菅野昭正のレビュー一覧
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ネタバレ【概要・粗筋】
「私」がプールサイドで友人を待っているときに見かけた初老夫人の魅力的な仕草から生まれた主人公アニュス。彼女の愛と悲しみと戦いの人生を描く物語(粗筋を書けるほど理解できていない・・・)。
【感想】
非常に難解な小説。断片的に理解はできるものの、一読しただけでは大まかにも把握はできなかった。それでも、語りの巧妙さから600ページものの長さを感じないほどどんどん読み進めてしまうほど不思議な魅力を持っている。
この小説の主要人物はアニュスを中心とするその家族たちなのだが、そこにゲーテやヘミングウェイ、実在の人物なのか架空の人物なのかわからないアヴェナリウス教授、ルーベンス -
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萩原朔太郎を中心にして、北原白秋、三好達治、伊東静雄、西脇順三郎といった近代日本の詩人たちにかんする論考を収録しています。
白秋は、外界の対象を「見る」ことと、その奥にひそむ実相を「観る」ことを区別していました。著者は、ものの実相にせまることで内面の喜びも深められることを示した白秋の詩のゆたかさを認めつつも、ことばを乱用するきらいのある彼が、通りすぎていく情緒をただ受けとめるだけに終わり、朔太郎のようにそれを執拗に彫り込んでいくことはなかったと評しています。
こうして著者は、本書の中核となる萩原朔太郎論に移り、「愛憐詩篇」「浄罪詩篇」『月に吠える』『青猫』『氷島』とつづく彼があゆんだ道を順 -
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フランス文学者・文芸評論家の菅野昭正セレクトによる
戦中戦後から高度経済成長期にかけての石川淳短編選集。
戦争に対する遠回しな皮肉や、
独特の恋愛観・女性観を反映した物語など、全15編。
中井英夫や澁澤龍彦が好んだと言われるだけあって、
幻想的・伝奇的な内容も出てくるが、
早い時期の作品にはナンパ師(笑)の登場が多く、
若かりし日の作者の分身かと苦笑い。
以下、特に印象的なタイトルについて。
「マルスの歌」(1938年)
書きあぐねる作家の耳に飛び込む、戦争を賛美する歌。
同調圧力にうんざりする彼のところへ従妹がもたらした
不吉な報せ、そして……。
暴力そのものへの直接的な批判では -
Posted by ブクログ
20年以上前だったと思うが、池澤夏樹さんが書評で激賞していた記憶がある。いつか読んでみようと忘れずにいたんだから、我ながら呆れる。
プールサイドで友人を待つうちに見かけた初老の女性の仕草。そこからアニュスと名付けた女性、そしてその夫、妹、娘たちの物語が始まる。つけられた名前は記号にしか過ぎず、神の目線を感じるばかりなのが、やがて血肉を伴ってくるような印象。著者や友人アヴェナリウスが邂逅する場面などドキリとする。
小説の前半はゲーテと、彼に付き纏い死後の名声を望む女性ベッティーナとの話にかなりのページが割かれる。批評のようであり、ゴッシップのようであるのは著者らしいと云えるのか。
後半に唐突な