竹添敦子のレビュー一覧
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「松の花」
古今のほまれ高き女性たちを録した伝記の編纂をしている佐藤藤右衛門。彼は息をひきとったばかりの妻の慎ましやかな生き方を知り、世にでないがほむべき女性について、序章で記していくべきだと考え直していく。
「風鈴」
結婚をし豊かな家に移った妹二人。姉・弥生は質素な暮らしをし、夫も出世をせず、淡々と暮らしていた。そんな姉に妹たちは、生活を変え、夫に対しても彼女らの夫から出世を勧められる。弥生は思いが揺らぐ。そんな時に夫とその上役との会話を聞く。夫は「たいせつなのは身分の高下や貧富の差ではない、人間と生まれてきて、生きたことが、自分にとってむだでなかった、世の中のためにも少しは役立ち、 -
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「泥棒と若殿」
子供の頃から苦労をし、初めて泥棒に入った古屋敷には、三日も食わずで死のうとしていた若殿がいた。泥棒・伝九郎は、若殿・成信に飯の支度をし、そのための銭もかせぎ、一緒に暮らし始めた・・・。
伝九郎、良い人過ぎるよ。
「おたふく」
おしずは、長く貞二郎(彫金師)を思っていた。妹が嫁ぎ両親も亡くなり、しばらく一人で暮らして、三十二になった。思いもかけず、貞二郎と結婚することとなる。長く思い続けていた間、貞二郎の彫金の作品を集め、男物の高価な着物を買い、着ている姿を思っていた。その高価な品物を見た貞二郎は他の男がいるのだと、思い込んでしまう。酒に溺れる貞二郎と、そんなことは思い -
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石榴
その時はそれほどの想いはなかった。だが、最期に人生を思い返し、失踪した夫に最後に会える感慨は・・・。
山茶花帖
身分違いの恋。周りの取り計らいで添い遂げられる二人。
柳橋物語
待っていてくれと言い上方へ行った庄吉。その間に最後の身寄りである祖父を亡くし、江戸の火事にあうおせん。そのそばにはいつも幸太がいたが、最後にはおせんを守りその幸太も死んだ。待っていた庄吉が帰ってくるが、幸太とのことを勘違いし、他の娘と結婚してしまう。袖にし続けても近くで力になってくれた幸太を想い生きていくおせん。
つばくろ(燕)
人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくが如し、いそぐべからず。
家康 -
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「雨あがる」
同名のあの映画が山本周五郎の原作だったのか。「・・・他人を押徐けず他人の席を奪わず、貧しいけれど真実な方に混じって、機械さえあればみんなに喜びや望みをお与えなさる、・・・」
「扇野」
おけいさん、尊敬します!
「鵜」
いつも喧嘩ばかりし、江戸から国許へ謹慎となった布施半三郎。謹慎となった身で、毎日川へ釣りに行ってしまう。ある日その川の上流から、女がなにも身にまとわず流れてくる。その日から、ひっそりと二人は会い始める・・・。
山本周五郎は雑誌の記事で知り、この選集で初めて読みました。江戸時代の町衆の人情や、侍や殿様として生きる姿、様々な階級の女の生活、そして恋情。