坂本敏夫のレビュー一覧

  • 囚人服のメロスたち 関東大震災と二十四時間の解放

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    大正12年の関東大震災。甚大な被害を受けた横浜刑務所、火炎の迫る中、所長は囚人たちの安全のため、監獄法で定められた囚人の解放を命ずる。未曾有の大災害下、人の善が問われる感動作。

    筆者は元刑務官。囚人を解放したことが流言蜚語を招いたとし、本省から糾弾された所長、事件の真相を長年にわたり探究した結果が本書である。

    24時間という区切られた解放。震災の被害は大きく囚人たちに戻れない事情もある。自分の帰還と目の前の被害者を天秤にかける事態。

    キャリア官僚の所長への反発、所長の失脚を図る本省職員。職員の反目を図りまた流言で囚人を惑わす。

    多くの支援物資。囚人たちは荷役の業務に黙々と従事し、市民の

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    2021年05月24日
  • 誰が永山則夫を殺したのか 死刑執行命令書の真実

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    著者は元刑務官なので、刑務官として死刑囚や多くの服役者・被告人
    と係わった経験から死刑制度を考えるのが本書だ。

    小説風にして登場する人物は仮名で、幾分かの脚色はしてあるのだろう
    けれど、何人かの死刑囚が刑場に消えるまでの話はまさに刑務官として
    の視点だろう。

    このなかでタイトルにもなっている永山則夫の執行当日の様子は実名
    であることもあるのだが、あまりにも生々しい。

    舎房から呼び出され、執行であることに気が付いた永山は渾身の力で
    抵抗する。その永山に「制圧」という名の容赦のない暴行が加えられる。
    刑場に立った永山則夫の体には暴行の痕跡が多く残り、意識のない
    ままに刑が

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    2017年08月23日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    元刑務官である筆者による、現場目線でつづられた死刑の記録。節々に「現場の苦悩を知らない弁護士と学者」という表現が垣間見え、いかに現場の刑務官たちが自称人権派の諸氏による心無い中傷に苛まれているかをうかがい知ることができる。

    「死刑廃止」「死刑賛成」を論じた書は世にあまたあれど、現場目線で死刑について切り込んだ書はこれをおいてほかにないだろう。
    死刑を考えるうえでまず読んでおいて損はない一冊。

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    2015年11月08日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    今まで刑務官の方の視点で死刑について考えていなかった。
    ただそれだけでなく、視点に偏りが少なく、大変読みやすく、また考える事を与えてくれる本だった。

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    2013年12月24日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    ネタバレ

     元刑務官が現在行われている「死刑」に関する全てを赤裸々に語り尽くした、今この時期だからこそ、読まれるべき本である。
     死刑囚がその時まで過ごす日々…最も身近にいる看守と刑務官の苦悩…著者が想う「死刑制度」の是非…そして、死刑執行当日の始めから終わりまで…。
     特に、本書に収録されている「死刑執行当日」の模様を描いた劇画『死刑執行』は、執行の瞬間を何度も経験した著者ならではのリアリティで描かれている。この劇画を読むだけでも、執行する者と執行される者の心情がひしひしと伝わってくる。

     死刑制度を論議するなら、まずは本書を参考資料として読み込んでみては、いかがだろうか。

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    2012年03月04日
  • 元刑務官が体験した怪奇事件簿 刑務所の怪談

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    この本は刑務所で起こった不思議な出来事を綴った本です。
    いわゆる一般的な怪談本はいろいろな所で起こった怪異を記しているが、この本は刑務所という限られた場所で起こったことのみを記しているので大変面白い。
    組み立て式絞首台にまつわる話は創作では出来ない内容。その場に居合わせたからこそ出来たのでしょう。
    怪談好きの方は話のタネとして読んではいかがでしょか?

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    2010年09月13日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    元刑務官が死刑について語る。廃止か存置か意見を二分する社会背景も加味しながら、筆者は刑務所・拘置所の内情やキャリアへの批判、死刑囚の様々な悪癖を赤裸々にしていく。リベラルな主張とは異なる立場で安易に廃止論へと向かわない。そこには死刑囚と接する日常の憤りや刑務官のメンタルの危険性を重要視して本当に必要な施策を模索する。死刑制度という国家権力による殺人、ここに様々な問題が山積しているが早急に政治の場で侃侃諤諤すべきである。感情論では決して解決しない。

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    2023年11月16日
  • 囚人服のメロスたち 関東大震災と二十四時間の解放

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    タイトルに惹かれて古本屋で購入。間違ってなかった。

    関東大震災の折、横浜刑務所から24時間の時間指定を設け前代未聞の全囚人開放。これが大きなテーマなのだが、メロスは囚人の妹だった。この妹を軸に、えがかれているのは37歳の若き所長の生きざま。囚人に対し、ただ真摯に、更生を願いためにやっかみを買い果ては戦犯として6年服役することになる人生を読ませて頂いた。
    時代だねえ。

    「こんなファンタジーある?」と読む人によっては思うだろうし、間違いなく「被害者」を生み出した「加害者」たる囚人に対しここまで美麗に書くことへの嫌悪を感じる人もいるかもしれない。ただ、これをドキュメントとして読むか作家(元刑務官

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    2023年03月01日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    死刑について、現場目線で書かれたものを初めて読んだ。賛成派だけど死刑制度があるということは、死刑を執行している人がいるということを忘れてはいけない。
    死刑制度は人類と獣類とを区別するレフリー、分岐点。たとえ千年、万年凶悪犯罪が起こらぬとも、人類自身の戒めとして、おもしとして、法として掲げ続けて置くことが、人類の叡智であり、見識であり、人間の尊厳と考える、のところが腑に落ちた。

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    2022年05月21日
  • 囚人服のメロスたち 関東大震災と二十四時間の解放

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    管理する人が素晴らしいから囚人たちの規範もあるのだろうけど、こんなことある?という思いが湧き上がるのを止められません。まるでファンタジー。悲しいけれど、性善説?はて?と首をかしげてしまうようなひねくれた世界にどっぷり浸りすぎなのでしょう。

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    2021年09月01日
  • 囚人服のメロスたち 関東大震災と二十四時間の解放

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    坂本敏夫『囚人服のメロスたち 関東大震災と二十四時間の解放』集英社文庫。

    未曾有の大災害の中、究極の決断と人と人との信頼関係を描いたノンフィクション。

    こういう歴史の1ページがあったとは全く知らなかった。冒頭から関東大震災の迫真の描写が続く。当時の刑務所が煉瓦造りであったことを考えれば、如何に刑務所の被災状況が酷かったのかは容易に想像できる。囚人たちの命を守るために若き所長の下した前代未聞の究極の決断とそれに応えた囚人たちの驚きの行動。

    1923年9月1日に発生した関東大震災。横浜刑務所の弱冠27歳のキャリア所長・椎名通蔵は倒壊する刑務所を目の当たりにし、囚人たちの安全確保のため、1,0

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    2021年05月28日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

    購入済み

    悲しい現実

    死刑を執行せざるおえない、刑務官の心情が、リアルに描かれています。死刑に反対賛成、賛否両論あるなかで、現場で苦悩している方達の現実に触れ色々と深く考えさせられる内容でした。

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    2019年01月18日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    読売新聞社会部編集の本って、やっぱり面白い(リアルタイムで購読もしているけど)
    ただこの本を読む直前に、死刑囚側と刑務所の元看守側からの本を読んでいただけに、きれいすぎる印象が。終身刑に関しての根深い人手不足問題にも触れてないし。ただ偏りのない…と思いたい…スタンスは好感が。時代の流れとは言え、文化と価値観の違う(夜、女性の独り歩きもできず、自販機もまともに置けない)海外の圧を受けて廃止に傾くのはやめてよねーという思いも。

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    2017年05月31日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    おもしろいおもしろくないという評価をしてはいけない本だと思った。

    えぐい。

    私は死刑制度についてはどちらかというと賛成ではあるが、
    その中での緩和策的なものってもっと考えられても良いんじゃないかと感じた。

    2016.11.9

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    2016年11月09日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    自分たちは、死刑のことを知らなすぎる。知らされなさすぎる。

    死刑を一番身近で見てきた刑務官の経験は、非常に重い。
    彼らがいなければ死刑はできない。
    死刑を望み、死刑を決める人間すら、見ることのできない世界。

    でも、本当は見なければいけないことだと思う。

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    2014年06月29日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    元刑務官が著した死刑の実態に関する書。刑務官に取材したものとしては、大塚公子さんの死刑執行人の苦悩等一連の名著があるが、刑務官自身によるものは寡聞にして知らない。死刑執行の方法、死刑囚の処遇の難しさ、殺すために生かすという制度に潜む矛盾、全く反省のない死刑囚や受刑者がいる反面で冤罪が確実にあるという現実、短いながら充実した内容。裁判員制度もだいぶ定着し、市民が市民に死刑判決を出すことも珍しくなくなったいまだからこそ読んでほしい一冊。ちなみに、著者は、映画13階段のアドバイザーもしたとのこと。映画のリアリティにも納得。

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    2014年02月22日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    元刑務官が執筆されたということで、どうしても想像の域でしかない死刑、死刑制度について深く考えさせられた。
    死刑に携わる人間が全て人格的に優れている訳ではもちろんなく、出世や保身に必死な官僚と、現場の刑務官との乖離を考えると、結局、人間が人間を死を持って裁くことは不可能だと感じてしまう。
    そして死刑制度の前に、裁判や刑務所の問題に取り組む方が先なのではないか。死刑制度が逃げ道になってはならない。

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    2011年07月16日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    死刑関連の本は、すこし読んできたつもりだったが、思い返すと刑務官視点のものは初めてだったように思う。

    やはり、視点が違えば思いも変わってくるのだろう。
    死刑囚の1番身近にいて、1番最後まで見届けてきた方の書く言葉は、つよく心に響いてきた。

    まぁ、「死刑のすべて」と語るには、若干弱い感じも否定できないけれど、著者の思いがあふれる1冊ではあると思う。

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    2010年03月20日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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    著者は、各地の刑務所及び拘置所に勤務経験のある元刑務官であり、映画「13階段」ではアドバイザーも務めた人物である。

    日本では死刑制度は完全秘密主義となっており、死刑囚の拘置所での様子から死刑執行まで、状況が明らかにされることはまずありえない。
    そのような状況下で、実際に死刑囚と接触してきた刑務官から語られる言葉は、死刑というものを考えるうえでは非常に重要なものである。

    本書では、死刑場がどのような構造になっているか、死刑がどのように執行されるのか、執行官はどのように選ばれどのように執行するのか、そういったことが赤裸々に書かれている。
    私が主に考えさせられたのは、以下の点である。

    まず、死

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    2009年10月30日
  • 元刑務官が明かす死刑のすべて

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     死刑執行を実行した刑務間は、ほぼ不幸な人生になっているという。「仕事で人を殺す」ことで気が触れてしまうらしい。しかし大変な仕事だ。
     死刑制度に反対賛成と、以前から問題になっているが、私は賛成派だ。犯罪抑止の為にも廃止してはいけないと思う。被害者のことを考えれば「廃止しろ」なんて言えない筈だ。全体的にもっと重くしてもよいくらいではないか。生かしておくにも我々の莫大な税金が投入されているのだ。
     冤罪や知的、精神障害者の犯罪となるとまた、話は違ってくるが。

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    2009年10月04日