【感想・ネタバレ】元刑務官が体験した怪奇事件簿 刑務所の怪談のレビュー

あらすじ

かつての処刑場跡などに建つことの多い、各地の刑務所。そこには、被害者となった人々の無念の思いや、処刑された罪人たちが残した気のエネルギーなど、さまざまな怨念が渦巻いている。そんな塀の中で本当にあった恐怖体験・不思議な現象を、自ら死刑の執行にも関わった元刑務官が初めて語る。大阪刑務所第三区と四区の間にある謎の三角地帯。不気味な雰囲気の漂うその場所は、かつて死刑場として使われた場所だった。刑の執行に使われた組み立て式の資材を処分しようとした途端に相次ぐ謎の事故と恐怖体験……。(「トライアングル」より)。子殺しの母親がいた。控訴して別の拘置所に移送になったが、この女がいた拘置所の部屋に幼い女の子の幽霊が出る。「ママに会いたい」という女の子の霊と、その部屋に収容された女囚、そして刑務官が繰り広げた鎮魂の記録……(「童舞」より)など、12篇を収録。

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Posted by ブクログ

この本は刑務所で起こった不思議な出来事を綴った本です。
いわゆる一般的な怪談本はいろいろな所で起こった怪異を記しているが、この本は刑務所という限られた場所で起こったことのみを記しているので大変面白い。
組み立て式絞首台にまつわる話は創作では出来ない内容。その場に居合わせたからこそ出来たのでしょう。
怪談好きの方は話のタネとして読んではいかがでしょか?

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2010年09月13日

Posted by ブクログ

刑務所への関心
幸いにして、刑務所で過ごしたことはない。
行ったことはある。(ふふふ)

一般には縁遠いはずの刑務所だが、刑務官の話というのはなかなか聞く機会がない。
怪談話というより、刑務所のなかの姿を知るという意味では有意義ではないだろうか。

印象的なものがいくつかある。
若い人は永山事件など知らないだろうが、と著者は言う。
一般的にはそうかもしれない。
いやいや、法律を勉強していれば絶対にこの事件は知っているはずだ。
知らなければモグリだと教授は言っていたっけ。
この死刑囚と著者は会話をしていたというのが驚きだ。
これを機に死刑の基準が設定されたといわれているわけだが、なかなか、「事件、判例」としてしか認識できないので、生の声を聞いたというと俄然興味がわくのだ。

消印のない葉書という話はたいそう不思議な話だ。
誰が知らせたのか、一体どうして。
単純に考えれば誰か刑務官が知らせたというのが一番現実的だが、そんな野暮なことはひとまずおいておいて。
立ち直るきっかけとなれば、まあいいじゃないかと思ってしまうのは、甘い考えだろうか。

本書に書かれたことがまるまる本当だと思っているわけではない。
不思議なことと言っても、多くは人の手が介在している場合が多いからだ。
しかし、著者が出会った受刑者の記憶というものはその通りであろうと思われるし、著者が感じた恐怖や感動も日常とは異なる世界の出来事として、受け止める必要はあるだろう。
抑圧された欲望や、無理解が起こした悲劇など、刑務所に集まる人々は多種多様だ。
現在は高齢化が進んでいるという。
また、生活できず、再び舞い戻るものもいるという。
そういた現実を踏まえながら、刑務所という世界に関心をもつためのスタートとして読んでみるのも良い。

0
2015年03月18日

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