田渕久美子のレビュー一覧
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小泉セツという女性の強さが泣ける。
没落した武士階級の家に生まれたセツが、一人身を粉にして働き、屈辱に耐え外人の妾になる覚悟を決める場面は胸が熱くなった。
一方、ヘルンは誠実な紳士で、セツが併せ持つ武家の娘としての嗜み、苦労人としての庶民感覚に気づいて評価できるところに好感が持てる。
また、日本文化に強い関心を持ち、初めて見る日本に逐一感動する様子にこちらもわくわくした。
当時の外国人からしたら日本は別世界であっただろうからその衝撃はすごかっただろうな。
パリ万博に影響を受けた人の中にはゴッホら画家だけではなく小泉八雲のような作家もいたとは、パリ万博の功績は大きい。
ヘルンがなぜ小泉八雲に -
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小泉八雲とその妻セツの話。
まず、とても読みやすかった。歴史物、史実ものは人が練ったプロットではないので、展開があまりなかったり、状況説明続いて眠くなったりするのに、これはサクサク読めて、そこに感動した。NHKの篤姫や江の脚本を書かれた方だそうで、状況見えるような話の流れに大河の脚本家かぁ、と納得しました。…とここまで書いてからググったら、これもNHKでドラマ化されてました。
小泉八雲の生き方を全く知らなかったので、勉強になりました。明治維新の頃の武士の生活も垣間見れます。
ちょっと難しいのと、妾という単語でてくるので、中学校以上。児童向け小泉八雲伝記をよんでみたくなりました。
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本書を書いたのは脚本作家でもある田渕久美子さん。主に大河ドラマや連続テレビ小説などを執筆されており、本書でもそういった文章の味が出ている。例え松江に行ったことがない人でも昔ながらの松江の風景が頭の中に鮮明に浮かばれてくる。ストーリーとしては、非常にわかりやすく思わず感情移入してしまいそうになるようなタッチで描かれている。いつか本書を参考にNHKの連続テレビ小説になって欲しいと願うばかりである。
なお、本書は私の浅い読書経歴の中でも簡単にイッキ読みした本でもある。気づいたら1日で読み終わってしまった。いつか松江にある小泉八雲記念館にも訪れてみたい。 -
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ネタバレ明治の世となって数年。人々の思想も身分制度もことごとく覆され、誇り高き武士たちは行き場を失くし時代に取り残されていた。
そんな時代の松江藩が舞台の物語。
小さな頃から物語を聴くことが大好きだったセツ。武家の娘として蝶よ花よと大切に育てられてきた。
そんなセツの家も時代の波にもまれ没落。セツは家族を養うため身を粉にして働かざるを得なくなる。
一方、東の果てにある小さな島国・憧れの日本へ、新進の紀行作家としてはるばる来日したラフカディオ・ハーン。英語教師として松江の尋常中学校へ赴任する。
縁あってハーンの身の回りの世話をするため住み込み女中となったセツ。
武家と庶民、両方の感覚を併せ持つセツか -
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朝ドラ「ばけばけ」の小泉八雲とセツの物語。
ちょうど明治期の外国人や万博について調べていたこともあり、とても興味深く読めた
ラフカディオ・ハーンはお雇い外国人ではない。
アメリカで新聞記者をしていて、ニューオリンズの万博で日本の文化や芸術を知り日本に憧れの気持ちを持ってやって来た
元々ギリシャ生まれのアイルランド人でもあり、異文化や民俗学、昔話にも興味を持っていたのと、キリスト教が嫌いで人種的偏見の無い人でもあったらしい
一方、セツは没落した武士の娘で、働かない父と旧態依然の武士を捨てられない祖父たちの面倒をみていた
朝ドラと同じく、男たちは働かず、読んでいて腹が立って仕方がない
そんな -
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朝ドラ「ばけばけ」が始まった。小泉八雲とセツが過ごした松江が舞台になる知り島根県民としても興奮した。小泉八雲はその名前と怪談で有名であることを少々知っている程度で生い立ちや松江で過ごした期間についてほとんど知るところない。よい機会と思い本書「ヘルンとセツ」を手にとった。
題名のヘルンについて。本名はラフガディオハーン。その呼ばれはハーン(Hearn)の綴りを誤ってヘルンと読んだことだと本書を読み明らかになる。
ギリシャ人の母とイギリス人の父を持つヘルンは幼少期に両親が離婚。祖母に育てられるがその祖母も亡くなる。家族を失ったヘルンはまだ成人前。その後は記者としてアメリカへ渡り奮闘する姿が描か -
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最初は、二人が別々に書かれているので(当然ですが)ちょっと、戸惑いましたが、ハーンが日本に来てからは、スムーズに読めました。
ハーンは小説家なのかと、ぼんやりと思っていましたので、びっくりしたのと同時にとても日本を細かく抒情的に表現していることに感動していました。
外国に人だからこそ出来ることなのか、とも感じました。
この二人が出会うまでのお互いの人生の、何と波乱万丈なことにもびっくり。
「日本の面影」も併せて読んで、ラフカディオ・ハーンという人に興味がわきました。
終盤、「小泉八雲」という名前についてのくだりが、とても良かったなと思いました。