大津透のレビュー一覧

  • 律令国家と隋唐文明

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    日本古代の律令国家形成を、隋唐文明との関わりから著述しています。時代は遣隋使が派遣された推古朝から、中国の礼が継受されて儀礼が整う弘仁・貞観期までを扱っており、途中で律令制の概説(官僚制や戸籍・民衆支配など)を挟んでいます。
    帰化人が国家建設に果たした役割や、吉備真備や鑑真ら海を渡った人々の功績が、それぞれ章を立てて解説されているところが印象的です。やはり古代史、律令国家は面白いと思わせる一冊です。

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    2020年05月14日
  • 律令国家と隋唐文明

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    さすがは古代史の大家、と思わせてくれる重厚な新書。しっかり、たの研究者の説などをわかるように示してくれているのが非常にありがたい。かつ、鬼ノ城や吉備真備など、岡山愛が感じられるのも新書らしくて良い。隋唐といいつつも、特に唐の文化が日本に与えた影響というのは、やはりとても大きかったのだなと改めて考えさせてくれた。

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    2020年04月27日
  • 律令国家と隋唐文明

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    古代日本において、対外的な軍事的緊張を契機として律令国家が成立していく過程を描く内容。輸入された律令と大和王権の独自性の相克を消化しつつ、国家体制が整備されていく過程が興味深かった。

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    2025年07月18日
  • 天皇の歴史1 神話から歴史へ

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    神話の時代から天武天皇まで。詳細な記述を堪能した。卑弥呼が戦前の皇国史の中でどの位置に同定されていたのか、興味深いところだったが、著者によれば、西暦239年(己未、景初3年)の卑弥呼による朝貢の魏志の記述に合わせるために120年遡って神功皇后の「日本書紀」に神功皇后による朝貢との記述津があること、また「百済記」の記述を合わせていた!明らかに卑弥呼に比定する意図があるとのこと、これは初耳だった。それ以外は説明が無かったが、私としては著者が飯富皇女(顕宗・仁賢天皇の姉?)がシャーマンであり、もしかすると清寧天皇後に女帝に即位していたかも…との記述(P188)から、むしろこの皇女が卑弥呼のイメージに

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    2022年08月24日
  • 律令国家と隋唐文明

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    国郡里制や条里制について知りたかったので期待と異なる内容だったが、知らない事ばかりで興味深く読めた。特に平安以前の日本政府がこんなにも外交を活発に行っていたとは全く想像外だった。

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    2021年12月31日
  • 律令国家と隋唐文明

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    ネタバレ

    20200818-0829 大和朝廷の成立、壬申の乱から天平時代、平城京に至るまで、隋唐の影響は大きかったことを再認識させられた。

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    2020年09月01日
  • 律令国家と隋唐文明

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    奈良時代について、つい政治史などに目が行ってしまうのだが、このような制度史的な部分はやはり重要。なるほどと思わせる部分多々。歴史はいろいろな面から見ないといけないと改めて思った。

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    2020年06月08日
  • 律令国家と隋唐文明

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     飛鳥時代から奈良時代に至る6世紀-8世紀に成立したとされる大和朝廷による律令制度、これを隋や唐という律令の規範に照らし合わせながら、その導入に至る経緯や国際情勢について時代を追う形で確認していく。次第に明らかになっていくその全体像が至る形は、唐風様式の受入れとその継続というものだった。
     そして律令制度は形を変え意味合いを変えて、それでも形式上は廃止されることなく明治維新を迎えることになるのである。
     これは、例えば天皇の即位にあたっても、江戸時代最後の孝明天皇までは唐風の装束で、つまり中国式の衣装で即位の式典が執り行われてきたことの背景である。
     今、天皇の即位にあたって、「古式ゆかしい」

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    2020年05月16日
  • 律令国家と隋唐文明

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    ネタバレ

    <目次>
    はじめに
    第1章  遣隋使と天皇号
    第2章  東アジアの緊張のなかでの権力闘争
    第3章  律令制の形成と「日本」
    第4章  固有法としての律令法
    第5章  官僚制と天皇
    第6章  帰化人と知識・技術
    第7章  吉備真備と「礼」
    第8章  鑑真来日と唐風化の時代
    おわりに

    <内容>
    タイトル以上に7世紀から8世紀の日本史を最新の知識でまとめた内容となっている。特に近年の東アジア史の中の日本、という感じがよく出ている。

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    2020年04月08日
  • 天皇の歴史1 神話から歴史へ

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    日本の歴史を改めて知ろうとしたら、やはり天皇と公卿の成り立ちからかと思い、この本を手にしました。

    なかなか難しく、かなり読みきるのに時間を要してしまいましたが、とても勉強になる一冊でした。

    天皇家のレガリアが玉、鏡、剣の三種神器であることを知って、宝剣が大切に保管されている奈良の神社まで出掛けてしまいました。大和王朝の始まりの地の息吹も感じてきました。

    かなりたい子の昔から、朝鮮や中国との外交や争いがあったことには驚きました。もっと日本は歴史的に孤立していたようなイメージがあったので、もっと大きいスケールで日本の歴史を学び直す必要性を感じました。

    昔は皆名字を持っていたことも驚きでした

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    2023年10月04日
  • 律令国家と隋唐文明

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    タイトルの通り、律令国家成立に至る過程を、中国を中心とする東アジア情勢との関連の中で解き明かしていく。資料や先行学説の紹介もきめ細かく、古代史研究の最前線に触れることができる、充実の一冊である。

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    2020年05月23日
  • 天皇の歴史1 神話から歴史へ

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    2010年に刊行された「天皇の歴史」シリーズの文庫版。2016年の天皇明仁(当時)が発した「象徴としてのお務めについてのおことば」を契機とした議論の高まりが文庫版の出版に繋がったようだ。副題にある通り、神話時代における天皇系譜の成立過程を探るのが本書の趣旨であり、それは史料なき時代の考証を、記紀やその他の後世の史料の批判的読解から行おうとする試みとなる。当然ながらわかり得ぬものを扱うため推測が混入することを防ぐのは不可能だが、各種史料を複合的に批判してその裏にあるものを炙り出そうとする専門家たちの苦闘がよく伝わってくる。

    国内の史料が乏しい「倭の五王」以前を扱う第1章は比較的シンプルでわか

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    2019年05月26日
  • 天皇の歴史1 神話から歴史へ

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    天皇制はどのようにして生まれ、なぜ現在まで続いてきたのか。その誕生は東アジアの国際関係と関係があった。中国の晋の冊封を受けた倭の五王、そこから離脱してワカタケル=雄略は小帝国を目指す。その延長上で大王、そして天皇を号するが、それはやがて律令国家の中央集権制を支えるために必要不可欠の道具となった。

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    2018年11月22日