オルダス・ハクスリーのレビュー一覧

  • すばらしい新世界

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    え、これ100年近く前の小説って
    ちょっと待ってよ

    人間が大量生産される未来
    そこは幸せしかないユートピア
    不満も孤独も執着も病気もない
    死の恐怖も消されてる

    睡眠学習による洗脳で
    老いや不潔を嫌悪
    不調は早めの薬で治し
    ゴルフなどのスポーツ最高
    余暇には映画や旅行を楽しむ

    おいおい
    いま私がいる世界は
    すでにユートピアではないか
    しかも不満はないです
    今を楽しむのは良い事だと思います

    モラルに縛られ
    欲に潔癖なジョンを生きづらそうな
    変な人と思ってしまいます

    すでに
    条件付けされている
    新世界に住むわたし






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    2025年08月18日
  • すばらしい新世界

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    再読。ユートピアとディストピアの違いは何かを考えさせられる。時代はフォードが大量生産を始めた頃を始めとするフォード紀の後の世界。その世界では瓶で子供が生殖され、人間同士が生殖行為によって子供を作るなど野蛮な原始人のような行為とみなされている。

    さらに洗脳教育および階級付け、ソーマといった快楽を得る薬物の存在。かなり前の小説であるものの、ユートピアを実現するための手段を、用意周到に練って考えられていることに驚く。

    上記の技術自体、倫理的な観点を考えなければ実現可能であると想定されるし、倫理など世論でいくらでも変わる。例えば、少子化がこのまま進み続けて子供を人間が持つことへの意味がなくなってき

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    2025年08月18日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    この物語のなかで起きていることに困惑したり嫌悪したりするのは、わたしはわたしで現実世界で条件づけ教育を受けているからだろうかと悩まされた。こうするのが正しくて道徳的だと信じ込まされているだけであって、違った理想が掲げられていればそちらを不思議に思ったりはしないはずだ。
    終盤のムスタファ・モンドとジョンの会話が面白くて素晴らしかった。ジョンはジョンでいくらか偏った考えを持っていて、それ故にふたりのどちらにも共感できないのだけれど、どんな意図での言動なのかがわかりスッキリした。
    麻薬がなければ新世界でもやっていけないのならまったく安定していないし、生まれる前から遺伝子を捜査されて階級が決められてい

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    2025年01月08日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    当時こんなことを考える人がいたことは驚きだ
    本気でやっている苦悩をエンターテイメントとして受容されることのなんと耐え難いことか…
    モンドの苦悩が大多数の幸福を支えている歪さがいい意味で気持ち悪かった

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    2023年03月10日
  • すばらしい新世界

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    来るかもしれないディストピアを描いた作品。フィクションを通じて、自由主義・資本主義の問題点を伝えている。どんなイデオロギーが妥当か、正直議論が抽象的すぎて、自分にはわからない。けどとにかく、今の社会を生きる人間として、読んでおいてよかった!

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    2022年11月29日
  • すばらしい新世界

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    登場人物の台詞に時折ぐさっとくることがあるはず。そのくらい現代にも示唆的な小説だった。
    シェイクスピアの引用も面白い。そして切ない。

    作者は1946年のあとがきで、われわれが権力を分散し、応用科学を人間を手段として使うためではなく、自由な諸個人からなる社会をつくるために利用する道を選ばないとすれば、取りうる選択肢は軍事優先主義もしくはそれがエスカレートした世界、もしくはここに書かれたようなユートピアの2つしかないだろうと言っている。偶然にも前者も未だ現実的であることを思い知らされている現状が世界で起きており、考え込んでしまった。

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    2022年03月08日
  • すばらしい新世界

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    文庫版の裏表紙に書かれている本書のあらすじは、下記の通りだ。

    【引用】
    西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め・・・・驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版。
    【引用終わり】

    本書の初版の発行は、1932年であり、なんと約90年前のことだ。ディストピアはユートピアの反対語であり、反理想郷とか、暗黒社会とかと訳されるようだ。
    ディストピア小説と表現されているが、この物語に描かれている社会は、ある意味ではユートピア社会だ。

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    2021年08月31日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    p.317
    社会的不安なしに悲劇はつくれないんだ。

    幸せってなんだろう、感情ってなんだろう、生きる意味ってなんだろう、、、いろいろ考えちゃう作品でした。
    幸せなら娯楽もこうやって本を読むことも不要になるのかな?

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    2021年03月25日
  • すばらしい新世界

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    すべてが「良い」とされ、誰もが「幸福」である状態を維持するために社会全体が作り込まれた世界の異常さを描いた小説。人々は階級ごとに分けられ、生まれた瞬間からその階級を幸福だと感じるよう教育される。家族という概念は下品なものとされ、人は人工的に生み出される。どの階級になるかも操作され、人口比率は厳密に保たれる。死はあっても老いはなく、性行為は恥じらいなく行う習慣とされる。悩みがあれば「ソーマ」という錠剤を飲めばよく、それで精神は安定する。だから表面的には誰も悩まず、社会は安定している。

    悩みや不安が排除された世界では、宗教や神話、芸術は必要ないものと扱われる。科学も統制の範囲から外れないよう制限

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    2025年11月25日
  • すばらしい新世界

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    常識や価値観にギャップがある者同士の関わりを俯瞰して見ると、ここまで狂気的に映るのだなと思った。その上で、バーナードやレーニナたちの住む世界は全てが非常に効率化されている一方、心のつながりがかなり希薄になっているのが興味深かった。読者である僕たちの住む世界もどんどん効率化されていっていて、その行く末を見ているかのようだった。どちらが正しいのか僕にはわからないけれど、心のつながりを無くした世界は少し寂しい気もする。

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    2025年09月29日
  • すばらしい新世界

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    1984よりは明るいディストピア
    明るいからと言ってもディストピア
    1930年代に書かれたと言うのは驚き。
    今の世界も実はジワジワとこのすばらしい新世界になっていってるのかも。
    思考を手放したら蟻と同じ。
    蟻の巣のような世界だ。

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    2024年06月23日
  • すばらしい新世界

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    作中では時々、詳細な科学用語・物質名が引き合いに出され科学的にかなり発展していることが伝わり、その世界で宗教、文学、歴史が禁忌、禁書となっていることで「現在の我々読者の常識は非効率的な世界である」という雰囲気が出ている。

    しかし、性については野蛮人そのもので、誰とでも性交をするのが良しとされ、1人の人を愛する感覚がない彼らは果たして文明人と言えるのだろうか。

    また、異様なまでにシェイクスピアが引用されており、SFを描くにしては過剰な著者の文学的趣向が滲み出てしまっているように思えた。

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    2023年07月27日
  • すばらしい新世界

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    明るいディストピアな未来を舞台とした小説。ファスト消費、経済性、快楽主義を第一とする全体主義世界。1930年代に書かれたにも関わらず、ある意味現代社会を描いている様にも思える。著者による新版前書、解説なども必読。

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    2023年07月02日
  • すばらしい新世界

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    瓶詰めの科学的に調整を施す人間培養、その調整によって格付けされた人間社会、あらゆる快楽を叶えることで欲望や不満、絶望を排除したユートピア。人間の最大の欲求は信頼関係のある人付き合い、と定義する人がいるが、それさえ叶えることのできるユートピアは果たしてディストピアなのか。かなり極端な世界ではあるが、今自分が置かれている自由はとても幸福なことであると実感する。もし自分に苦難が降り掛かったとき、本当に「ソーマ」を拒絶出来るかは怪しいとは思います。16章、17章のジョンと世界統制官との論戦は興味深いが、個人的にはやや宗教的思想に偏るジョンにも賛同できないところがある。
    そして衝撃のラスト。自分への鞭打

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    2023年04月22日
  • すばらしい新世界

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    ディストピア小説の古典とも言われる本著。しかし、1932年に書かれたとは思えない位、新感覚にも読めるし、あるいは既に社会に浸透した一種のSF的仮説の基礎とも読める。最近の作品では、貴志祐介の『新世界より』が影響を受けてるのかなと感じたがどうなのだろうか。

    階級を容認し、寧ろ階級がある事を前提に構築される社会。そして、その階級意識を遺伝子操作というよりも、主には、オペラント条件付けにより、無意識下に学習させて統制させていく。一見、共産主義の思考実験による皮肉にも見えるが、恐らく、この仮定に主義は選ばない。資本主義であれ、その報酬は金銭の多寡をKPIとして、条件付け、刷り込まれたものであり、階級

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    2022年11月29日
  • すばらしい新世界

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    近未来ディストピア小説
    人間は工場生産されるようになり、家族という概念はなくなり、フリーセックスと快楽薬で不快や欲求不満を解消した、非常に安定した世界が描かれている。

    ディストピアだけど、きっとこの世界が本当にあったらここに生きる人は、結構幸せじゃないかと思う。
    徹底的に管理された階級社会、でもそれぞれの階級はその階級を不満に思うことのないように小さい頃から睡眠教育を受けている。なので、上の階級にも下の階級にも行きたいと思わない。
    動物園のライオンとサバンナのライオン、どちらがより幸せかがわからないのと同じ。

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    2022年11月03日
  • すばらしい新世界

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    ディストピアを題材にした小説は初めて読んだ。未来の描写を読むのは単純にわくわくする。こんな未来は確かに来そうだとか、嫌だなとか、中途半端に機械化されてないな、みたいな考えが去来する。
    ところでこの小説の社会では、安定や幸福が何より優先されている。そのために人間を生産する技術が高められ、健康的害の少ない薬物が生活必需品となり、フリーセックスが奨励されている。社会は階級分けされ、低層階級の者は単純な肉体労働をこなしている。
    こんな未来がやってきそうかというと、やってこないだろう。この本が書かれた当時には想像もできなかったであろうインターネットの進化は、別のディストピアを用意していると思う。

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    2022年07月31日
  • すばらしい新世界

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    人間が工場で企画生産され、条件付けと快楽薬物の多用によって一律に幸せを感じる世界に『野蛮人』としてやってきたジョンは違和感を覚えるが………。
    『1984』で描かれるディストピアより、幸せで快適だけれどもやはりディストピアには違いないし、何だかより現代に近い感じもある。

    終わり近く、世界統制官と野蛮人の問答は『カラマーゾフの兄弟』の大審問官パートを意識している。

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    2021年07月30日
  • すばらしい新世界

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    環境が人を作ると思ってるから、この本の洗脳教育を実際にやっても功を奏しそうで怖い。
    多分階級社会を受け入れさせて、階級を明確にすることが1番効率的なのかもしれない。差別はきっと無くならないし、それをモチベーションに仕事をする、っていうのもリアルだなと思った。きっとこの物語は人がめちゃくちゃ単純になったら一番効率的(経済面)で、みんな幸せ(不幸だと思えない)なモデルな気がする。
    この本の洗脳教育をされている登場人物は盲信的に自分たちの価値観が正しく、優れていると思っているけど、実際の人間には少しは疑う心があって欲しい。
    けど、その考えもいろんなことを考えましょう、という教育の影響かもしれないから

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    2025年05月24日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    1984と並んでディストピア文学の祖と評される。1984とは異なり全体的な雰囲気は明るい。ムスタファ統制官と野人の会話が、この小説で描かれている世界になぜ至ったのか、どう維持しているのかを分かりやすく示しており面白かった。

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    2025年04月22日