マルグリット・デュラスのレビュー一覧

  • 愛人ラマン

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    再々々…読。私が生涯付き合うことになるであろう1冊。とはいえ筆者の脳内のフラッシュバックのように、時代も場面も異なる描写がランダムに出てきて読みづらい。それでも冒頭の「18歳で私は年老いた」からの印象的な数行と、少女がフランスに帰国するために乗った船を桟橋のリムジンが見送る場面からラストの数ページを読みたいがために、それ以外の難解というか面倒な言い回しに耐えている感じ。特に最後の数行のパラグラフが最高に好きで、それを再び読むために何度も読み返す。私にとってはこのラストを読むためだけにある1冊とも言えそう。

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    2012年11月09日
  • 愛人ラマン

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    映像(イマージュ)という言葉が何度も出てくる通り、とても映像的な作品でした。正直、1度読んだだけで理解したとは思えないけれど、行った事もないサイゴンの街並みと、小説世界のけだるく倦んだ空気を感じたような気がします。

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    2012年07月19日
  • 愛人ラマン

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    とにかく文章が魅力的。
    作中には「川」がよく登場し、デュラスもそれは意図的なものだったようだが、この文体にも私は「川」を感じた。
    流れるような、ときに歌うような、ときに小石にけつまづいて滞るも、すぐに走り出すような、奔放で流麗な言葉に魅せられた。
    イマージュのさざめき。

    きっと読むたびに豊潤な味わいを感じさせてくれるであろう、深みのある作品。

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    2014年01月07日
  • 愛人ラマン

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     植民地時代の東南アジアが舞台の、エキゾチックな感じの恋愛小説だった。なかなか背徳的な感じもして面白いんだけど、場面の切り替えが多いし、外国文学特有の分かりにくい表現も多くてちょっと難しかった。
     主人公はフランス人の少女だけど、父親を亡くしており、家は貧しい。周囲とも上手くいっていない感じ。そんな環境だから、恋愛に没入していったのかなあ。すげえ浅い読みだな。

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    2011年12月31日
  • 愛人ラマン

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    南方の植民地小説の典型かもしれないが、それでもデュラスの自伝的な作品という意味で私小説的な側面もあり、興味深く読めた。私小説的であるがゆえにデュラジア(デュラス+アジア)の真骨頂ともいえる。幻想と現在と過去と、そこを行き交う肉親と友人と愛人。南方独特の高湿な空気と、性に目覚めることでしか自我を獲得できない主人公の価値観が絶妙な交配をみせる。圧倒的。

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    2011年10月22日
  • 愛人ラマン

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     たたみかけるように澱みなく言葉が迫ってくる文章が印象的。文の途中で主語が変わったり、時系列がばらばらだったり、地の文に直接話法の会話表現が用いられたりと、一見読みにくさを感じさせるような文法が目立つ(訳によるのかもしれない)。肌にまとわり付くように濃密な文章でありながら、肝心なことは何一つはっきりと語らないという点で淡々としている。好き嫌いは分かれそうだけれど、わたしは結構好き。言葉の本流に身を任せてほしいままに翻弄された。

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    2022年11月20日
  • 愛人ラマン

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    もう大変。
    とんだおおやけどってやつです。

    読み方がまずわからん。
    彼女はわたし?彼女もわたし?

    飲み込まれ、放り出され、やけどしつつ、溺れたり、慣れない読書でした。

    この暑い中読むのには適してしたかな。

    一言では言えない濃密な人生、しかもかなり前半で。
    生き延びるために快楽を存分に解放する。閉じ込めておくわけにはいかなかった、そうしたら死んでしまう。

    解説を読んだら理解が深まるかと思ったら、ますますドツボ。
    修行が全然足りませぬ。

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    2022年06月16日
  • 愛人ラマン

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    作者の自伝的小説。少女の愛と死、情念と苦悩の物語。作者は、作者自らの経験をもって、生きることがいかに愛と死に近く狂気に満ちているか詩情豊かに描いている。読者を作者の心酔する「美」の世界に誘う。

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    2020年08月03日
  • 愛人ラマン

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    マルグリットが少女だったころ
    さまざまな事情からデュラス家は貧乏だった
    早くに夫をなくした母は、実らない耕作地を知らずに買ってしまった
    フランス領インドシナにあるその土地で
    白人の最下層に立った母は、誰にも見下されまいと身をこわばらせ
    それがよくなかったのか
    子供たちの教育に失敗したあげく、精神を病んだ

    マルグリットはのちに、そのころを小説に書いて名声を得るのだが
    必ずしもそのことに満足したわけではなかった
    なぜならそこでは不道徳な真実が省かれていたからだ
    母の不安はマルグリットの不安だった
    精神的に、経済的に
    それを癒すため、彼女はみずから男を求めたのだった

    母が死に、兄たちも死に、年老

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    2017年06月16日
  • 愛人ラマン

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    サイゴンが舞台ですが、フランス領で教師として働く母とその子どもたち、植民地の不動産を扱う華僑一家と中国人が住むショロン地区…ベトナム人が登場しないお話でした。

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    2016年09月25日
  • 愛人ラマン

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    ネタバレ

    確か島本理生さんが文体に魅せられたと紹介していたので読んでみた。
    自伝的小説なのにほとんど現在形で語られ、一人称と三人称が混在しているのが斬新だった。が、翻訳によるところが多いので、たとえば村上春樹が訳したら1Q84みたいな普通の語りになるのではないか。
    この訳はかなり原文に忠実なようで、翻訳小説らしくセンテンスが長く、挿入句、修飾句が多く入り、日本人にはかなり読みにくいと思う。
    内容的には、長男にだけ異常な愛情を注いで家を破滅させた母親のせいで、15歳の若さで愛人を持ったヒロインに深く同調した。顧みられずに死んでいった下の息子も哀れであった。
    表紙の写真は著者が18歳のときのものだそうな。な

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    2012年07月05日
  • 愛人ラマン

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    ネタバレ

    最後まで読み終わってから全体を振り返ると、素敵なキレイな恋愛小説であった。かと思いきや、自伝であったようだ。
    中国人青年の思いは一方通行で報われないのかと思ったが、実は報われていてホッ。
    しかし、このあっちいったりこっちいったりの文章はなかなか読むのが辛かった。私には合わないのか、フランス文学を読みなれてないためか

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    2012年02月29日
  • 愛人ラマン

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    ベトナム行くといったら知人から餞別にもらいました。せっかくなんで現地で読んでみたけれど、思ってたのと大分違ってかなり観念的で真面目な文学でした。勝手にエロイメージを持ってましたがごめんなさい。そして、ちーと観念的に過ぎてあまり入り込めなかったか。。。

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    2013年12月11日