笠松宏至のレビュー一覧

  • 徳政令 中世の法と慣習

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    1983年に刊行されたものの文庫版。永仁の徳政令を題材に、この法を人口に膾炙せしめた当時の社会情勢と法意識を描き出す一冊。中世法の基礎・法の根源となった社会慣習・前史にあたる弘安徳政など興味深い論点が多い。

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    2022年04月28日
  • 中世の罪と罰

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    日本中世史を代表する「四人組」による論集と座談会。一語一句を丁寧に読み解くことで、ここまで豊かな世界が拓けることに感動すら覚える。「お前の母さん…」の解釈はとくにインパクト大。

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    2019年11月27日
  • 法と言葉の中世史

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    中世の言葉から 中世の法慣習の解明を試みた本


    #平凡社 #笠松宏至 #法と言葉の中世史

    中世と言えば、武士しか思い浮かばないが

    仏、僧、人のそれぞれに「もの」を媒介とした人間関係(界)を前提とした法慣習があることに驚いた

    寄進を「人のもの」を「仏のもの」に変える法的行為と捉えたり、出家を、人間が「人のもの」から「仏のもの」への転移と捉えたり

    法の濫用がひどい時代であり、自分の身を守るために 法意識が高かったというのも意外だった


    折中の法
    *基準となる古法があり、それと現実との対応関係において定立する
    *現実には「折中の法」の名のもと絶え間なく新法が生み出されていく中世法の世界

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    2025年09月28日
  • 徳政令 中世の法と慣習

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     本書が83年岩波新書黄版として刊行されたころは、網野氏を始めとする日本中世史に関する著作や論文が一般読者にも届き出していた頃だった。その一翼を担っていた笠松氏の著名な本書が学術文庫入りしたことは、感慨を覚える。

     一般読者向けの新書ということもあるのだろうが、改めて読んでみて、読書の関心を次から次へと引っ張っていく展開の妙に感心したし、何よりも文章が取っつき易い。もっとも、その一文一文の背後に相当の史料探索や関連領域研究の蓄積があることが窺われる。

     日本史上に有名な永仁の徳政令。なぜ「徳政」と呼ばれたのか、どうしてこれほど人口に膾炙したのか。
     鎌倉期の法令の在り方、土地を巡る争いと裁

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    2022年02月13日
  • 法と言葉の中世史

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    中世の裁判の記録から、言葉の一つ一つに潜む人々の意識を炙り出していく。謎解きのスリルとともに、仏と人との世界を分けようとしたけど段段ごっちゃになっていく様が浮かび上がる。

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    2016年09月05日
  • 中世の罪と罰

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     ちょっと前に「中世芸能講義」という本を読んで、久しぶりに網野善彦先生の著作に手を伸ばしたくなりました。
     本書は、網野氏をはじめ4名の中世史研究の大家の10編の論考を採録したものです。かなりマニアックなテーマを扱ったもので、正直、本書内で開陳されている4名の泰斗の方々の論考は、私の貧相な知識では、ついていくには専門的過ぎました。

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    2020年10月09日