八束澄子のレビュー一覧
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主人公は中学3年生の女の子。
話の進む中で、主人公の正直な気持ちが差し込まれているところが良いなと思いました。
バレー部で一番背が低い美月が背の高い後輩に対する嫉妬心、仲間外れにされた親友の気持ちが分かるのに声をかけられない迷いなどです。
実際に自分がとる行動や発する言葉と、内心の正直な気持ちは同じじゃないことが多いと思います。何かを肯定する気持ち、否定する気持ち、そういう風に考えてしまった自分に対する気持ちなどが、グルグル渦巻いた結果、ある行動が生まれるものです。それはいつも正解とは限りません。
主人公が悩みながら、いろんな気持ちが混ざりながら生きているのが読んでいて分かるところを、中学生 -
Posted by ブクログ
中学2年の野々歩は、学校でボッチになる怖さからストレスを溜めていた。
祖母の葬式のあと、実家に残ったまま帰らぬ母のことを思い、学校へ登校せずに祖母の家のある田舎に向かった。
田舎の家は誰も居ず、町で見かけた「森のようちえん コロボックル」のポスターと同じ文字が書いてあるクリーム色のバンが目の前を横切り、思わず走り出した野々歩。
広場に着いたバンから次々と幼稚園児が飛び出してきて…
最後に降りてきたのは、なんと母である。
ボランティアをしているという母といっしょに翌日から森のようちえんに行く野々歩。
滞在している1週間で野々歩が体験したことは、自然に囲まれて自由に自分たちだけで楽しむ子どもたち -
Posted by ブクログ
団地に住む中学生美月。
バレーボール部ではあるが背が低く、ちょっと自信喪失気味、がんはいるんだけど。
おばあちゃんから預かって飼っているインコのピーコがある日、外へ出てしまい探していると独り暮らしのはずの柴田さんの家に小学生ぐらいの女の子が居ることに気づく。
その女の子と美月の物語が交互に出てくる。
同じ団地で片やバレーボールに青春を掛け、方や狭い団地の一室に誰にも知られずに日々を送っている。
団地の一室で暮らすことになった経緯等が曖昧な点はあるが色々考えさせられる物語ではある。
近隣の人々との関係の希薄さなど、今の社会の縮図かも。
しかし、美月が思う、簡単に色々受け入れて良いのかと言う言葉は -
Posted by ブクログ
たまたまだが、「満月の娘たち」にも美月ちゃんがいたが、この物語も主人公が美月ちゃん。
団地に母親と住み小鳥を飼っていて日々、部活のバレーボールを頑張っている。
ある日、開け放していた窓から小鳥が出てしまい、探していたところ下の階に住む柴田のおじいさんの家の窓枠にいたのを見つけた。
ところが誰かの姿を見たような…。
住むところも仕事もなければ、誰かに救いを求めたくなる。
独りで、希望もなく過ごす日々なら一緒に住んでもいい。
だけどこのままで良いわけはない。
それはお互いにわかっていただろう。
辛くて悲しいことなのだけど。
美月に助けを求めた陽菜ちゃんが、ギリギリの状態だったことに切なくなる