あらすじ
中国の王朝が隋から唐へと移り、朝鮮半島から戦火が迫る。古代日本の律令国家は、そうした極度の軍事的緊張のなかから生まれた。国土防衛と権力集中への模索から、海を介した人々の知的交流、制度にとどまらない文明の継受によって、独自の国制を築く過程を描き出す。東アジアを舞台とした、「日本」誕生のドキュメント。
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Posted by ブクログ
日本古代の律令国家形成を、隋唐文明との関わりから著述しています。時代は遣隋使が派遣された推古朝から、中国の礼が継受されて儀礼が整う弘仁・貞観期までを扱っており、途中で律令制の概説(官僚制や戸籍・民衆支配など)を挟んでいます。
帰化人が国家建設に果たした役割や、吉備真備や鑑真ら海を渡った人々の功績が、それぞれ章を立てて解説されているところが印象的です。やはり古代史、律令国家は面白いと思わせる一冊です。
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さすがは古代史の大家、と思わせてくれる重厚な新書。しっかり、たの研究者の説などをわかるように示してくれているのが非常にありがたい。かつ、鬼ノ城や吉備真備など、岡山愛が感じられるのも新書らしくて良い。隋唐といいつつも、特に唐の文化が日本に与えた影響というのは、やはりとても大きかったのだなと改めて考えさせてくれた。
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古代日本において、対外的な軍事的緊張を契機として律令国家が成立していく過程を描く内容。輸入された律令と大和王権の独自性の相克を消化しつつ、国家体制が整備されていく過程が興味深かった。
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国郡里制や条里制について知りたかったので期待と異なる内容だったが、知らない事ばかりで興味深く読めた。特に平安以前の日本政府がこんなにも外交を活発に行っていたとは全く想像外だった。
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奈良時代について、つい政治史などに目が行ってしまうのだが、このような制度史的な部分はやはり重要。なるほどと思わせる部分多々。歴史はいろいろな面から見ないといけないと改めて思った。
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飛鳥時代から奈良時代に至る6世紀-8世紀に成立したとされる大和朝廷による律令制度、これを隋や唐という律令の規範に照らし合わせながら、その導入に至る経緯や国際情勢について時代を追う形で確認していく。次第に明らかになっていくその全体像が至る形は、唐風様式の受入れとその継続というものだった。
そして律令制度は形を変え意味合いを変えて、それでも形式上は廃止されることなく明治維新を迎えることになるのである。
これは、例えば天皇の即位にあたっても、江戸時代最後の孝明天皇までは唐風の装束で、つまり中国式の衣装で即位の式典が執り行われてきたことの背景である。
今、天皇の即位にあたって、「古式ゆかしい」衣冠束帯を身に着けた儀式が紹介されるのだが、実は本当のところは江戸時代まではそんなものは着ておらず、中国の服を着ていたのである。これが真の伝統と言えるだろう。
隋と唐、そして律令のなんという影響力だろうか。
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<目次>
はじめに
第1章 遣隋使と天皇号
第2章 東アジアの緊張のなかでの権力闘争
第3章 律令制の形成と「日本」
第4章 固有法としての律令法
第5章 官僚制と天皇
第6章 帰化人と知識・技術
第7章 吉備真備と「礼」
第8章 鑑真来日と唐風化の時代
おわりに
<内容>
タイトル以上に7世紀から8世紀の日本史を最新の知識でまとめた内容となっている。特に近年の東アジア史の中の日本、という感じがよく出ている。