況はかなり変化した,ととらえた.
その変化は,いろいろあると思うが,
・この本が書かれた時代に労働者として描かれ,
成長期,バブル,不況のなかを経た,現在の壮年のトップ世代が,
(ややともすると過剰な)反省に立ち返っているようなこと
(老人優遇,ゆとり教育,男女共同参画),
・一部ではあるが,若者や中堅層が
現在進行形で押し上げ盛り上げているようなこと
(環境問題,社会企業,NPO,フレックスタイムやゼロ残業,CSRなど),
・先進国としての基準を満たしたもの,または
他の途上国のふりみてわがふりを直したところ
(トイレやごみ箱など衛生,社会資本整備,新自由主義的な利益主導の価値観の否定).
もちろん,都市部と周辺部で細部に差はあるだろうし,
労働業種によっては悪化したものもあると感じる.
問題によっては手付かずのものもあるかもしれない.
さらに新しい問題もうまれている.
その責任を負うのはだれなのか,という点は,この本では「国民」と漠然だが,
経済的問題として(社会人・企業人的視点)
政治的・地域的・社会的問題として(市民・国民的視点)
どう読むのが正しいのか.迷う一冊
Posted by ブクログ
この本を読む直前にミヒャエル・エンデの『モモ』を読んだせいか、豊かな生活を送るための必要条件としての「時間」というものを、強く意識させられました。
この本が出たのが1989年。さすがに引用されているデータは古いけど、ポイントとなるところは今の時代でも色あせていません。中でも、日本人の労働時間の長さや、通勤ラッシュを耐え忍んで狭苦しい家に寝に帰るだけの生活でいいのか、という問題提起は、いかにもこの時代ならではだなーという感じです。いまは、通勤ラッシュは変わってないけど労働時間は少しは改善されたのかな。
著者が西ドイツで過ごしたためか、西ドイツはこんなに素敵な生活だった、それに比べて日本はとにかく住環境が悪い、という論点がけっこうダラダラ続くので、そこはふんばりどころ(笑)この著者は当時の日本の住宅を「ウサギ小屋」って表現するのが好きだったみたいです。
環境問題について高い関心を寄せているのも、当時のトレンドを意識してる感じです。そして、「技術は失敗が許されるゆとりのある技術を使うこと。原発のようなギリギリの技術を使うことは、自然や人間にとって危険であるばかりでなく労働そのものを非人間的にする」という主張には、3月11日を境に世界が変わった自分たちとしては、ドキリとさせられる主張です。こんな主張が23年前にあったとは、という感じ。
データはもう使えないので、その点で☆は2つマイナス。でも、問題提起されることの多い「豊かな生活」というベタなテーマについて、23年前から噴出していた問題点を包括的に理解するには良い本だと思います。
Posted by ブクログ
西ドイツ在住経験のある著者が、日本と他の先進諸国との比較から、日本のもつ「豊かさ」の観念の特異性を説明する。
「豊かさ」というと、日本では一般に経済水準の高さと捉えられがちだが、西欧でいう「豊かさ」には人間性の尊重、自然環境の維持、自由競争の前提としての社会福祉の充実、が含まれている。
著者は、日本は「豊かさ」の実現の仕方を間違えたのではないかと、この本を通じて警鐘を鳴らしている。
20年前に書かれた文章であるが、今尚その批評は示唆に富んでいる。
ただし、ここで書かれている西ドイツでの「豊かさ」が、そっくりそのまま日本に当てはまるかどうかは、甚だ疑問である。
西欧文化と日本文化は、質的に大きく異なる。
導入できる考えと、日本にはうまく馴染まない考えとがあることは、識別されなければならないだろう。
Posted by ブクログ
名著ということで読んでみた。
少々物足りなかったかな。何となくだけれど幸せではないと感じている人は読んでみるといいかも。
おそらく書かれたのはバブルまたはそれ以前ではないかと思う。豊かさの本質はカネとモノだけではないのでは、という考えのもとに本当の豊かさを追求する。
私は、筆者のいう戦前の貧しさと戦争中の飢えを知る者に育てられた世代、に育てられた世代であるからか、物質的な豊かさが本当の豊かさとイコールではないという考えは簡単に受け入れられた。思うにそれは、私の父母の世代が豊かさとは何かということに迷いまたは疑問を感じていたからではないか。今ではもう必ずしも裕福=豊かさ、ではないと主張されて久しい。
というわけで、日本の福祉には問題が山積みであるとか、労働時間が長すぎるだとか聞いたことがあると、ドイツ他のQOLの高さを称賛し日本の状況にダメだしをする部分が、少々冗長に感じられるかと思う。5章まではそれが続き、6章でまとめられて対策が述べられている。
この本は、物質的な豊かさを豊かさと信じて疑わない人に新たな視点を与えるものか、または、何となく豊かさの中に満たされないものを感じている人に一つの答えを与えるものと言える。何となくだけれど幸せではないと感じられるとき、豊かさについて考えるよいきっかけとなると思う。ただし、本当の豊かさとは何か、を追求したい場合は物足りなく思える。