中村啓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いや、まさか、まさか!
河出文庫でこんな読みやすいキャラクター小説みたいなミステリーが読めるとは……。
本作は3つの章からなる。主人公阿比留徹は童顔でサイコパス(後輩談)。数学が得意なエリート。でも周囲からかなり浮いている存在。でも嫌味なキャラではなく、むしろ個人的には庇護欲をそそられる存在。そんな彼と個性的な捜査一課のメンバーが殺人事件の謎を解き明かす。と言っても犯人が先に分かっているタイプのミステリー。
ミステリーとしてはシンプルでわかりやすい。262ページ程の本だが1時間半もせずに読み切れるほど、テンポよくわかりやすい。
まだまだキャラの関係性なども気になるところ。続編が出ればぜひ買いた -
Posted by ブクログ
中村啓『黒蟻 - 警視庁捜査第一課・蟻塚博史』中公文庫。
2017年7月に中公文庫が刊行した警察小説4作の中の1作。文庫書き下ろし。
テレビドラマにしたら、さぞや面白そうなストーリーなのだが、最初から続編ありきで書かれたようにも、枚数が足りなくてスッキリした決着が付けられなかったようにも思う。それだけに読後はモヤモヤ感が残るのが残念。
養子として警察エリート一家で育ち、実子である優秀な兄と比較されながらも、地道に事件と向き合う蟻塚博史は六本木で起きた爆破事件の捜査に疑問を持つ。独自に捜査を続ける蟻塚は踏み入れてはいけない場所へと辿り着く…
警察小説に有りがちな警察組織の利権絡みの隠蔽捜 -
Posted by ブクログ
ネタバレ敵対者達との終わり方はアッサリと終わった印象はあるが、シリーズの縦軸となっていた小比類巻の妻の真実に関して明らかになり、改めて登場人物達の所業に戦慄したと同時に切なくなるような真相ではあった。結局、全5巻を読んでわかったのは以下のことである。主人公である小比類巻を始め何人かの登場人物や事件関係者は「生」と「死」にこだわりがあって『大切な人を生き返らせたい』『不老不死の方法を見つけたい』と願い、科学を用いて倫理を超えてしまう愚かさ、その陰で両親を持たずに作り出された生命達(体細胞クローンや細胞を分化させ増殖させて生まれた人工生命体)が『何故生まれてきたのか』と苦悩しつつも生まれてきた結果、何かを