紺野けい子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
学生時代の友人の呼び出された馴染みの薄い町で広川が見つけたのは、同じ会社の須藤星見。
ストリートミュージシャンとしての能天気で楽しそうな顔を持つ彼は、会社では正反対の人格を作り上げていた。
女子社員を片っ端から食っている、と言われている須藤だが、なぜかわざと作っているようなその「悪さ」が、広川は気になって……
ストーリーもそうなんですが、私はこの漫画家さんのモノローグがすっごい好きです。
特に
うっかり信用した後で手の平返されるくらいなら
始めから引いたつきあいのほうがいい
―――そういうみっともない臆病さを
自覚させないでくれ
っていうのが好きー。
なんだろう、よくBLにありがちなお約束のエピソードがあまりなくて、というか「こういうエピソード」と語れるものが何もなくて、ただ仕事して飲みに行って話して……っていうのを積み重ねていくだけなんだけど、なんかいい。
広川さんの会話があったかいのと、カッコつけてるようでその「カッコつけてる」っていうのがたまに見え見えな須藤がかわいいのとで、なんかほんわかさせられました。
上手に生きたいのにそうできない、っていう須藤の葛藤も、細かい会話やエピソードでうまいこと伝わってきたかな。
あと、佐々木さんがものっそいいい味出してました。 -
Posted by ブクログ
BLというとどうしても学生者が多かったりするけれど、こちら少し大人の話。
紺野さんのしっかりとした画のレベルが高く、ひげ攻もカッコイイ。
絵ばかりじゃなく、中身もちゃんとしているのがこの人のいいところで、BLにしては珍しく普通に女の子がからんでくる。
もともと、出てくるのが全部男で、みんな受が好きでうっふんあっはんってのが好きじゃないので、中身のある話し大歓迎。
それにしても攻のかっこいいこと。
ちょっと女々しい、大事なときには逃げ出しちゃう受はいつものことだけど、それを追いかけて受け止める攻には毎度ほぅっとしちゃう。
けして強引でもなく、すんなり波乱からハッピーエンドに持って行く。
やっぱり読後って大事だよなー。
読み終わって、「なんで!? どこがどうしてそうなったの!?」ともう一度慌てて読み直さなきゃならないのは辛い。
この本は、別の意味でなん度か読み返す本でした。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ最近(でもないけど)のBLはやることだけがメインじゃなくなっているのが、とてもいい! と久々にBLコミックを見て思いました。
初期のBLって、正直、「女子向けえろ本」みたいな側面が確かにあったと思うんですけど、段々、精神論に依存して言ってくれているのは、とてもありがたいと思っています。
生ちょろい恋愛モノが読みたい日もあるんだ……。
というわけで、BLコミックキャンペーンになった時にあらすじもわからずに買った本のオンパレードがこれから続きます。
こちらは、バスケ部のかわいい先輩に告白された後輩ちゃんの話。
遊び慣れているかのように告白した先輩だけれど、経験値が上でモテる後輩にしてみれば、先輩の態度はみえみえで。
でもそんな風に一途に思われるのは嫌じゃなくて、気がついたらすっかり先輩一途になっている。
そんな話がみっちり載っていて、とても楽しかったです。
私が望んでいるゆるいラブラブBLなのがとてもよかったです。
当て馬カップルのシンとハルについては、もっと続きがあってもよかったかもしれませんが、これはこれで満足なないようでした。
ご馳走様です。 -
Posted by ブクログ
文庫化新装版。
再会愛と思いきや、ドロドロ系。小学校の教師をしている吹雪は、高校生の時に付き合っていた一つ年下の成尭と思わぬ形で再会します。兄の伊月から会社の部下で現在交際中の彼氏と紹介されたのが、成尭。
高校時代、成尭になつかれて付き合い始めた吹雪でしたが、彼はモテまくりの男で、地味な自分はいつか彼に捨てられるのではないかと恐れたあげく、一方的に別れを告げてしまったのです。
好きすぎて、というやつですね。酷い別れかたをした相手が、ずっと自分を恨んでいたのではないかという危惧と、今でも引き摺っている彼への想いのはざまで、懊悩する吹雪。さらには、伊月に対して重大なヒミツを隠しとおさねばならないプレッシャーと、成尭からの脅迫めいた要求に、心は乱れまくるのです。
この手の設定は、他の作品でも多く見られるので、読み手としては評価も厳しくなりますね。しかし、このテーマには興味津々にはなるんですよ。
若気の至りで、浅はかで愚かな自分勝手な保身のみを考え、下した吹雪の決断のツケがどうなるのか、気になって読まずにはいられないんです。
自分を大切に扱ってくれなくなるのでは、と不安になって関係を切ってしまう吹雪は、思考がとても女性的だと思います。また、ちらちらと様子を伺うかのような恋愛相談を弟に持ちかける伊月も、なんだか男らしくない。この二人、姉妹で一人の男を取り合っているような雰囲気があります。
そして、成尭もまだ吹雪を忘れることができず、伊月を利用して近づこうとしていると誤解されても仕方ないやり方です。もちろん、そこまで悪人じゃないことは後々わかってくるのですが。
もう少し、この3人のうちの誰かに男としての潔さがあったらな…と歯がゆくさせられました。
でも、この「恋愛残酷物語」を徹底的に嫌悪できないんですよね~
人を好きになると理性ではどうにもならないバカをやっちゃう気持ちを、完全否定しきれないからなんですよね。他人事と言い切れません。
感情で行動するのが恋だから、手酷く誰かを傷つけてしまう。その愚かさへの悲哀が、身にしみるストーリーです。