松下麻理緒のレビュー一覧
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松下麻理緒『転落』角川文庫。
先に読んだ『誤算』と共に古本屋で購入。
『流転の海』の改題・改稿、文庫化。本作も『誤算』と同様に、テレビの2時間物のサスペンス・ドラマに有りがちなストーリーが展開する。描かれた事件が犯罪なのか否かを曖昧な状態で放置しているがために、幸せな家族が壊れていく過程に納得出来ぬままに結末を迎えた。
32年前に劇団の合宿で水死した愛理の母親・理津子は娘の33回忌に当時の劇団仲間を集めようとする。理利子の義理の姪で愛理の同級生のみどりは、そんな理津子の行動に不信を感じる。少しずつ明らかになる愛理の死の真相と理津子と亡き夫が犯した罪……
本体価格600円(古本7冊で127円)
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松下麻理緒『誤算』角川文庫。
第27回横溝正史ミステリ大賞・テレビ東京賞受賞作。東京女子大学心理学科を卒業した同期の女性2人が共同執筆した作品。
テレビの2時間物のサスペンス・ドラマに有りがちな陳腐なストーリー。横溝正史ミステリ大賞の本賞ではなく、テレビ東京賞受賞というのも頷ける。年老いた資産家の遺産相続を巡る骨肉の争いと殺人事件を描いたミステリー小説である。すんなり読めるが、納得出来ない展開があったり、苦笑する程の歯切れの悪い結末とミステリー小説としてのレベルは低い。
35歳の看護師・川村奈緒は一時の気の迷いで結婚した敏也が借金を作り、行方をくらましたことから、勤め先の病院を退職し、敏也の借金を清算、住んでいた部屋を引き払う。行き場が無くなり、働き先を探していた奈緒は資産家の鬼沢丈太郎という76歳の老人の家で住み込み看護師となる。
鬼沢家は丈太郎が厳しく支配し、成人した娘や息子は丈太郎の遺産を当てにして暮らしていた。さらには丈太郎の妾の子供、西山恵太が奈緒に財産目当てで丈太郎との結婚をそそのかすなど、丈太郎の莫大な遺産を巡る一族の骨肉の争いが描かれる。
本体価格640円(古本7冊で127円)
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じいさん以外全て悪人
看護師の奈緒はろくでもない男にひっかかり結婚したが全てを失って離婚することになる。住む場所も無く資産家のじいさんの看護を住み込みで看ることに。
このじいさん体が弱く資産をかなり持っている為身内が遺産を巡って見苦しい争いをしている。
奈緒は看護を親身になってしていると弱っていたじいさんが日に日に元気になっていく。早く死んでくれと思っている身内にとっては面白くない。
親身に看護してくれる奈緒にじいさんはプロポーズをする。奈緒は身内から邪な事を吹き込まれていた為プロポーズを受けることに。
庭の桜が咲いて久しぶりに親しい者を集めて花見をしようと提案。その場で爺さんは奈緒と結婚した事を発表しようとしたのだが発表する前に突然心臓発作で死んでしまう。死ぬ前に入籍していた事がみんなにバレたら遺産目当てだと言われてしまう。奈緒はそんな気ないのに、しかし、身内に預けて提出したと聞いていた婚姻届は出されていなかった。
やはり金の力って想像以上に強い事がよくわかる。
他人より身内の方が怖いね。
タイトルの「誤算」は主人公奈緒に対しての主題なのかもしれないが登場人物全てに当てはまる。そしてじいさん以外全て悪人。 -
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ネタバレ○ 総合評価 ★★★☆☆
〇 サプライズ ★☆☆☆☆
〇 熱中度 ★★★☆☆
〇 インパクト ★★☆☆☆
〇 キャラクター★★★☆☆
〇 読後感 ★★☆☆☆
敏也という男に騙され,貯金と職場を失った看護師,川村奈緒は鬼沢家に住み込みの看護師として働くことになる。鬼沢家は長男の淳一とその妻,美恵子。二人の子どもの宏と家政婦のよし子。鬼沢の娘の京子と洋子。京子は歯科医の妻。洋子は売れない画家。鬼沢の主治医は,幼馴染の山崎医師。ほかに異母兄弟の西山恵太
川村奈緒は,ベテランの看護師として力を発揮し,鬼沢の体調は少しずつ回復していく。しかし,ホスト狂いで夫に話せない借金がある京子と,売れない画家の洋子は,鬼沢が早く死ぬことを望んでいる。
洋子は鬼沢の顧問弁護士である遠山と不倫をしている。鬼沢は反発しながらも川村奈緒の働きぶりに感心し,遺産のうち500万円を相続させるという遺言を残すと言う。家政婦のよし子も同額の遺産を相続すると言う。
鬼沢が使うスリッパに石鹸が付いていて,鬼沢が滑って階段から落ちるという事件があった。誰かが鬼沢を殺害しようとしている…?
西山恵太は,川村奈緒に,鬼沢は奈緒を気に入っているので結婚し,遺産の半分を手に入れてはどうかという。西山はそのことに協力する代わりに,成功した場合は奈緒が相続する遺産の半分を要求する。奈緒は,元夫がほかの女性と結婚するのを阻止するために,正式に離婚していないことを恵太に伝える。奈緒は正式に敏也と離婚する。奈緒が鬼沢と結婚するには,再婚禁止期間(当時は6か月)を過ごす必要がある。
京子や洋子は鬼沢からお金をもらえなくなり,困り出す。京子が用意したバラから蜂が出てくるという騒ぎも起こる。鬼沢はかつて蜂に刺されたことがあり,アナフィラキシーショックを起こすおそれがあった。恵太と鬼沢が散歩しているときに使った杖が割れる事件も起こる(杖には折れるような工作がされていた。)。このころ,奈緒は鬼沢からプロポーズを受ける。恵太と奈緒は,婚姻届を出したふりをして再婚禁止期間が過ぎる4月までを過ごすことにする。
鬼沢の計画で,4月12日に花見をすることになる。鬼沢は花見の席で奈緒との結婚を報告すると言う。しかし,鬼沢は花見の席で急死する。家政婦のよし子は騒ぎの中,救急車とパトカーを呼んでしまう。奈緒は,他殺だとすると婚姻したばかりで多額の遺産を相続する自分が疑われるのではないかと不安を感じる。鬼沢は行政解剖にまわされるという。鬼沢の死因はソバアレルギーによるアナフィラキシーショック。鬼沢を殺害した犯人として宏が逮捕される。その頃,鬼沢の遺言書の検認が終わる。遺言には「妻,奈緒に全財産を相続させる。」とあるが,奈緒と鬼沢は婚姻していなかった。よって,奈緒に関する部分は無効になるという。みじめな生活に別れを告げて莫大な財産を受け取るという夢は崩れさる。そして,美恵子が鬼沢の殺害を自首する。美恵子の夫淳一は余命わずかだという。
恵太によると奈緒は敏也と結婚していたという。敏也が勝手に婚姻届を出していた。したがって奈緒と鬼沢の結婚はできなかった。恵太は遺産が7分の2になるはずが7分の1に。奈緒は500万円すら相続できず。いずれも「誤算」だった。しかし,奈緒はそのおかげで殺人事件の容疑者にならずにすんだ。
宏の後見人になろうと企む恵太。遺産相続の争いが続く中,美恵子は心神耗弱と認定され執行猶予判決が出る。奈緒は恵太と話すなか,実は山崎医師こそが黒幕で美恵子と手を組み鬼沢を殺害したのではないかと疑う。山崎医師は認知症が進み,自分が鬼沢を殺害したと言っているという…・
ジャンル分けが難しいミステリ。サスペンスというほどでもないし,コンゲームというほどでもない。法律要素が少し入った犯罪小説という位置付けか。殺人事件としては,鬼沢丈太郎が殺害される。容疑者の位置に当たる看護師,川村奈緒の視点で描かれている。犯人は主治医の山崎医師と長男の妻,美恵子の共犯。山崎医師が計画をし,美恵子が実行犯という位置付け。トリックなどはないが,主治医として山崎医師が証言することで心神耗弱として執行猶予判決を得るという計画。山崎医師と美恵子の共犯とは思わなかった。しかし,そこまで驚きはなかった。サプライズをウリにした小説ではないとはいえ,特段の伏線もミスディレクションもない。登場人物の誰が犯人でも「ふーん」という程度でさほど驚きはなかったと思う。この作品の魅力は,リーダビリティ。話の作り方が上手く,先が気になってしまう。一体何が「誤算」なのか。結局「誤算」とは川村奈緒と恵太の誤算ということなのだろう。
トータルで見ると,しっかりと読ませる作品に仕上がっている。しかし,サプライズはそれほどでもなく,裏をかくようなどんでん返しもない。法律的な要素が面白みとして加わっている程度。傑作というほどではないがよくできた作品ではある。★3かな。 -
Posted by ブクログ
真面目が取り柄の看護士の奈緒はヒモと別れて無一文となり、
実業家の鬼沢の家で住み込みの看護士をすることとなった。
わがままで頑固な鬼沢に、遺産目当ての娘たち、
存在感のない長男夫婦、噂好きの家政婦、そして認知した息子の恵太。
奈緒が厳しく看護をすることで鬼沢も元気になり心を許し始め、
恵太の勧めで奈緒は鬼沢との結婚を考えるように。
しかし遺産相続の睨み合いは波紋も大きく…
面白いくらいにどろどろとした家族関係です。
そのまんまワイドショーに出てきそうです。
ラストも二転三転するしうまく考えてあるなぁ。
ゴシップ好きの心理がよくわかるかも。