ジェイコブ・ソールのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
序章ルイ16世はなぜ断頭台へ送られたか
第1章帳簿はいかにして生まれたのか
第2章イタリア商人の富と罰
第3章新プラトン主義に敗れたメディチ家
第4章太陽の沈まぬ国が沈むとき
第5章オランダ黄金時代をつくった複式簿記
第6章ブルボン朝最盛期を築いた冷酷な会計顧問
第7章英国首相ウオルポールの裏金工作
第8章名門ウエッジウッドを生んだ帳簿分析
第9章フランス絶対王政を丸裸にした財務長官
第10章会計の力を駆使したアメリカ建国の父たち
第11章鉄道が生んだ公認会計士
第12章クリスマス・キャロルに描かれた会計の2面性
第13章大恐慌とリーマン・ショックはなぜ防げなかったのか
終章経済 -
Posted by ブクログ
帳簿というか会計を締めて現状を把握しないと複雑な世の中を把握する事は無理だし、実態を把握しないと適確な施策を打つのは不可能だと思う。特に今の世の中は本当に複雑になっているから。そうした会計の重要な役割がどう認知されて、発展してきたのかを説明してくれるが、正直現在でも上手く回っていないというのが著者の意見。だからエンロン事件もリーマンショックも起きたのだし。フイレンツェで近代の複式簿記が発達して中でアラビア数字の果たした役割は大きかった。でも王室は自分たちの財布の中身を公にする事を好まなかった。今でも多くの企業はそこまで大ぴらに自分自身の会計を丸裸にしたくない。競争と投資家への開示の間にいる。難
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Posted by ブクログ
営業時代は監査を受ける側、内部統制時代は監査をする側。両方の経験があるので他の人よりも興味深く読むことができたと思う。
本書はお金の流れを人々がどのように管理しようかと考えた中で試行錯誤の中で生まれた複式簿記の歴史を中心に進む。
そしてお金の流れを管理するための簿記と監査は歴史的な成り立ちからも表裏一体なのだと理解できた。
国の経営を捉えると、国王は国の収支を知ることができるが、同時に豪華な宮殿建設が国の財政を圧迫している事など、都合の悪い事実も暴かれてしまう。
国王でもなくても。都合の悪い事実を知る事を拒否したい。それはわかるが良いことも悪いことも含めて事実をしっかり見て把握することは非常に -
Posted by ブクログ
これを読んだから会計ができるようになるとか、ではないのだが、「教養本」として楽しく読めた。
ニュートンが南海株に結構な額を投資していたとか、ウェッジウッドが帳簿分析に長けていたとか、簿記・会計をめぐる小ネタも満載である。
さまざまな事件を経て、会計の技術やルールが進化してきたことはよくわかったのだが、どんなに精緻な仕組みを作っても、不正がなくなることはおそらくない。
これからも大きな事件のたびにルールを変えていくのだろう。本書が指摘するように、きちんと監査するのが不可能なくらい企業が大型化、取引が複雑化しているから、将来はAIに頼らざるを得ないはずだ。
巻末におまけのようについている、 -
Posted by ブクログ
中世イタリアで複式簿記が生まれたことから、リーマンショックまで、会計と監査の重要性を時系列でおった作品。
なぜ会計が広く用いられるようになるまで時間を要したのかをうまく説明できていると感じた。
特に、ルネサンス期の人文主義に偏重した考え方や、絶対王政における秘密主義的な考え方が会計・監査の広まりを妨げた一方で、
プロテスタント的な職業倫理が浸透していたイギリスやオランダでは円滑に運用されるに至った。
17世紀初頭には世界初の株式会社(東インド会社)が設立されたこと、
18世紀の南海泡沫事件において首相ウォルポールが最小限の混乱に食い止めたことなども具体例としてあげられ、読み物として興味深い。
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Posted by ブクログ
ネタバレ表紙買いして大正解よ!
最近は、物流がらみを続けて読んでいたので、その背後にある「帳簿(会計技術)」の歴史ってのも関連してるしね。
メディチ家の繁栄とあっという間の衰退、コジマの「帳簿(会計技術)」で栄え、栄えた果実としてのギリシャ文化かぶれが、以後の党首の「帳簿(会計技術)」離れを招き、あっという間の衰退につながったとか、もう道徳の教科書に載せるレベルだよね。
ほかにも、フランス革命への道(ネッケルの奮闘と挫折とその予期せぬ影響の果て)とか、今まで読んできたものの裏側に「帳簿(会計技術)」の進化があったんだなあと、改めて。
そして、日本語版解説にざっくりと書いてある「日本における帳簿( -
Posted by ブクログ
あの陶器で有名なウェッジウッドは、最終監査役は自分であり、リアルタイムで監査を行う「毎週月曜日に帳簿を見られるように、これを永久運動のように継続して欲しい」と私設会計士に依頼した話。経営者にとって会計とこれを永久運動のようにする事が期待されてるって、自分も外資系企業の営業一員として動いてると今も同じかと…
この本は、なんで会計なんてやらないと行けないんだ?と素朴に疑問に思っている人に、歴史的な事象をストーリー仕立てで必要性を感じることが出来るんじゃないかな。そして、ウェッジウッドの言葉にある、リアルタイムで監査ができ、「永久運動」と言うという言葉に愕然としたりして…
本書では、帳簿が発生し