田中一江のレビュー一覧
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SF版ハリーポッターとは言い得て妙な。順番的にはこっちのが大先輩なんだけれども。
SF、というと自分はどうしても「星を継ぐもの」と「ニューロマンサー」の2作が真っ先に出てくるので、なんでもそれが基準になってしまう。それよりはずっと読みやすく、展開も理解しやすい。
ただ最近気付いたんだけど、海外の小説が日本語訳された時の文章表現って……生の全てを感じ取るのは難しいよね。当たり前なんだけど、海外の特産物を日本でも楽しもうとしたら、そのためには冷凍したり輸送したり何なりという工程が挟まってしまうわけで。もし現地の人達が食べてるものと同じものを本気で味わおうとしたら、そりゃもう英語をめっちゃ勉強して原 -
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エネルギーが枯渇して社会構造が激変した近未来のバンコクが舞台のSF小説。
遺伝子操作技術と、その根幹になる無傷のオリジナルの遺伝子が物語を回す主軸になっている。
遺伝子操作によって人工的に作られた歪な生物たち。
その技術とオリジナルの遺伝子を巡っての利権抗争と、遺伝子操作された生物を取り締まる人たちの努力がドラスチックに描かれている。
利権抗争も遺伝子組み換えも、すでに存在している技術の延長に過ぎないところが物語にリアリティを与えているようでだ。
遺伝子操作しなくても、交配によって自然に手を加え続けてきた人類に守るべき自然とは何なのか、進化とは何なのかを問いかけてる作品です。 -
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石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。
遺伝子組換動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物【ンガウ】を手にする。
ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。
彼とねじまき少女エミコの出会いは、世界の運命を大きく変えて行った。
(あらすじより)
このタイプのSF小説にありがちな事として、物語の前半を使って世界観や独自の文化を説明する手法がある。
最初は物語に入り込めず忍耐が必要だが、ここをしっかり読まないとその後の話にもついていけなくなるので、重要な -
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ネタバレ初長編で大きな賞を獲ったということで「『ニューロマンサー』以来の衝撃」がオビの売り文句になっているが、さらに言うと、雰囲気・手法もギブスンを意識しているみたいだ。
・遺伝子ハックやねじまきといった道具仕立ての細かい中身には立ち入らず、それらがいかにもリアルな世界で使われているという描写で世界観を描き出していく。ねじまきの性格がドMにデザインされているとか、人が錘になって動くエレベーターとか。この辺は読んでいて面白かった。
・タイを舞台にしてエキゾチックな感じをうまく出している。出てくる日本人のおかしさは相変わらず(ある意味正統的なステレオタイプ)。
・章ごとに入れ替わる多視点。語り手のバ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ異星人との戦争のために、優秀な指揮官を必要としている世界が舞台。
優れた兄と姉(しかし結局指揮官としては失敗作)の上位互換として期待されることになる主人公「エンダー」が、その期待がゆえに幼少時からあらゆる苦難を課される、なかなかに胸糞悪さを感じる展開だった。
タイトルとあらすじを見て俺TUEE系の話だと思って読み始めたのでちょっと打ちのめされてしまった。
確かに主人公は無双するんだけど、大人たちに無理やり引き出された自分の暴力性に脅えるところとか、かなり痛々しい。良き指揮官って何なんだ。
しかもこれで6歳なんだぜ?という超絶設定にどうしても引っかかりを覚えてしまう。 -
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Posted by ブクログ
多分、設定は面白いんだろう。
だがこれは手法の違いかもしれないが、きちんと時代や世界の背景、いろんな設定が明示されない展開にイライラする。
言葉一つにしても、それを普通に知ってるでしょう前提で言われても、もちろん読み進める内に多分と判るのだけど、多分で終わるのが居心地悪い。
別にこの作品だけでなく、そう感じる作品が多いと感じてて、もう、価値観とか世界観とか、少なくともSFがずーっと好きデスみたいな人だけが読んでくれればいいみたいな本が、好きではないのだな。
で、文体は嫌い。
人物はあんまり浮かび上がって来ないな。
ぼくにとっては、そう、いい小説ではなかった。