マルグリット・デュラスのレビュー一覧

  • 愛人ラマン
    映画よりも、小説のほうが中国人の愛人のことより、母親のことが書かれていると思った。母親の関心をひきたいから、愛人を作ったようにも見える。母親の愛は上の兄に注がれるだけ、主人公と下の兄は母を愛していたが、愛に飢えていた。母親は娘のことを殴ったりするけど、外を向いては子供たちを絶対に否定しない。そこには...続きを読む
  • 愛人ラマン
    母によって粗末に扱われたデュラスが、中国人男性とのマゾキスティックな性愛関係にアディクトすることで、必死にうちなる悲しみをのりこえようとする様が痛々しい。またそこに、植民地における支配-被支配の脈絡が、性愛化されて現れていく。この関係性の輻輳を破綻なくまとめあげるデュラスの力量が堪能できる一冊。
  • 愛人ラマン
    はじめてデュラスを読む。
    映画の中のインドシナの退廃的な雰囲気が忘れられず原作をと。

    映画では2人の逢瀬に多くの時間が割かれていた記憶があるのだが原作での描写は家族と私,彼と私,自分の周りの女性と私,という3つ程度にカテゴライズされる印象を受けた。

    そのため最初は暴力的な家庭と悦楽の記憶が交互に...続きを読む
  • 愛人ラマン
    大好きな小説です。フランス語分からないので原文がどうなってるのか分からないんだけど、とにかくアーティスティックな文体が大好きです。文がどんどん「、」でつながって行って最初は分かり辛いけどすごいパワーを感じる。翻訳本ってどうしても原文が透けて見えるようなものが多く、言葉としては元から日本の作家によって...続きを読む
  • 愛人ラマン
    はじめは戸惑った。だけど読み慣れちゃえばその後はもう一気。だって今までに全く読んだことのない種類の文章だったから、何ていうかこの小説の書き方が。
    徹底的に統制された奔放っていうんだろうか。この物語の背景にもなっているメコン河の流れのような流麗な文体の中に、時折織り込まれる氾濫みたいな長文や、逆流みた...続きを読む
  • 愛人ラマン
    その頃のインドシナの情景も目に浮かぶようです。
    「シロップを焦がした匂いが部屋の中に漂ってくる、それから南京豆を炒る匂い、中国風スープの、焼き肉の、いろいろな薬草の、ジャスミン茶の、埃の、香料の、木炭の火の匂い、」と続いて行く匂いを描写したところなんて、まるで自分がそこに居るような奇聞になった。
    ...続きを読む
  • 愛人ラマン
    『ヒロシマ、私の恋人』がマイブーム中のところ、古本屋で発見、再読。洗練された文章の中から、痛いほどの感情がわきあがってくる。やはりデュラスはいいわ〜とあらためて思いました。
  • 愛人ラマン
    フランス領インドシナで生きるフランス人の主人公の、中国人青年との性愛を中心に描いた自伝的小説。
    植民地の中でフランス人としては最下層におり生活に困窮しているため、中国人青年と関係を持つのはある種生活のためであるという義務感と、どれだけ困窮しようとも自分は白人であり黄色人種の中国人青年とは違うのだとい...続きを読む
  • 愛人ラマン
    p.180「そしていまようやく、彼女はその愛を見出したのだった。

    ちょうどのちに、死を横切って、下の兄の永世を見出したように。」


    散文詩とでも言うのか、あざやかな言葉と影像の塊によって描かれた小説。インドシナの地で、貧困と憎しみで結び合わされた家族と、思春期の変わった少女と、中国の青年との出会...続きを読む
  • 愛人ラマン
    はじめて読んだときは、『太平洋の防波堤』のあの無力感に圧倒されて、ただ、さっと流してしまった。
    改めてもう一度読んでみて、デュラスがこれを書かずにはいれなかった情熱と、一方でその情熱を持て余してやりきれないでいる彼女の姿が見えた。
    時系列や場所、人物に一貫性はない。彼女の筆が進むまま、記憶の連想が進...続きを読む
  • 愛人ラマン
     フランス人がベトナム人を見る、あるいは中国人を見るという視点がわかる本である。現在ならば差別小説になってしまうであろう。
  • 愛人ラマン
    再々々…読。私が生涯付き合うことになるであろう1冊。とはいえ筆者の脳内のフラッシュバックのように、時代も場面も異なる描写がランダムに出てきて読みづらい。それでも冒頭の「18歳で私は年老いた」からの印象的な数行と、少女がフランスに帰国するために乗った船を桟橋のリムジンが見送る場面からラストの数ページを...続きを読む
  • 愛人ラマン
    映像(イマージュ)という言葉が何度も出てくる通り、とても映像的な作品でした。正直、1度読んだだけで理解したとは思えないけれど、行った事もないサイゴンの街並みと、小説世界のけだるく倦んだ空気を感じたような気がします。
  • 愛人ラマン
    とにかく文章が魅力的。
    作中には「川」がよく登場し、デュラスもそれは意図的なものだったようだが、この文体にも私は「川」を感じた。
    流れるような、ときに歌うような、ときに小石にけつまづいて滞るも、すぐに走り出すような、奔放で流麗な言葉に魅せられた。
    イマージュのさざめき。

    きっと読むたびに豊潤な味わ...続きを読む
  • 愛人ラマン
     植民地時代の東南アジアが舞台の、エキゾチックな感じの恋愛小説だった。なかなか背徳的な感じもして面白いんだけど、場面の切り替えが多いし、外国文学特有の分かりにくい表現も多くてちょっと難しかった。
     主人公はフランス人の少女だけど、父親を亡くしており、家は貧しい。周囲とも上手くいっていない感じ。そんな...続きを読む
  • 愛人ラマン
    南方の植民地小説の典型かもしれないが、それでもデュラスの自伝的な作品という意味で私小説的な側面もあり、興味深く読めた。私小説的であるがゆえにデュラジア(デュラス+アジア)の真骨頂ともいえる。幻想と現在と過去と、そこを行き交う肉親と友人と愛人。南方独特の高湿な空気と、性に目覚めることでしか自我を獲得で...続きを読む
  • 愛人ラマン
    記憶と感情、情景をさまよいながら回想される中国人青年との情事。

    ぼんやりと記憶の中で浮かんでは消えてゆくふたりのセックスと会話。それに比べて、それぞれの人生を十分に歩んだ後のふたりが電話越しに話すラストにははっきりとした愛情の自覚があり、思わず涙が出た。

    なぜ「18歳にして老けた」デュラスは70...続きを読む
  • 愛人ラマン
    母の像が不確かで揺れているように見え、文字の隙間から「愛して、愛して」という悲痛な叫びと、方向性の違う盲目な愛情を客観的に赦しつつも「私は貴女に勝ったの」という怨念故の嘲りが浮かび上がってくるように思える。
    それからすると、金持ち中国人青年ってその実どうでもいいような道具にしか見えず、胡瓜や茄子で代...続きを読む
  • 愛人ラマン
     たたみかけるように澱みなく言葉が迫ってくる文章が印象的。
     文の途中で主語が変わったり、時系列がばらばらだったり、地の文に直接話法の会話表現が用いられたりと、一見読みにくさを感じさせるような文法も目立ちます。
     肌にまとわり付くように濃密な文章でありながら、肝心なことは何一つはっきりと語らないとい...続きを読む
  • 愛人ラマン
    彼女固有の鋭さも多分にあるが、少女期特有の感受性の鋭敏さと残酷さが、ひりひりくる。しかし最近再読したら、少女にのめりこまずにいられない中国人男性の切なさに感情移入。なぜだ…。