伏木亨のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
食や、おいしさを構成するさまざまな要素の中から、‘コク’に目を向け、科学的知見を中心に詳しく解説した内容。その‘コク’という観点でいうと、長く親しまれている食事にも合点がいき、とくに日本の伝統的な調味法は優れたものであり後世に継承すべきものだとしている。欧米式の‘油によるコク’も含め前向きな見解を中心としているが、その一方で欧米式の食事の流入による日本食の淘汰も懸念しており、とくに第三層のコクに関しては幼少期からの食生活に左右されるもので、失われてからでは取り返しのつかないことになるように思われる。大人だけでなく子供の時期から、それと同時に子供だけでなく大人ももっと食への認識を深めて質の高い食
-
Posted by ブクログ
ネタバレ久々の「ネタ本」シリーズ。日本人が美味しさの表現方法の1つとして使う「コク」というものが何なのか?を様々な観点から考察した本。正直いってバカげているが、その突き抜け感が最高に良い。
日本人にとって「コクがある」という表現はあまりにも乱用されすぎている。食品の美味しさを表現する時に、濃いめの味付けがされているものや、味わい深いものに対してはおしなべて「コクがある」と表現されることが多いが、実際問題コクの意味を正しく理解して使っている人は殆どいないと思う。旨味があることの総称としてコクという表現を使うが、そのコクの正体に迫ったというかなり挑戦的な内容だ。
とはいえ、著者は食品・栄養化学を専門と -
Posted by ブクログ
伏木先生の本はおもしろい。
言葉の 取り扱い方が うまい。
時折挟まれる『』文が 絶妙の間の手である。
美味しさを科学的に説明する。というのをメインテーマとする。
美味しさとは 多層的な構造をしている。
1 生理的欲求に合致した美味しさ
2 (生まれ育った)特定の食材に誘導されるやみつきの美味しさ→安心感
(民族)文化に合致する美味しさ
3 脳の報酬系を強く刺激してやみつきとなる。
4 情報が美味しさをリードする;先入観。安全なものを食べる欲求。
脳科学、情報学、生理学、人文科学などの広がりを持つ。
情報過多に陥った現代人の美味しさの構造はイビツである。
食べる時のかおりは 鼻が最初 -
Posted by ブクログ
『コク』という わかっているようで わかっていない
食の中での 重要な役割を果たす 言葉 を
科学的 および 実験的 および 文化的 なアプローチをする。
旨味とは おいしさと 一緒ではない。
おいしさは 総合的なのだ。
コクの構造とは、三層になっている。
コクとは 『甘さ アブラ 旨味』の 複合体である。
そのコクを 『とろみ ねばり 香り』 が包んでいる。
さらに 精神的な文化 が 発揮する。
ネズミが 執着する 味を 実験的に 解明しながら
ニンゲンの 味に関する メカニズム を解明しようとする。
常日頃 アブラが おいしさに どう関連しているのかが
よくわからなかった。
『味細 -
Posted by ブクログ
人間がおいしさを感じるメカニズムについて考察する本。
おいしさの構造を生理・文化・本能・情報などに分類し、それらの複合によっておいしさがもたらされるとしている。それらの中でも特に情報がもたらすおいしさに重きを置き、現代人の食事が情報に大きく依存していること、その行き過ぎについて書かれている。
おいしさという概念が分かりやすく解説されていて、誰もが「なんとなく」レベルで持っている理解を整理してくれる。食の安心・安全といった、多くの生物にとって無自覚レベルの分別を人間は宙に漂う情報へ委ねているのはうすら寒い。情報化の恩恵には存分に浴しても、その良し悪しを自分で判断する能力は持っていたい。 -
Posted by ブクログ
先日、著者の『おいしさを科学する』を読んで、出汁(ダシ)について、学ぶことができた(といってもほとんど頭に残っていないが・・・)。
本書ではおいしさの重要な要素である「情報」について書かれている。
著者の使っている『おいしさの四分類』は
1:生理的な欲求に合致するものはおいしい。
2:生まれ育った国や地域あるいは民族などの食文化に合致するものは美味しい。
3:脳の報酬系を強く刺激してやみつきなる。
4:情報がおいしさをリードする。
というもの。
人間のみに活用される、食べる前の「情報」というもの。
動物は摂取してからの味覚や嗅覚による情報や、記憶による情報によって、身体に有害なのか必要なの -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
どうせ食事をするならばおいしいものが食べたい。
しかし、どういうものが「おいしい」のだろう?
栄養があるもの?
食べなれているもの?
あるいは高価なもの?
「おいしさ」というのは、実は生理的、あるいは文化的な数々のファクターが組み合わさったきわめて複雑な現象なのである。
本書では、多様なレベルの考察を通して、その正体を追求し、その中でも、現代人にとって、もっとも重要な「情報のおいしさ」の構造とその行き過ぎを考える。
[ 目次 ]
第1章 「情報」は最高の調味料(神社の清めの水 鍋で下着を洗う女 ほか)
第2章 四つの「おいしさ」(おいしさの四本柱 その一・生理的なおいしさ ほか -
Posted by ブクログ
タイトル通りで、人間は味やにおいといった生物本来の感覚で食べ物を食べているのではないという内容。本来、生物であれば、においや味で、食べ物の安全性を判定する能力が備わっているが、発達した脳のおかげで、事前の情報によって様々なバイアスを受け、それが味や安全性の判断に大きな影響を及ぼすという。
食品マーケティングにおいて、経験的にそうした人間の行動特性を踏まえ、地域ブランディングや原料および原産国表示などにおいて、さまざまな工夫がなされているのは説明の必要はないであろう。また、反対にそれを悪用した偽装などの事件も記憶に新しい。本書は、脳科学的なアプローチが根底となっているが、社会学的または経済学的