マルグリット・デュラスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
マルグリットが少女だったころ
さまざまな事情からデュラス家は貧乏だった
早くに夫をなくした母は、実らない耕作地を知らずに買ってしまった
フランス領インドシナにあるその土地で
白人の最下層に立った母は、誰にも見下されまいと身をこわばらせ
それがよくなかったのか
子供たちの教育に失敗したあげく、精神を病んだ
マルグリットはのちに、そのころを小説に書いて名声を得るのだが
必ずしもそのことに満足したわけではなかった
なぜならそこでは不道徳な真実が省かれていたからだ
母の不安はマルグリットの不安だった
精神的に、経済的に
それを癒すため、彼女はみずから男を求めたのだった
母が死に、兄たちも死に、年老 -
Posted by ブクログ
ネタバレ確か島本理生さんが文体に魅せられたと紹介していたので読んでみた。
自伝的小説なのにほとんど現在形で語られ、一人称と三人称が混在しているのが斬新だった。が、翻訳によるところが多いので、たとえば村上春樹が訳したら1Q84みたいな普通の語りになるのではないか。
この訳はかなり原文に忠実なようで、翻訳小説らしくセンテンスが長く、挿入句、修飾句が多く入り、日本人にはかなり読みにくいと思う。
内容的には、長男にだけ異常な愛情を注いで家を破滅させた母親のせいで、15歳の若さで愛人を持ったヒロインに深く同調した。顧みられずに死んでいった下の息子も哀れであった。
表紙の写真は著者が18歳のときのものだそうな。な