中村明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本語の意味や語感にまつわる話題からはじまって、敬語のつかいかた、手紙の書きかた、さらに季節にかんすることばのつかいかたや、詩の鑑賞にいたるまで、日本語についての幅広い題材をあつかった本です。なお、おなじ著者による『日本語案内』(ちくま新書)の応用編にあたるようです。
とにかく日本語にかんする話題が広くとりあげられていて、ひとつの主題について論じた本というよりも、連作エッセイのような本として読めばよいのではないかと思います。
意味や語感にまつわる話題は、著者の他の本で読んだことのある話が多く、個人的には多少退屈に感じましたが、後半の季節にかんすることばや詩の鑑賞について書かれたところはおも -
-
Posted by ブクログ
たとえば「親戚」「親族」「親類」「身内」などといった言葉に、大きな意味上の違いは見出せない。しかし、僕たちは明確にこれらを使い分ける。「正月なので(?)が集まった」の(?)には迷いなく「親戚」を入れるだろう。「親族」や「親類」では「なんかちがう」。
意味がそう違わないのに、使える場面と使えない場面がある。その差を生み出すのが「語感」である。
本書の中で、中村先生は「語感」を3つのグループに分ける。すなわち「①表現する《人》に関する語感」と「②表現される《もの・こと》にかかわる語感」と「③表現に用いる《ことば》にまつわる語感」である。そのため、本書はこの3グループそれぞれを部立てし、それ -
Posted by ブクログ
”文章を書いて人に伝える”という機会が多くなるにつれて、自分の文章能力の無さを、ひしひしと感じています。
自分が伝えたいことと頭に浮かんだ言葉とがぴったり一致しない、複数の言葉の中からどれを選ぶべきか悩む・・・そんな自分を変えたいと思い、この本を読んでみることにしました。
日本語表現についての練習問題が、言葉の選択を中心に55題提示され、その問題に関する周辺知識についての解説が書かれています。
その問題は、「語感」というものを大きく3つのカテゴリーに分けて整理した上で、提示されています。
①表現する《人》に関する語感
②表現される《もの・こと》にかかわる語感
③表現に用いる《ことば》にまつわる -
Posted by ブクログ
日本人の知らない日本語の例題が豊富になったホンでした。普段何気なく使っていることばは、知らずのうちにTPOにより選択されていたことをクイズで形式であたらめて考えるとオモシロいです。居酒屋やファミレスやマックでドリンクという単語を見慣れ聞き慣れているが、うちでドリンクという単語を発することがないように。気付きが多いホンでした。トレーニングクイズでときどき間違えると自分の日本語の使い方が不安になります。特徴を思い出させる表現のうち、鷲の鼻○かばの鼻×鷲の口×かばの口○の組み合わせを間違えました。鷲鼻とはいうものの、鷲とかばの鼻と口は見かけでは一体化していて私の語感だとどっちでも良い具合でした。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
「語感」ほど、誰もが確信を持ちながら、逆に普偏的な説明の困難な言葉も珍しい。
感覚的な言語論を超えた語感の整理・分析は、いかに行なわれ得るのか。
本書は、言語行動の三つの要素、つまり、表現主体である人間、評現対象である物事、そして表現手段であることばから語感を分類し、さらに、語彙体系の影響、言語的環境のバランス、語の用法や使用頻度などにも言及しながら、豊かな言語生活を楽しむヒントを提供するものである。
[ 目次 ]
1 ことばのひろがり
2 語感とは何か
3 類義語の意味関係
4 表現者の影
5 対象の照り返し
6 ことばの体臭
7 語感の環境
[ POP ]
[ おすす -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
文字、音声、語彙、文法といった基礎知識を習得しても、それだけで日本語がなめらかに操れるわけではない。
ことばを扱う場でどうすればよいかという応用技術こそが大切である。
本書は、あいまいさや誤解を防ぐために必要な知恵、上下関係が錯綜するなかでの敬語の用法、手紙に込めるちょっとした心遣い、作家たちが紡ぎだしてきた美しい表現など、生活をゆたかにするための、日本語ならではの技を伝える。
[ 目次 ]
1 意味の世界
2 語感のひろがり
3 あいまいさの発生源
4 誤解のメカニズム
5 行動としての敬語
6 手紙のセンス
7 日本語の四季
8 日本語の芸術
[ POP ]
[ おす -
-
Posted by ブクログ
(私の表現力が、人様のそれをどうこう言えるレベルじゃないことは分かってます。それをあえて無視した感想〜)まず。この本のタイトル。「センスある日本語表現」を論じる本にしては普通すぎるのでは。
全体として、色々な言い回しを比較して、そこから受ける感覚の違いや、時代による変遷などを書き表した本。著者は色々カテゴリを分けてはいるけど、内容はちょっと散漫だなあと感じる。もう少し本としてのまとまりをつけて欲しかったかな。
あとは、感覚の違いを実感。1935年生まれの著者による、1994年初版(私が読んだのは1997年出版の第7版。これってすごいことのような気もするが、単に時代に合わせた推敲なのかもしれない