加藤嘉一のレビュー一覧
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中国で一番有名な日本人が聞いた北朝鮮主導層の肉声。という触れ込みですが、内容のほとんどは中国と北朝鮮との間の国境を旅したときの記録に終始しております。タイトルだけ見ていると違うものを想像するでしょう。
本書は題名こそ『北朝鮮スーパーエリート達から~』となってはおりますが、彼らとの交流が描かれているのは最初のほうだけで、後はひたすら筆者が中国と北朝鮮の国境を歩いたときに感じたことやであった人間との邂逅を記した記録となっております。
僕は本書のプロフィールではじめて知ったのですが、筆者は北京大学で朝鮮半島についての研究センターに所属していたのですね。それはさておき、北京大学というのは本当に中国のみならず、アジアのトップエリートたちの「プラットフォーム」になっているんだなと。筆者は彼らに近づくために偶然を装って毎朝のジョギングで何度も周回遅れにして彼らの心を開いていったという。そこで彼らから聞いた話に刺激を受け、北朝鮮との国境付近を歩いてみようと志すのですが…。
彼と出会う人々の過酷な運命と密輸の現場に分け入って、彼らのそれこそ、なりふりかまわない生き方に日本人である自分が想像すらできない日常を送っている人間たちがいることに衝撃を受けました。ただ、タイトルだけを見て買うと中身とのギャップにある種の『衝撃』を受けることが考えられます。これはいわゆる筆者の『中朝国境放浪記』であるということを念頭に置いた上で読まないといけないのかなぁ、ということを感じます。
その辺のことは僕にはよくわかりません。いいと思って買っていただければありがたい話ですが…。こればっかりはなんともいえません。ただ、国境付近には複雑怪奇な問題がはらんでいるもんだなと。それだけはなんとなくですが、わかった気がいたします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ社会学者の古市憲寿と日・中・英の3か国語でコラムを執筆している加藤嘉一の対談本であり、加藤が日本の現状について質問し、古市が答える形が主となっています。
1章では語学について、必要性から習得するものであり、実際に使用することで身につくと、ごくごく一般的な内容。2章では情報収集について、加藤は1冊の本を時間をかけて読み、古市は必要な情報だけを読み無駄に時間をかけない。新聞については、加藤は何紙も読むのに対し、古市の認識ではゴミ。3章では執筆について、加藤は集中して一気に書ききり推敲をしないのに対し、古市は他のことをしながら同時並行で進め、集中せずマイペースで行う。4章では自己管理について、加藤は計画的に集中・無心状態をメリハリをつけて行っている。また予定は手書きで行うアナログ派。古市はその時に会う人に合わせて行動し決まった作法はない。予定はグーグルで管理するデジタル派。5章では人間関係について、両社とも人間関係は利害が必要だと考えており、勘定からの友人はいないとのスタンスをとる。また加藤は30~60代からは知的な刺激ないので用はないとしている。6章では日本と中国について(本来ならこの部分をより掘り下げるべきだが)、加藤は日本の存在感が乏しく首相が何度も交代し、首相には権威がないと感じている。古市は冷戦時代が終わり今はもう政治の時代が終わっているので問題ないとする。7章では若者論について、中国で若者論が存在しないのは大きな格差があるからで、日本では格差が小さく年功序列もあって世代による格差でないと階層を分けることができなからだとしている。8章では各人の今後について、加藤は日本人を正しく理解してもらうために活動しており常に社会を考えながら発信し続ける言論人、古市は自己の問題として考えられる範囲で愛着もっているから発信を続けており周りに流されず読者を一緒になれる存在を目指す、という。
対談なので読みやすいです。ただ内容に目新しさはなく、互いの経験を話し合っており、加藤・古市のどちらかに興味がある人には面白いと思います。対人での振る舞い方は参考になるかもしれません。 -
Posted by ブクログ
意欲的なタイトルで、週刊誌のコラムをちょこちょこ見てたことから購入。北京大に留学し、8年間にわたる中国生活で「中国で最も有名な日本人」となったそう。知らなかったのは、中国の個人主義の集大成の「暇人」の存在だ。一日中、公園で寝ていたりする人たち。政治やオリンピックには全く無関心だが、根底にあるのは中国独特の半径5メートルのことを重んじる個人主義から生まれる「無関心」と説明している。そう言ったふわふわと空気にまん延する雰囲気はなかなか知れるものではない。
中国の反日感情という日本が抱える「チャイナリスク」は、中国では同じく「ジャパンリスク」ともなり得る。著者は「中国は日本と敵対することのメリットはない」と言い切る。感情的な好悪を乗り越えた連帯が必要で、そのためには、外国に対する日本のイメージそのものを払拭する必要があるのではないか。著者は第5章でとにかく「海外に出よ」と主張する。よく言われるところだが、日本の課題で簡単に解決できるのがまさに「海外に対するステレオタイプな拒否感」にあるからではないか。 -
Posted by ブクログ
北朝鮮は政治が悪い。しかし人民はどうなのか?そんな疑問を得た。
北朝鮮のスーパーエリート達は日本人のエリート達より更に努力をして勉強をしている。世界を分析し、英語と中国語を操る。
彼らは「言論の自由」がある日本で、それを活用していない日本人をあざけている。「日本の大学生の自己管理レベルはわが国の小学生以下だ」と。国家のために命をかける、と言い切れる北朝鮮の若いエリート。
かたや現状のぬるま湯につかり、行動を起こさない日本人達。
果たしてどちらの若者達が未来を作って行けるのか。私は幕末の志士達の志を思い出さざるを得なかった。
本書では中国の微妙な立ち位置も解説されている。北朝鮮は「鶏のレバー」。肉のついてない骨ばかりの鶏。うまみはもうないけど、レバーは残っているので、捨てるには惜しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高校三年になり、地方の大学に行こうかどうしようかと悩んでいるだけで精一杯のわたしからすれば、北京大学にスカウトされるよう自己PRするだなんて、よくそこまで行動できたなぁと敬服する。しかも中国語も話せないし知り合いもいない、お金もないときた。よほど強い意志がないと、できないことだと思う。
本書は中国で出版したものを、大幅に加筆修正して日本語版として出版したもの(ちょっと古い)。中国版を翻訳したからか、文章が少し読みにくいが、よく中国のことを勉強しているのが窺える。しかし、その一方で本当に日本のことを客観的にしか見てくれていないのだな、という印象を受けた。
まず「ぼくたち自身が選んだ総理大臣がなぜころころ変わるのか」とあったけど、わたしたちが直接首相を選ぶことはできない。直接選ぶことができないから、どの人が首相になっても同じだと思い、ますます政治離れが進む。
本書で著者が繰り返し言っている、中国とは切っても切れない縁だということも、だからこそ両国を理解することが、良い関係を築くうえで最も重要だということも、だいたいはうなずけるんだけど、理解できたからといって信用はできない。スパイ疑惑があったばかりだし、中国を知ることはできても、そのぶん不信感が募ってしまう。メディアを通して、知れば知るほど嫌な国に見えてくる。テレビでも新聞でもネットでも、中国が批判されるのにはそれなりの理由があると思う。
とはいえ、今回この本を読んだことで、いろいろと考えるきっかけにはなった。