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Posted by ブクログ
それは何ゆえ縁が切れたと仰しゃいます、なるほど親は乱酒でございますから、あなたも愛想が尽きて、私の四ツの時に置いてお出になった位ですから、よくよくの事で、お怨み申しませんが、私は縁は切れても血統は切れない実のお母さま、私は物心が付きましてお母様はお達者か、ご無事でおいでかと案じてばかりおりましたところ、こんど図らずお目にかかりましたのは日頃神信心をしたお蔭だ、殊にあなたがお手引をなすって、お国源次郎を討たせて下さると仰しゃッたから、この上もない有難いことと喜んでおりました、それを今晩になってお前には縁がない、越後屋に縁がある、あかの他人に手引をする縁がないと仰しゃるはお情ない
Posted by ブクログ
カランコロン カランコロン
下駄の音を響かせ旗本の娘の亡霊が愛しい男の元へと通う。
先導する女中の亡霊の手には牡丹燈籠、ぼんやり光る。
三遊亭円朝の口演を速記で写した本です。
読者としては、本を読みながら江戸時代の登場人物像を頭に描くとともに、
円朝の口演を寄席で聞いているように各登場人物の声色や状況説明を噺家の声で想像するという、二重に想像できる楽しみが。
さらに速記術というものの記録としても興味深いですね。たまに矛盾がある(登場人物の年齢とか)は、速記のための記載ミスか?と思われるとか。
「牡丹燈籠」といえば、恋人に冷たくされ死んだ女の亡霊が男の元に通い祟り殺す、
…というような認識だったのですが、通しで読んでみると随分印象が違いましたね。
大元の話である中国の「牡丹燈記」を円朝が江戸時代を舞台に膨らませたもので、主従の忠義あり、仇討あり、人情あり、裏切りあり、母子再会ありと盛りだくさん、幽霊話はほんの一部、しかも実は…という、本当に怖いのは人間だねえというお話。裏切りやら殺傷沙汰やらには、これは相当悲惨な終わり方か?!と覚悟したけれど一応因果応報と言うか悪行には報いが下り、忠義の心は報われるという幕引きでありました。全体的に女は報われないな~。f(^^;)
物語の舞台が地図上で分かる範囲で、地名が出てくるとどうやって移動したのかな?など想像しながら読みました。
舞台の旗本屋敷って私の会社の近くみたいです。旗本屋敷の地名が出てきたときには笑ってしまった(笑)
Posted by ブクログ
落語家円朝が幕末1861-1864年頃に、中国の小説などを元ネタとして作った物語で、1884(明治17)年にこれを速記した本が出版されている。話し言葉による物語なので、これはまさに「言文一致」である。
読んでみると現代文とさほど変わらず、意外に読みやすいし、面白いからどんどん読めてしまう。そして物語は非常に複雑だ。登場人物も多くサブストーリーが錯綜し、おおきな物語を形成している。これを読んで「小説ではない」と断ずる理由は無い。西洋の近代小説と比較しても大変面白い、まさに小説作品なのである。もっとも私は上田秋成の『雨月物語』も見事な近代小説だと思っているので、逆に明治以降、そんなにヨーロッパ文学に注目した「小説」をことさら作り始めようとする必要があったのかな、と疑問に思う。
本作、「怪談」と呼ぶにふさわしいのは、武士新三郎を恋い焦がれるあまりに死んだお露が、お付きの女とともに幽霊となって現れ、新三郎のもとを毎夜訪れるという、有名な話だ。これを映画化した古いものを以前観たが、いかにもおどろおどろしい雰囲気を作っていた。が、この本を読むとそんなにおどろおどろしいわけでもない。単に「死者の幽霊が出る」というコトへの恐怖が描かれているだけで、もともと恨んで出た霊ではないから害は無さそうではあるけれども、毎夜霊と会い続ける新三郎が次第に痩せ衰え、顔に死相が現れる、という点がまがまがしい。幽霊なるものがケガレ(気枯れ)と捉えられているために、常人がそれに触れると災厄を負う、という民間の思想が呈示されている。
が、この幽霊談はごく一部だけで、後半はそれとは直接つながらないストーリーで、別の青年が主人の仇討ちを果たす活劇となっている。複数の物語を取り込んだ複合体としての物語なのだ。
後半の主人公の善なる資質の表れとして、主人への「忠義」がしきりに強調されている。まあ、江戸時代の武士階級の常識なのだが、どうもこの「忠義至上主義」というものは、その流れが現在の日本にもひそかに受け継がれており、良い部分もあろうけれども、悪い思想ともなっていて、忠義だけに生きるゆえに、今や社畜などという経済奴隷が日本中に生まれそのストレスからしばしば凶事を行い、また、安倍晋三への忠誠から中央のエリート官僚が公文書を改ざんするなどという社会-悪に結実しているような気がする。上のもの=お上にひたすら尽くし、そのお上の行いの善悪については全く問わず、つまりひたすら隷従することにおいて下っ端は善悪等の判断を捨て去ってしまう。こう考えてみると、忠義そのものが善悪の一般倫理より上に来てしまうと、ロクなことにならないのではないか。
まあしかし、「忠義」に関する日本文化の「病」については、本書のレビューとは直接関係ないから、追い追い考えていこう。
本作は、幕末に生まれた豊かな小説作品として、多くの人を楽しませることが出来るだろう。速記による話し言葉のエクリチュール化が、このような奇跡的な結晶を実現してくれたのだ。
Posted by ブクログ
千年読書会、2014年10月の課題本でした。。
落語の名人、三遊亭円朝による創作落語、
明治時代の時、最新技術であった速記で記録されたもの。
意外なほどに“怪談”要素は薄く、
どちらかというと“仇討”が主な要素でしょうか。
圧巻なのは、劇中の登場人物の多さと、
彼らの関連性の複雑さ、“奇縁”とはよくいったもの。
意外な所で意外な人物がつながり、
“因果応報”をも考えさせてくれる内容。
江戸時代の“匂い”も十分に漂っていて、
かの有名な“カランコロン”の雰囲気もなかなか。
そんな中、一番“怖かった”と感じるのは、、
“生きている人間の悪意”、なんて風に。
最後は大団円となるのが救いですが、、
幽霊の方がよほど“純粋”だとも感じました。
よくもまぁ、これだけの悪意が集まるものです。
江戸の匂いが豊かに残っていたであろう明治、
これは“生”でも聴いてみたかったですねぇ、、
落語、未だに経験はありませんが、是非試したくなりました。
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