オルダス・ハクスリーのレビュー一覧

  • すばらしい新世界

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    面白かったかどうかと言われれば微妙な気がしますが、興味深く、羨ましい社会だなと思いながら読んでいました。無駄なしがらみに縛られない、要らぬ煩いを忘れられるなんて、なんと羨ましい。これのどこがディストピアなんでしょう、ユートピアの間違いでは?

    未来記が読者の興味を引くのは予言が成就する可能性を感じる時のみ、との記述が1931年時点及び15年後の作者の前書きにあります。2026年現在、すばらしい新世界の技術は(こういったディストピア物語に珍しく)あまり現実にはなっていません。せいぜい文化大革命とカンボジア政権くらいでしょうか。残念なことに未だに子供は母親の胎内から生まれてくるし、家族愛は据え置きで、社会は不安が募るばかり、生活はちっとも楽にはならない、老化もすればスパゲティシンドロームで無駄に延命をさせられるまるで真逆の社会が完成しています。
    文明人から見た新世界は素晴らしく、ジョンから見た新世界は文明も存在しない世界のようです。猿は文明人なのかジョンなのか、気が狂っているのはバーナード達文明人なのか、未開の地から来たジョンなのか、とても極端なのです。しかし、現在先端の文明社会を生きる日本人の私としては、この文明社会は羨ましいと思います。なぜ子どもを産むことを推奨されねばならないのか、そんなに日本人を増やしたいならフラスコレビーの研究をしろと。私が欲しいのは自由であって、せんたくのじゆうとたのしみであって、子育てだの結婚だのそれことこの社会のように1人の男や子供に縛られたくないのです。
    ですが、本が読めないというのは辛い、本は読ませて欲しいです。

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    2026年07月26日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    前半では社会のあり方やそこに生きる人の価値観を描き、後半ではその社会を外部から観察した際の違和感を野蛮人ジョンの視点から分かりやすく描いている。
    苦悩や障害を超えることで得られる達成感が重要である、というジョンの主張のもとにディストピア社会を批判しているが、自分は社会に馴染めるタイプだろうなあと思いながら読んだ。苦労せず短絡的な快楽を得たいという思想と、何かを乗り越える過程にこそ意味があるという思想は優劣のつくものではなく、この作品でいうところの条件づけ次第で好むものが変わるという話なんだろう。
    1984年は寡頭政治のトップが権力を握り続けること(権力は権力のために存在し続ける)を目的に社会を維持するのに対し、素晴らしい新世界では安定性とそのための民の幸福を目的として社会維持を行っているという差が大きなポイントだと思う。1984年を読んだ時と比べ興奮が小さかったのは、登場人物を通して感じられる社会の絶望感がそこまで強くなかったからだと思う。この社会では適合できなければ島に送られ同じ特性を持つ人間と暮らすこともできるし、そもそも社会の中にあって幸福度が高く抑圧されていない(一部の人間を除いて)。そういう意味で、ディストピア小説に求めるものを現代風な言葉で言うなら、キャラクターの曇らせなのかもしれない。感じたいのは絶望的な社会の完全性とそれによって与えられる絶望で、それを感じるためには抗うキャラクターが必要だから。曇らせというワードで考えてみると、ディストピア小説を書くのに必ずしもシリアスな空気は必要なく、分かりやすい社会の描写とそれに相対するキャラクターがいればいいという話だし。雰囲気はポップだけど中身はガチガチのディストピア小説とかあるのかもしれないし読んでみたいな〜。

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    2025年12月27日
  • すばらしい新世界

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    環境が人を作ると思ってるから、この本の洗脳教育を実際にやっても功を奏しそうで怖い。
    多分階級社会を受け入れさせて、階級を明確にすることが1番効率的なのかもしれない。差別はきっと無くならないし、それをモチベーションに仕事をする、っていうのもリアルだなと思った。きっとこの物語は人がめちゃくちゃ単純になったら一番効率的(経済面)で、みんな幸せ(不幸だと思えない)なモデルな気がする。
    この本の洗脳教育をされている登場人物は盲信的に自分たちの価値観が正しく、優れていると思っているけど、実際の人間には少しは疑う心があって欲しい。
    けど、その考えもいろんなことを考えましょう、という教育の影響かもしれないから、なんともいえない。
    多様性多様性言われる世の中になっていて、この本の思想統一とは真逆にも取れるが、脳死で多様性っていいじゃんーってならないようにしないと、結局この物語と同じな気がする。

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    2025年05月24日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    1984と並んでディストピア文学の祖と評される。1984とは異なり全体的な雰囲気は明るい。ムスタファ統制官と野人の会話が、この小説で描かれている世界になぜ至ったのか、どう維持しているのかを分かりやすく示しており面白かった。

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    2025年04月22日
  • すばらしい新世界

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    管理されすぎた世界を描いている。その世界をどう感じるか、ディストピアなので負の世界と思うか、それでも幸福と思うか。苦労をする権利を主張できるか。

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    2024年08月16日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    昔の小説かつ翻訳本ということで読み辛かった。。。
    15〜16章の哲学弁舌対決の部分以外は正直面白さは感じなかった。
    面白くなかった理由は物語全体を通して分かりやすい"主人公"がいないからかもしれない。

    また"最大多数の最大幸福"を実現した未来世界は、野蛮人ジョンの視点からディストピアのように描かれているが、争いが絶えず格差が広がるばかりの現代社会よりかはマシなように思った。

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    2024年07月28日
  • すばらしい新世界

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    この小説で描かれた世界は気持ち悪い。
    「人類全体の幸福のために」と考えたはずであるが、倫理を無視した手段を採ってしまったと感じる。

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    2024年05月31日
  • すばらしい新世界

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    ディストピア的なものに対して畏怖と憧れが同時に存在していたあの時を懐かしく感じる。
    今はどうだろう。。

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    2024年05月22日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    社会の上層部が利益のほぼ全てを享受するユートピアを支えるためには奴隷の労働力が必要である。
    とはいえ、奴隷にも幸せはある。労働後のささやかな報酬という形で。

    そのような光景を描く本書はディストピア小説として今に知られている。労働力を自前で生産している点で、オフショア、グローバル化という言葉で奴隷の労働力のアウトソーシングを正当化した現代の筆頭資本者らよりも自助的であり、責任の所在を明確にしているといえる。非人道的な社会を描きあげた作家であっても、資本主義が要求する過酷なコスト意識を甘く見ていたか、見逃していた観がある。
    つまり、現代はすでにハクスリーのディストピアを実現している。一部ではそれを超えてすらいる。

    ボス敵と語る。
    このシチュエーションはどこからやってきたのか考えたことがある。回答は得ていない。本書には相当するシーンがあり、考え抜かれた著者の思想を与えられたボス敵は揺るぎない。これも、よく見かけるものだ。主役は言い返せないが、勝たなくてはいけないので殴って勝つ。これもよく見かける。
    本書の主役サイドの言葉はすべて理性的な反論を受ける。主役サイドはついに自らの言葉を失い、過去の権威にすがるが、それに対するこたえも考え抜かれている。ボス敵もまた過去に深く悩み考えた末に、現実を受け入れたのだと強く理解させられる。『ミストボーン』シリーズは最終的には好みではなくなってしまったが、この構造を持っていたことは好ましく覚えている。
    主役サイドは言葉を失うが、殴りかかることはない。少年漫画ではないからだ。否、相手は絶対的な悪ではないからだ。その社会においては秩序善ですらある。

    本書はまた、夢想家や革命家()に辛辣な言葉を投げかけているようにも見える。ある秩序の中で、その恩恵を受けながら、その秩序を否定する活動を行う。「働いてる感を出してるヒモ」という印象が、わかちがたくその印象に重なる。主役サイドはそちら側に属している。
    人生は生まれにおいてすでに公平ではないと悟らせる以上の役割を果たせぬまま、主役の一人は去る。
    宗教が信者に施す道徳教育は、ディストピア社会が社会を維持するために施した道徳教育と相似形である。いずれも他者を傷つけることもあるという点でもまた類似している。それを背負わされた主役サイドの一人は苦悩のあまり死ぬという物語の結末を担う。物語としての出来はよくないが、教訓としてはまあわかる。

    本書解説には「学問のふりをする科学」について語られている。学問のふりをしたなにかが旗を振った結果が奴隷労働のグローバル化であるのなら、そこを改めない限り、いかに手を尽くしても虚しかろう。

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    読中、超人ロックの初期のエピソードが想起されてきて、その名の通り『新世界戦隊』で発火したのかなと読み返してみたら『ジュナンの子』と『ロンウォールの嵐』だった。
    『ジュナンの子』には、出生時点で身体的に不利な特徴が出現しないようコントロールするようになった社会で不利な特徴が出現してしまった人々の苦難が語られていた。この構図に相似形を見たのであろう。
    『ロンウォールの嵐』には、ナディアという女性が登場する。やりなおしがうまくいかず記憶を失ったロックの恋人だが、体制側のいうなりにロックを売る。ありように類似性を感じてしまったのだろうが、よくある人物像ではある。
    本書には多幸感を与え多用すると死に至ることもあるソーマという薬物が登場する。『聖者の涙』には、そんな偶然の一致ではなさそうな影響が見受けられるような気がする。

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    2024年01月16日
  • すばらしい新世界

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    階級社会を作るために、受精卵から操作され、条件付けされた人間を作る社会。
    ディストピアなんだけど、その階級の人はその階級で幸せになるようにされているためなのか、そんなに不幸せそうには思えなかった。
    居留地から来たジョンが、ほんとに辛いと思ってしまった。自分の気持ちとこの社会が全くあってなさすぎる、ジョンどうなってしまうんだろう。。。

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    2023年02月08日