安田菜津紀のレビュー一覧
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福島、沖縄、ガザ
安全な所にいる私たちの無関心が、虐げられて苦しんでいる人びとを踏みつけるのだ。
「自分たちは大丈夫だから」と何もしないことが、何もしない政府を守り、被害は止まらないし、改善されない。
もういい加減、声を上げていかなければ。
p105「これは人間の尊厳の問題で、人数が一人だから二人だからという問題じゃないですよ。たとえたった一人であったとしても、あなたには声をあげる権利があるんです。一人の利益のために全体の利益を損なうなという人がいますけれど、そんなの関係ない。一人の人間を大切にできないのに、社会を大切にできるはずがないんですよ」
p140 大熊未来塾に参加した若者の多くは -
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おりしも山口県宇部市のりしも山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」の坑道で
遺骨が発見されたとのニュースが流れていたそのさなかにこの本を読んだ。
大東亜戦争の最中で、多くの朝鮮人が炭鉱で労働を強いられ、水没事故で彼らを
救済することなく坑道をふさいでしまった、生き埋めになった方々の遺骨。
安田菜津紀さんのこの本にはこの話は出てこない。
出てくるのは東日本大震災で津波にのまれた方々の遺骨、
米軍沖縄上陸で、本土の盾とさせられた沖縄の方々の遺骨、それも、
辺野古の埋め立ての土にされようとしている場所の。
さらには今も続くガザ紛争の被害者の遺骨、、、イスラエルの戦争犯罪。
正直言うと私は遺骨の在り方 -
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涙を我慢しながら読んだ
わたしは本当に何も知らなかった
ガザもパレスチナもイスラエルもハマスも、何もわかっていなかった
福島のことも、自分もあの地震を東京で体験したからと知っているふりをしていただけだった
沖縄のことも本やテレビを見て、学生の頃に勉強して知った気になっていたけどまったく足りなかった
明らかにイスラエルがパレスチナ人に対して行い続ける暴挙を、日本が沈黙という踏みつける行為をしていること。知らなければいけなかった
パレスチナ人はどんな思いでいるのだろう
あの震災で大切な何かを亡くした人びとはどうしたら救えるのだろう
沖縄の女性はいつまで米兵に怯えなきゃいけないのだろう
沖縄には -
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ウィシュマさんの事件で少し表に出てきた人権侵害ともいうべき入管の実態、ヘイトスピーチなどの差別と暴力、技能実習生制度といった外国人差別をめぐる状況が紹介され、著者二人の対談で解説や示唆が得られる。
例えば、人を逮捕するには現行犯でない限り司法手続きを経た令状がいるのに、入管はそうした司法の手続きを介在させずに人を拘束することができるなんてことは初めて知った。また、今日の入管につながる制度・仕組みができた戦後間もないころに、特高経験者が多く入管に関係したなんてことも知ると、そのアウトローっぷりとつながる気がしてくる。
ことほどさように、制度ですらこれでは大衆が外国人差別をするのも無理ない気さえす -
- カート
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試し読み
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ネタバレ全文を読み、震撼し、呆然とした。わたしは良きにしろ悪しきにしろ、いまは「日本」で、その国民として生きている。その、いわば、安全地帯にいる。命の危険に晒されてはいない、ということだ。だが、その「日本」にあこがれ、あるいは(平和憲法がある国だからかもしれない)安心を求めて逃げてきた人びとに対して、これほどの非人道的行為があった。わたし(たち)は関心なく生きてこられた。あるいは薄々わかっていて蓋をしてきた。そのことに衝撃とはげしい罪悪感をおぼえる。先進国とうたってきた自国(いいわけのようだが、日本に限らない)が、みずからの営利のいわば犠牲になった(「先進国」が土地や資源の売買をし、争いのきっかけを作
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日本にいる難民の方々たちに焦点を当てた一冊。
やむを得ず母国を離れることになったのはなぜか、日本で難民認定されるまでの辛い日々、そして、故郷の味、母の味がどれだけ彼らの支えとなったかについて、小学生(高学年)にもわかりやすく書かれている。
掲載されているのはネパール、ロヒンギャ、ミャンマー、シリア、バングラデシュ、カメルーン、カンボジアから来た方たちの話です。
故郷から遠く日本に来て、同じ食材が手に入りにくい中でも、毎日、故郷の食事を作り・食べ、元気をもらう。
誰でも旅行や留学で外国に行き、現地の食べ物に飽きて日本食を懐かしく思うものだ。
しかし、彼らの故郷の味への想いは、それとは全く別の意 -
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だれにでも読みやすく書かれています。
岩手県岩泉町で山地酪農(やまちらくのう)をされている『なかほら牧場』の中洞さんが牛にとっても人にとっても自然な酪農を目指し、山での放牧を行う山地酪農を定着させるまでのお話です。
これを読んでとても衝撃を受けました。
今まで何も考えず、私たちが飲んできた牛乳、そしてその牛乳を搾られる牛の暮らし、このままで大丈夫かな、と不安になりました。
人間でもそうですが、母親の食べ物によって母乳の味が変わり、脂肪分を多く含む食事をとる母親の母乳はドロッとしていて、魚や野菜を中心の食生活をおくる母親からは後味すっきりな母乳が出るので、本来牛が食べている草ではなく、飼料を -
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安田菜津紀さんによる、迫害を逃れて日本に暮らす難民の人々と、彼らの故郷の味に関するインタビュー。
表紙のお二人は満面の笑みを浮かべているが、その笑顔にたどり着くまでどれだけの困難があったことだろう。
殆どの日本人は、彼らのことを知らない。
彼らがどんな思いを抱えて日本にたどり着いたか。
やっと安寧の地にたどり着いたと思ったのに、日本で難民と認められるには、幾多の壁があり、並大抵のことでは超えられない。
それは、日本人である私が簡単に言葉にできるものではない。
彼らが日本で作る故郷の味には、どんな思いが込められているのだろうか。
一皿一皿に物語がある。
是非読んで、味わってもらいたい。
今 -
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牧場好きとしては、ここに行ってみたい!と思いました。
牛たちが自由で楽しそうです。
ここだけでなくもちろんどの牧場も、働いているかたは育てている動物に愛情を持って接してられると思います。
ここのようにどの牛たちも育てられればよいのかもしれないけれど、そうすると牛肉も牛乳も高級品になってしまうのかも
でも人の手が入らなくなった山や畑を活用できればいいのかなと
里山的な感じになれば、町に降りてきて殺されてしまう野生生物も減るかもしれない
コロナで牧場にも1年以上行けてないから落ち着いたら行きたいなぁ
とりあえず、読み終わってすぐ中洞牧場のプリンを注文しました!
普通のとチョコと詰め合わせ
わたし -
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自分は難民のことを全然分かっていなかった。
街のエスニック料理屋さんで働いている外国人が、難民もしくは難民だった、なんて考えたこともありませんでした。
難民と移民の違いも、ちゃんと分かってなかったと分かりました。
新聞やニュースで難民のことを取り上げられてるのは、認識してたけど、これからはもっと関心をもって目を向けると思います。
同じ人間が、私が生まれ育った日本でこんな目に合っていることにショックを受けました。
子ども向けだけじゃなく、大人向けでもこういう読みやすい本がもっと出るといいなと思いました。
難民の人にも、元の国やこの日本で人としての生活があると、料理を通じて感じることができるところ -
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本書で紹介された日本に逃れてきた人たちの出身国だけで7か国。自分が思ったこと、考えたことを言えず、命を危険を感じて、日本にやってきた人たちのその背景を聞くと、なんでこんなことが未だにと思ってしまう。ネパールでのことは恥ずかしながらこの本を読んで初めて知った。いつかトレッキングしたいと思っている国のこと、もっと知りたい。でも、ここで紹介された人たちは「かわいそうな人」たちではない。それぞれがただ安心して暮らしていきたいと思っているだけ。それは、それぞれが食べ親しんできたものと一緒に紹介されるからこそ、ますます感じることができる。故郷の味を大切に、懐かしみながら、この日本で生活している。もっと日本
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それまで関わりのなかったシリアと「あしなが育英会」の企画を通じて関わるようになった安田さん。2008年初めて訪問して以降、これまで出会った人たちの暮らしや思いによりそったPhotoレポート、先日参加した講演会で購入して読みました。
講演を聞きながらとても考えさせられた〈「ともに生きる」とは・争いに何故手をつけてはいけないのか〉等々と、誰が彼らをこのような状況に追いやっているかを深く考えないといけないと思いました。「ねえ知っているかい?僕らはチェスの駒なんだよ。チェスって駒ばかり傷つくだろ?そしてチェスを動かす人間たちは、決して傷つかない」と安田さんがシリアに関わることになったアリさんの言葉が -
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「ねぇねぇ。こんな綺麗な場所、どうして壊しちゃうの?」
「シリア難民についての話をして欲しい」との要請で宮城県の小学校
に招かれた著者は、内戦前のシリアの首都ダマスカスの風景を撮影
した写真を子供たちに見せた。
その時に1年生の女の子が発したのが上記の質問だ。誰が答えら
れるだろう。政府軍も、反政府勢力も、そしてISもきっと答えられない
だろうと思う。勿論、私もだ。
内戦前のシリアはイラクからの難民を受け入れていた。その国が今度
は多くの難民を出す国になってしまった。
2015年9月。シリアから逃れようとしてトルコの海岸に打ち上げられた
3歳の男の子の遺体の写真は世