主人公は中学3年生の女の子。
話の進む中で、主人公の正直な気持ちが差し込まれているところが良いなと思いました。
バレー部で一番背が低い美月が背の高い後輩に対する嫉妬心、仲間外れにされた親友の気持ちが分かるのに声をかけられない迷いなどです。
実際に自分がとる行動や発する言葉と、内心の正直な気持ちは同
...続きを読むじじゃないことが多いと思います。何かを肯定する気持ち、否定する気持ち、そういう風に考えてしまった自分に対する気持ちなどが、グルグル渦巻いた結果、ある行動が生まれるものです。それはいつも正解とは限りません。
主人公が悩みながら、いろんな気持ちが混ざりながら生きているのが読んでいて分かるところを、中学生の子どもでも素直に受け止められるんじゃないかと感じました。
もう一人の主人公陽菜ちゃんの話は、一人暮らしのお年寄り、貧困にある母子家庭、幼稚園や小学校に通ったことがない子どもなど、社会問題が詰め込まれています。
あまり脚色されず現実にもありそうな話になっているので、主人公の美月と一緒に、この問題について考えるきっかけになるのではないかと思いました。
あまり現実に寄り過ぎると、児童書としては選書しづらくなります。ドロドロした人間関係、ストレートな性的表現、イジメや暴力などのエピソードは読んでいて苦しくなりすぎます。