佐野貴司のレビュー一覧
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国立科学博物館地学研究部の研究員の先生がたによる、日本の気候変動の歴史の研究関する本。科学研究と一般市民の橋渡し役を担っておられる先生がたならではの、とてもわかりやすい説明でした。
古今和歌集の入門書を読んでいて、日本特有の四季の変化に興味を持ち、その由来について知りたいと思い、この本を手に取りました。一方では、現在の地球温暖化の影響が、デリケートな日本の四季に今後どのような影響を及ぼすのだろうか、という危惧もありました。
なるほど、古今和歌集に見られる日本の四季の多彩な変化というものが、どのような地質学的な時間変化のなかで形成されてきたのかが、大づかみに理解できました。
現在の日本の四 -
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この本が持っているレンズで見える世界、めちゃくちゃクリアだったです。「ブラタモリ」的な地形を見るレンズとノーベル賞の真鍋叔郎の「大気海洋結合モデル」的な大きなレンズの真ん中ぐらい…地球の中での日本列島の生成を目の当たりにしているようでした。使われる図表もシンプルでわかりやすく、また語り口調もやさしくて、海流の冷たさ温かさ、モンスーンの温度湿度も、体感できるような気がしました。読んだ後で著者チェックしたら科学博物館の先生たちだったんですね。日本の科学博物館って素晴らしい!って感想持ってしまいました。上野に行きたくなりました。COP27の議論も、こういうスタイルで伝えてもらえたら、もっと盛り上がる
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新生代の地球史と気候変動について、最新の研究結果をまとめている。
火山噴火による二酸化炭素の増加、南極周極流の成立による氷床形成、珪藻やC4植物の繫栄による二酸化炭素の減少、チベット高原やヒマラヤの隆起によるアジアモンスーンの発生と浸食や風化の促進による二酸化炭素の減少、パナマ海峡の閉鎖によって北大西洋への暖流の北上が北極海の海氷や氷床を発達させたことなどによって、気候は変動してきた。第四紀の気候変動は、ミランコビッチ・サイクルによる日射量の増減で説明できる。
日本列島においては、日本海の形成と対馬暖流の流入、その後の隆起や海水準の低下による対馬暖流の遮断によって気候は変動してきた。 -
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約46億年の地球の歴史の中で、幾度となく起きてきた超巨大噴火。大量の火山ガスが硫酸塩エアロゾルを雲を作り、太陽光をさえぎり、寒冷化を引き起こした。
あるいは、強力な酸性雨を降らせ、海洋の酸性化を招いた。
またある時は、大量の二酸化炭素を放出し、超温暖化を起こした。全地球規模の環境変動は、5回の大量絶滅を引き起こし、そのたびに多くの生物が消え、新たな生物種が現れた。
ある時代にあまり栄えていなかった生物グループが大量絶滅を乗り越えて次の時代に生き残り、空白となっていたニッチに進出することで一気に多様化するということか。
でも、生物の進化が超巨大噴火とともにあることが不思議でならない。超巨大噴 -
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生物の大量絶滅に、最も大きく関わっているのは「火山の噴火」なのだと言われているが、どうも腑に落ちないので、この本を読むことにしました。私がイメージしていたのは富士山とかの噴火だったのですが、大量絶滅の原因として捉えられている噴火とは、ハワイやアイスランドよりもじっと多量のマグマを噴出した超巨大火山のことをいうのであり、例えばインドのデカン火成区は富士山4600個分、シベリア火成区は1万個分なのだからイメージする規模が違うのと、その噴火は100万年間も続いたというのだから、生物が絶滅するのも頷ける。
この巨大な火山の噴火が起こることによって多くの生物が絶滅し、そのことが違う種類の生物に発展の -
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現代が氷河期の間氷期で、今は氷期に向かっている最中なのに、なぜ温暖化問題が起きるのかと何となく思っていた。そこでこの本が読みたくなった。そもそもの知識が疎いので5000万年前からの解説はヘビーなのだが、日本に人類が渡来したあたりから面白くなる。地球の大きな変動の中で小さな気温差は問題ないのかと思っていたがそうではない。わずかな気温の変化で干ばつや飢饉があった。そして今のままの二酸化炭素排出が続けば、2100年までに1600万年前と同水準の気温になり益々台風やゲリラ豪雨が増え北極の氷が溶けて日本の平野は海に沈んでいくことになるのだ。今の子供たちが老人になった時に起きる問題だけれど、現実の生活を変
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先日のプレゼントでいただきました。 ありがとうございます。 久しぶりの紙本です。
失われた、海に沈んだ、心惹かれる形容詞です。地球の謎は、まだまだ深く存在しているんだなぁ、と思いました。 ムーなのか、アトランティスなのか、はたまた、ジーランディアなのか。 きっと私は正解を、真実を知ることなく生を終えると思いますが、誰かがずっとこの研究を続けていってほしいなぁ、と思う。
できれば、ずーーーーっと探していられる謎であるといいなぁ、と思うw 謎は謎のまま、というのが一つであるほうがロマンティックじゃないかと思う。だって追いかけるものがなくなったら、つまらないでしょう。