あらすじ
46億年の地球の歴史の中で、地球規模で気候変動や海洋部酸素事変を引き起こすような超巨大噴火が幾度となくあった。その巨大な火山活動は時に何十万年もの期間で続き、大量絶滅の原因にもなったと考えられている。生命の歴史40億年間で、生物種の60%~90%もが絶滅した、いわゆる大量絶滅というものが5回あったとされているが、そのいずれにも、超巨大噴火が関わっていたと考えられている。大量絶滅は、多くの生物種が姿を消す絶滅事象だが、その後には新たな種があらわれ、結果として生物の進化につながってきた。つまり、超巨大噴火は、絶滅をもたらすいっぽう、進化をうながしてきたともいえるのだ。
本書では、超巨大噴火がどのような環境変動をもたらしたのか、そしてそれがどのように大量絶滅につながったのか、そしてその結果、どのように生物の多様化が促進されてきたのかを明らかにしていく。その結果、超巨大噴火という地球規模のイベントが、40億年にわたる生命の進化史のなかで重要な役割をはたしてきたことを見ていく。
主な内容
第1章 超巨大噴火と生命の進化
第2章 オルドビス紀末:2番目に大きな大量絶滅
第3章 デボン紀後期:海域のみでの大量絶滅
第4章 ペルム紀末:史上最大の大量絶滅
第5章 三畳紀末:大陸分裂にともなう大量絶滅
第6章 白亜紀末:恐竜の絶滅
第7章 新生代の超巨大噴火による地球温暖化
第8章 人類に影響をあたえた巨大噴火
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ビッグファイブ展の予習として購入。
進化の前には絶滅がある。歴史上、五回発生した大量絶滅について、地球内で起きた火山活動に関連付けて前後の出来事を解き明かす。
超大陸パンゲアの成立が、そのあとの生物の拡散に与えた影響(地球を一周する海流が存在しなくなったことの影響とか)など、考えもつかなかったお話が興味深い一方で、ともかくスケールが想像できないほどの火山活動の激しさ、苛烈さが印象に強い。
人類がいま生きているのは、束の間のたまたまなのかもしれない。そんな気分にもなる一冊でした。
Posted by ブクログ
約46億年の地球の歴史の中で、幾度となく起きてきた超巨大噴火。大量の火山ガスが硫酸塩エアロゾルを雲を作り、太陽光をさえぎり、寒冷化を引き起こした。
あるいは、強力な酸性雨を降らせ、海洋の酸性化を招いた。
またある時は、大量の二酸化炭素を放出し、超温暖化を起こした。全地球規模の環境変動は、5回の大量絶滅を引き起こし、そのたびに多くの生物が消え、新たな生物種が現れた。
ある時代にあまり栄えていなかった生物グループが大量絶滅を乗り越えて次の時代に生き残り、空白となっていたニッチに進出することで一気に多様化するということか。
でも、生物の進化が超巨大噴火とともにあることが不思議でならない。超巨大噴火という大きな試練をしたたかに生き抜いた種が現在を生きていると思うと、なんて凄いことなんだろうと思う。
Posted by ブクログ
生物の大量絶滅に、最も大きく関わっているのは「火山の噴火」なのだと言われているが、どうも腑に落ちないので、この本を読むことにしました。私がイメージしていたのは富士山とかの噴火だったのですが、大量絶滅の原因として捉えられている噴火とは、ハワイやアイスランドよりもじっと多量のマグマを噴出した超巨大火山のことをいうのであり、例えばインドのデカン火成区は富士山4600個分、シベリア火成区は1万個分なのだからイメージする規模が違うのと、その噴火は100万年間も続いたというのだから、生物が絶滅するのも頷ける。
この巨大な火山の噴火が起こることによって多くの生物が絶滅し、そのことが違う種類の生物に発展の機会を与えて、地球の生命は多様化してきたのだ。
火山活動と大陸の移動についても具体的にイメージできたのでとても勉強になりました。