三遊亭円朝のレビュー一覧

  • 真景累ケ淵

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    どこまでも付き纏う執念と、様々なところで繋がる因果が、読んでいて全く飽きなかった。
    そして、これが1人の人間によって書かれたことに驚愕させられた。

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    2021年02月13日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    ネタバレ

    15日間で1種の話をまとめた当時の寄席を講談速記したものだそうで、読み応え抜群。負の連鎖による奇妙なめぐりあわせ。有名なお露と新三郎の話が進む傍らで、孝助の物語が同時進行している。読み終えると、忠義の従者による仇討譚という印象が強まった。お露にも新三郎にも罪がないので、ふたりの結末は気の毒としか思えない。死者の執着より生者の悪行のほうが目立ち、孝助側は胸がすくような勧善懲悪の物語だった。

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    2020年09月18日
  • 怪談 牡丹燈籠

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     カランコロン カランコロン

     下駄の音を響かせ旗本の娘の亡霊が愛しい男の元へと通う。
     先導する女中の亡霊の手には牡丹燈籠、ぼんやり光る。


    三遊亭円朝の口演を速記で写した本です。
    読者としては、本を読みながら江戸時代の登場人物像を頭に描くとともに、
    円朝の口演を寄席で聞いているように各登場人物の声色や状況説明を噺家の声で想像するという、二重に想像できる楽しみが。
    さらに速記術というものの記録としても興味深いですね。たまに矛盾がある(登場人物の年齢とか)は、速記のための記載ミスか?と思われるとか。

    「牡丹燈籠」といえば、恋人に冷たくされ死んだ女の亡霊が男の元に通い祟り殺す、
    …というよ

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    2015年04月04日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    ネタバレ

    複雑な人間関係に翻弄されて少々読みにくい印象があるが、怪談としての秀逸さは相変わらず。
    牡丹燈籠が怪談の中でも特徴的な理由は次の二つ。
    まず、ここに登場する幽霊は、怨みつらみで化けて出る霊ではない。
    次に、幽霊であるにもかかわらず「足がある」。
    以上を踏まえてぜひ読んでいただきたい。
    露の想いの強さに、打たれる何かがあってほしい。

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    2012年07月30日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    これを読んでる最中に、CDで落語の「お富与三郎」と「真景累ヶ淵」を聴いたら、すべてが渾然一体となって訳が分からなくなったけど、楽しかった…。円朝まみれ…。

    もしドラえもんが現れたら、人形町の寄席末広で「牡丹燈籠」が15日間連続口演された明治17年に連れて行ってもらうことに決めた。

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    2011年05月29日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    円朝って天才なんだなーと思います。
    漱石が愛したのも道理です。
    初めて口語文体で書かれた本です。文学史的にも重要です。
    もっと円朝の名と牡丹灯篭が有名になって欲しいなぁ。

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    2009年10月04日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    落語の公演を速記しただけあって読みやすい。口語であり殆ど会話なので難しい話ではない。文久年間に成立したようなので勧善懲悪もの。牡丹燈籠を持って男のところに出向く幽霊のイメージが強かったが、前半は幽霊もの、後半は復讐もののようになっている。

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    2025年05月13日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    当たり前ですが昔の言葉なので読みにくいです。
    お露さんと新三郎さんの恋物語が有名ですが、私は孝助の敵討の話が好きでした。怪談というけれどほぼ人間ドラマです。怪談の部分はやっぱり落語で聞くのがおすすめです。映画もあるみたいです。
    人間関係が複雑で少し読みづらいところもありましたが、内容は面白いし、ラストもハッピーエンド?で良かったです。

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    2024年07月29日
  • 真景累ケ淵

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    古い落語話と侮ることなかれ。愛憎因縁殺戮の連続で、これを新作落語として連日高座にかけた圓朝何者やねんと思った。人物関係はやや複雑だが、今読んでもそれなりに読める展開の面白さと、ラストに大きな二つの物語が交わる巧妙さがある。

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    2024年01月27日
  • 怪談牡丹燈籠・怪談乳房榎

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    牡丹灯籠といえば、メジャー怪談の最右翼と言っても良いが、円朝は、それを20年にわたる復讐物語にして、登場人物に奥行きを持たせた。カランコロンと下駄の音…に強い印象を持つ人は、この噺の主題が生きている人間の欲望の強さ、醜さに更に圧倒されるだろう。

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    2022年03月14日
  • 怪談 牡丹燈籠

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     落語家円朝が幕末1861-1864年頃に、中国の小説などを元ネタとして作った物語で、1884(明治17)年にこれを速記した本が出版されている。話し言葉による物語なので、これはまさに「言文一致」である。
     読んでみると現代文とさほど変わらず、意外に読みやすいし、面白いからどんどん読めてしまう。そして物語は非常に複雑だ。登場人物も多くサブストーリーが錯綜し、おおきな物語を形成している。これを読んで「小説ではない」と断ずる理由は無い。西洋の近代小説と比較しても大変面白い、まさに小説作品なのである。もっとも私は上田秋成の『雨月物語』も見事な近代小説だと思っているので、逆に明治以降、そんなにヨーロッパ

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    2022年02月28日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    作者による口演を速記で読み物にしてある。江戸言葉のリズムがトントンと伝わる。

    牡丹燈籠と言えば幽霊話で有名であり梗概は勿論知っていたが、原作は主従敵の因果話や、勧善懲悪の仇討ち話までてんこ盛りとは知らなかった。人物像をシンプルに描き出し、感情移入させ、ハラハラさせて気を持たせる展開でぐいぐい引き込む。まったくストーリーテリングの妙がここにある。終盤のご都合主義もご愛嬌。

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    2018年11月05日
  • 怪談牡丹燈籠・怪談乳房榎

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    ネタバレ

    ・三遊亭円朝「怪談牡丹灯籠・怪談乳房榎」(角川文庫)は 先の「真景累ヶ淵」に続く角川の円朝第2弾である。こちらの方が有名であらう。特に「牡丹灯籠」は、歌舞伎としてよりも怪談として有名であらう。それに対して、「乳房榎」は歌舞伎として有名であらう。「累」の方は豊志賀の死が歌舞伎として有名であるが、ここだけ独立して演じられる。だからこの芝居全体を知ることはできない。実際問題、「累」があんな筋の作品であつたと知つたのはあれを読んだからであつた。ところが今回の2作、いづれも怪談として知られてゐ る。特に「牡丹灯籠」は例のお札はがしの場で有名で、ここだけで終はつてしまひさうな気もするほどである。しかし、実

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    2018年08月13日
  • 真景累ケ淵

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    ネタバレ

    ・三遊亭円朝「真景累ケ淵」(角川文庫)を初めて通して読んだ。さすがは累ヶ淵である。累がいくつも出てくる。「真景累ケ淵」といふと、私は歌舞伎の「豊志賀の死」をすぐに思ひ出す。落語ではなく歌舞伎である。この部分は死んだ豊志賀が姿を現すのだから歴とした怪談である。「実に芝居でいたす累とかお岩とかいうような顔つき」(75頁)で化けて出るのである。だから、ここがこの話のクライマックスかと思つてしまふのだが、実は全くさうではない。このことを私は知らなかつた。通しで読んでゐれば疾うに知つてゐたのに、それをしないばかりに大きな誤解をしてゐたのである。豊志賀、実は冒頭で殺された宅悦の娘であり、新吉、実は宅悦を殺

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    2018年07月01日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    立川志の輔さんの「牡丹灯籠」が素晴らしいので、その元ネタとなっているこの本を読むことにした。15日間かけて円朝さんがかたったという大作、見事だと思った。
    志の輔さんの噺を最初に聴いたときに、これは、日本のシェークスピアだと感じた。

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    2015年08月24日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    千年読書会、2014年10月の課題本でした。。

    落語の名人、三遊亭円朝による創作落語、
    明治時代の時、最新技術であった速記で記録されたもの。

    意外なほどに“怪談”要素は薄く、
    どちらかというと“仇討”が主な要素でしょうか。

    圧巻なのは、劇中の登場人物の多さと、
    彼らの関連性の複雑さ、“奇縁”とはよくいったもの。

    意外な所で意外な人物がつながり、
    “因果応報”をも考えさせてくれる内容。

    江戸時代の“匂い”も十分に漂っていて、
    かの有名な“カランコロン”の雰囲気もなかなか。

    そんな中、一番“怖かった”と感じるのは、、
    “生きている人間の悪意”、なんて風に。

    最後は大団円となるのが救い

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    2025年02月04日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    真景累ヶ淵に続きまして三遊亭円朝・・・
    これまた怪談噺・・・
    読んでて止まらなくなっちゃうんだなぁ・・・
    古い文章ですから、本来読みにくいんだけど・・・
    これがまたどうもスイスイ読めちゃう・・・
    クセになるなぁ・・・
    たまらんなぁ・・・
    元が落語ってーのもあるし・・・
    ストーリーもやっぱり古くさいんだけども、でも面白い・・・

    累ヶ淵に比べてしまうと因縁の怖さ、壮絶さが少し劣るんだけども・・・
    やっぱり深い因縁の話・・・
    登場人物が大体どっかで繋がっている・・・
    話が進むにつれてこんなに繋がっててイイの?って言うぐらい繋がっている・・・
    最後は悪いこたぁ出来ませんぜ、ってな勧善懲悪だけども・・

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    2012年09月12日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    夏だし、怪談でも、と思ったけど怖くないなー。幽霊出てこないもんなー。

    怪談かと思ったら敵討ちもの。うまくいってよかった。
    しっかし、おばけより人間の方がよっぽど怖いわ。
    円朝さんの名演で聴くことが出来たらよかったなぁ。

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    2012年08月03日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    ネタバレ

    感想より何より、まず一番驚くのは「あの日本三大怪談の一つである牡丹燈籠には本物の幽霊は出てこない」ってこと。びっくりだ。
    いや出てたのかもしれないが。どっちにも取れる。
    もちろん幽霊はお話に出てきます。あの有名な駒下駄をカランコロンいわせてるとか、描写も細かく力入っていて怪談物らしくそこは物語のハイライトでもあります、が。後半で伴蔵が実は幽霊は自分がでっち上げたんだという発言をし。
    で、考えてみればお露の幽霊に会っているのは萩原以外には実は伴蔵だけ(声だけならおみねもだけどこの二人はグルだし)、ということなんかに気づく。合理的に考えればこれがモロに答え。

    っていうことなんだけど、読者はやっぱ

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    2011年06月23日
  • 怪談 牡丹燈籠

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    女の幽霊が出る話だと思ったら、忠臣の敵討ち話だったのに驚いた。

    幽霊はほんの添え物の上、後半の記述から、ひょっとしたら伴造の狂言殺人だった可能性もあり、やはり生きてる人間が一番恐ろしい

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    2011年05月09日