田口善弘のレビュー一覧
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知能とは非線形非平衡他自由度系によるシミュレーションである、という主張はともかくとして、近年のDL, AI の進展が要領良くまとめられている。1990頃までのneural network の研究と本質的な違いが無いのに、コンピュータ性能の向上によって莫大なデータを扱えるようになったことにより、パラメータ数も格段に増やしたにもかかわらずoverfittingの問題が何故か回避されてしまった、その理由は分からない、という専門家としての見識がこの本から得られる最も貴重な情報であろう。さて、知能というのもこの宇宙で起きている自然現象の一つであるから、非線形非平衡他自由度系で起きている現象であるという主張には納得がいく。しかし旧来の所謂人工知能研究で対象とされていた人工言語が論理を基礎に作られようとしていたものが役に立たなかったという評価であるが、こちらは「知能」とはちがう「知性」と深く関わっているという思いが残る。
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【いくつかのポイント】・非線形系非平衡多自由度系
・実は、私たちは「そもそも知能とはなにか」ということですら満足に答えることができずにいる。
・生成AIも人間の脳も現実のシミュレーターに過ぎず異なった限界を持っている。
・生成AIと脳という二つの別の「知能」があり、それらは全く異なった形で現実を解釈するシミュレーター。今後も無限個の「異なった現実シミュレーター」としての知能が出現する。
【目次】
第0章 生成AI狂騒曲
第1章 過去の知能研究
第2章 深層学習から生成AIへ
第3章 脳の機能としての「知能」
第4章 ニューロンの集合体としての脳
第5章 世界のシミュレーターとしての生成AI
第6章 なぜ人間の脳は少ないサンプルで学習できるのか?
第7章 古典力学はまがい物?
第8章 知能研究の今後
第9章 非線形系非平衡多自由度系と生成AI
第10章 余談ロボットとAI
あとがき -
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著者自ら評価する通り、生成AI研究の間近にいながらその可能性を見抜けなかった人なので、この人の未来に関する見通しはアテにならないが、これまでのAI 研究の経緯や動作原理などは非常にわかりやすく書かれていて、素人でも十分に深いところまで理解できる。自然言語処理がこう言う原理で動いていたなんて驚き。単純に確率だけで次の言葉を選んでいると思っていたが、脳内(メモリ内?)に関連度の距離に関する地図を持っているのね。その意味では人間の言語処理と似ていると思った。その地図がもっと精巧で広範囲になればヒトが持つスキーマに近いものになると思われる。恐らく時間の問題だろう。
ただ知能が高いことと、意思や感情を持つことは全く別なので、ロボットが人間を支配するようになるには別の発明が必要になるだろう。そしてそれは案外良いことなのかも知れない。少なくとも自民党の爺さん達よりは優秀そうだ。
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ネタバレ高校2年生のテストで17点を叩き出し、それ以来物理アレルギーとなった私のための本だと思って読み始めた一冊。
力学、電磁気学、熱力学、波動、原子・分子について、たとえや歴史的なエピソードも交えて、ずいぶんと噛み砕いて解説してくれているらしい…
※私にはそれでも難しかった笑
ただ、日常の現象を用いて解説してくれて、別のことだと思っていたことが実は同じ原理だということを理解できた。
例えば、ドップラー効果とスピードガンは同じ原理だったり、大小2つのボールの衝突が自動車事故や隕石の衝突と同じ原理だったりという感じに。
それでも、物理ではまだ解明されていないこともあるようだ…
もう少し違う本を読んで、改めて読み直したときにより理解が深まる気がする… -
Posted by ブクログ
なるべく数式を使わずに機械学習について解説してくださる本。映画の話が例えになっているのは内容に入りやすい。とはいえ基礎知識及び読解力、理解力が中学生を遥かに下回る有様な自分には難しい内容であった。
K近傍法、主成分分析、他次元尺度構成法、線形回帰、比重和、最小二乗法、線形判別、交差検定、過学習、ロジスティック回帰、マルコフ過程、決定木、ベイジアンネットワーク、カーネルトリック、深層学習、ニュートラルネットワーク、パーセプトロン、CNN、BERT、モンテカルロツリーサーチ、GAN、量子暗号…
自分の低脳さと勉学の必要性を気づかせてくれたことに感謝したい。
巻末にお勧めの本の記載があるのも嬉しい。 -
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DNAから連なるRNA、タンパクの生成をデジタル情報というアプローチから扱った書籍。
デジタルとDANの類似性というのは言われてみればその通りなのだが、この書籍のタイトルを見かけるまでは発想がなかった。
DNAの構造は二重らせんと言われるが、言ってみれば長い紐であり、そこから生成されるタンパクも紐から形成される。この紐からタンパクの立体構造が生成されるわけだが、これを3Dプリンタに例えているのが分かりやすかった。少し前に、NHKのサイエンスゼロでDNA折り紙の話が取り上げられていた、この話も関連するだろう。
デジタル情報としDNAを見た時のロバスト性という視点も面白かった。ロバストに対比される言葉がフラジャイルである。人間がコーディングするプログラムの多くはフラジャイルである。つまり、一箇所でも不具合があるとシステム全体が機能しなくなる恐れがある。
一方で、 DNAの情報はロバストであり、一部に誤りがあってもシステムとしては機能する様な冗長性がある。このことも他書で知ってはいたが、この様なシステム面からの視点でまた違って見えるというのは面白い。
過去には意味がないとされていたDNAやRNAにも意味が見出されてきているということも、紹介されておりこの分野は進展している様でまだまだわからないことも多いと感じた。 -
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「生命はデジタルでできている」、なんとセンセーショナルなタイトルだろうか。
知覚に閾値が存在すること、DNAが記号の羅列からなること。そしてなによりアナログにものを扱うことの難しさから、処理系がデジタル(離散的、という表現のほうがよいのではと個人的には思っている)だというのはなんとなく合点がいった。
それにしても、まだまだ未知の領域があり現在進行形でアップデートされている学問のなんとエキサイティングなことか。
生物学に関しては門外漢であるため理解が及ばない点も多々あったが、ざっくりとした理解と発展し続ける研究への期待感をもつことができた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ分子生物学 セントラルドグマ
遺伝情報
DNA→(転写)→mRNA→(翻訳)→タンパク質の順
DNA
すべての生物に共通
ヒト 30億塩基の長さの設計図
デジタルデータ ;音楽データすべて
冗長性のためネガポジの関係の二本鎖
アナログで不確実な化学反応をデジタル化
RNA
DNAの部分コピー ;プレイリスト
タンパク 立体分子;音楽:アナログな耳に届ける
ロバストなAI 多少のミスには耐えるシステム
ゲノムを読み説く≒リバースエンジニアリング
計測技術と解析方法
エンリッチメント解析
どの程度偶然なのかを定量的に観測する
精度は100%ではないが、マイクロRNAの機能を予測
マイクロRNAでリプログラミング
ゲノムをいじらないため、ガン化防ぐ
機能を知るために機能を停止してみる
タンパク
クーロン力で外界を動かす ;スピーカー
受容体=センサー 人間の光受容体は3元色のみ
酵素
抗体
ヘモグロビン
弱い結合で一酸化炭素(不完全燃焼)に結びつく
脊椎動物 火の無い水中で進化
オプジーボ
癌 免疫細胞のPD-L1と結合し正常細胞のふりをする
先にオプジーボがつき癌のPD-L1が結合できない
アレグラ
花粉症 炎症 防衛反応
受容体に別のものを結合させ炎症を起こさなくする
代謝 =生物の動力
化学反応でエネルギーを得る
メタボローム
三大要素(入力):タンパク 糖質 脂質
電荷比ごとに物質を分離
キャピラリー電気泳動動装置
飛行時間型質量分析装置
近年、網羅的に計測 同時定「量」解析=アナログ
ワールブルク効果
癌 酸素があっても解糖系でエネルギーを作る
フマル酸呼吸 -
Posted by ブクログ
生命はデジタルでできている、って最初見たときタンパク質のアミノ酸配列は、4種類の塩基の3つの並びでコードされている→デジタルなの言うまでもないじゃんと思っていた。あと転写や複製を行うための特殊な塩基の並びもコードだよねと。
しかしほとんどのDNAのデジタルデータはランダム或いは再初期化されていないノンコーディングなジャンクだとされていたのが、実はDNAからノンコーディングなRNAへの転写が次々に行われ、様々な制御を行っているなど、脇役どころかRNAたちの世界、トランススクリトームは細胞システムの主役のひとりであった、というのは大きな驚きだった。
RNA ワールドは、現在の生物の中にしっかりあるんだという衝撃。
ただ、分子内・分子間結合をクーロン力でひとからげに説明しているのは、ピュア物理学でいえばそうなのだろうけれど、言葉足らず的でわかりにくい。共有結合、水素結合、ファンデルワールス力による結合といった結合力の階層が、生命・デジタルの関係においても重要であるのに。
あとタンパク質を本書では、一貫して「タンパク」と記していたけど、呼び方が変わったのかな?あと調べてみよう。