芳沢光雄のレビュー一覧
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<目次>
まえがき
第1章 深刻な問題
第2章 見直し力をチェックする
第3章 数学マークシート式問題
第4章 数学は「心」が大切
第5章 算数・数学は皆が大切にしたい教科である
第6章 算数・数学は個人差に合わせた教育を!
<内容>
「は・じ・き」「く・も・わ」という呪文のような解き方(は=速さ・じ=時間・き=距離)(く=比べられる量・も=元にする量・わ=割合)をただ当てはめれば、最低限の問題を機械的に解ける(小学校の算数)。これが小学校の算数教育の問題だと著者は言う。最後まで読むと、かなりヤバいことがわかる。全体的に、算数・数学は考える過程が大切な科目で、時間がかかるし、個人差がある科目であるのに、原理・原則を理解させずに、「暗記科目」化させているから、こうなっている、という。いわゆる「論理的思考」は、この考える過程から生まれるわけで、文科省は「効率」重視の今までの教育(算数・数学に限らず)方針を改めるべきだろう。「思考力・判断力・協動力」の前に、きちんとした学力だろう… -
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新聞の読書欄で佐藤優が取り上げていたので手にした一冊。
国語の重要性を説く数学者という意味では、藤原正彦と同じスタンス。藤原正彦の主張の多くに共感しているワタシとしては、本書の主張についてもウンウンと頷きながら読み進めることができた。マークシートの問題点を、国語・数学の例を挙げながら解説し、答えを「考える」のではなく、「当てにいく」姿勢になってしまうことを問題視する。マークシート式問題はよくないだろうと漠然と思っていたが、その理由を論理的に説明していてスッキリした。
ただ、どうしても引っかかるのが、本書のタイトル。最近の新書にはありがちだが、本書の内容と必ずしも合っていない。四章構成のはじめの三章は、ゆとり教育とマークシートの問題や入試に関する提言。ようやく最後の章になって、タイトルの内容になる。が、内容は濃いとは言えず、紙数も40ページほど。このタイトルに期待して読んではいけない。 -
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佐藤優が勧めていたため、本書を読んだ。
芳沢氏の著書は何冊か読んだことがあるが、内容的に浅いものが多く心配であったが、案の定本書も深い内容ではなかった。
本と映画とラーメンは他人の勧めに乗ってはいけない。
佐藤優の勧めだとしても、乗るべきではなかった。
しかし、既知の事柄を確認する意味はあったし、新たに得た知識もあった。
1991年の「大学設置基準の大綱化」が、改悪であったことは有名である。それまで、大学は文部省が決めた設置基準を完全にクリアしなければならなかった。しかし、この「大綱化」によって単なるガイドラインになったため、設置基準がゆるくなったのだ。その結果、主に以下の二つのことが生じた。
一つは、一般教養の自由化である。卒業までに124単位を取れば良いので、幅広い知識を身につける機会が失われてしまった。専門知識はリベラルアーツを基にすべきで、専門バカを生むことになった。
もう一つは、大学数の増加である。少子化にも関わらず、大学数が増えたことで、大学側は受験生を集めるのが難しくなった。
以上、二つの改悪は結果的に、何を生んだか。
大学が受験生集めに必死になり、入試科目を減らし、推薦入試を増やす結果になった。
では、その結果どうなったか、
アホな大学生を大量に輩出した。
高等教育のあり方を変えなければ、日本は沈没してしまう。 -
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数学は苦手ではなかったが、証明や補助線を引くような問題は結構苦手な方だった。
しかし数学の面白さは、実はこういう所なんだということを、社会人になってからなんとなく感じるようになった。なのでこの本の内容についても、興味を持って読む事が出来た。
世界のビジネスエリートに求められる素養。
・問題と原因と対処法を見つけて解決を図る事
・数字やデータを正しく読んだり使ったりすること
・自らの考え方に理解を得る説明が的確にできている事
・ほかの意見を公平に受け入れる精神を持つこと
そして日本の教育で証明問題が軽視されており、これは世界の流れと逆行していることに非常に危惧を抱いている。
そして証明力とは、数学の世界での話ではなく、普段の生活でも、証明する力を使うことで、他人に説明して理解を得る、説得する、行動してもらうためにも、その力は非常に有効であることが理解できた。
欧米のビジネスマン向けのワークショップでは「学習とは、行動の恒久的変化の中で経験や実践において結果を出すためのプロセス」と定義されていており、現在の状況を好転させるプロセスを「学習」と考えている。
日本語の学習とはだいぶ違うと思った。
またマークシート方式でのテストが蔓延することで、答えだけで途中の計算が軽視されているが、プロセスの大切さが実施は非常に重要であることを何度も言っている。 -
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「論理的に考え、書く力」をつけるための本ではない。「論理的に考え、書く力の危機」について数学教育の立場から記した本。最近、こういうキャッチーなタイトルの本が増えて困る。出版社の方も、タイトルと本の内容の整合性について、論理的によく考えてほしい。
さて、この本の主題である教育について考えてみると、センター試験が導入された当時、例えば難関私大入試には難問奇問がつきもので、国立大の二次試験も含め、大学入試は今より難しかった。センター試験には大学入試の良問化、標準化を目指すという目的があり、それなりに肯定的に捉えられていた記憶がある。
しかし、受験戦争を緩和したいという思いと、大学にも自由競争を促す政策と、人口動態上不可避だった受験生の減少。行きつく先は明らかで、大学生の習得レベルの低下という、国の競争力の将来に影を落とす結果になってしまった。多くの企業で最近の若手に物足りなさを感じているとしたら、その原因はゆとり教育のみならずということだ。
筆者は数学者の立場から、論述力の低下に着眼している。そして大学生の口から恐るべきことが語られる。彼らは数学の授業において、公式は教わったが、その証明については充分な時間が割かれなかったという。その理由は、ゆとり教育のため時間が無い、から、先生自身もよくわかってない、に移ってきているのだろうと思うとそら恐ろしい。論述力低下のスパイラルから抜け出すために何ができるのか、答えの主要な部分に大学入試改革があるのは間違いなく、こういうニュースにも注意を持ってないといけないと理解した。 -
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ネタバレ「数学的思考法」としてよりも、現代における数学(理科系)教育の問題点の方が印象が強く残りました。
よく数学の何が役に立つのかと聞かれたことがあります。
ここで書く「数学」というものが「計算能力・公式暗記能力」と解釈すると
まったく役に立つことはないでしょう。電卓、パソコンの方がどんなにも役に立つでしょう。
このように、日本の数学教育を受けると大切なのは最後に出てくる
「計算能力・公式暗記能力」の対価としての「答え」になります。センター試験が典型例ですね。
しかし、数学は「考える学問」であり、答えも大事ですが導く過程が何よりも大切なのです。この過程を経ることで「考える」ことを行う学問なのです。答えばかりを重視しているようでは数学は役に立ちません。このように考えると文系・理系関わらず数学の重要性を感じてもらえるのでないでしょうか。
この本は、「数学をなんで学ぶの」と思っている方は一度手に取るとよいと思います。 -
Posted by ブクログ
現役高校生のとき挫折した人を救済するような本ではない。学問としての数学への架け橋、あるいは実践的数学の入り口のような位置付けか。
定理→証明→例題→練習問題の流れ。証明がしっかりあって嬉しいのだが、数学挫折者にとって「どうしてそうなるの??」と引っ掛かるところが多い。そのため、苦手な人はとりあえず読み通してしまって、高校の時の数学とは違うイメージを焼き直すための本と位置付け、詳細な式や証明の処理の感覚やコツを身に付ける練習は他の参考書を使った方が良さそうだ。
こういった意味で本書は高校数学に新しい風を吹き込ませたい人のための本であるように思える。