木村誠のレビュー一覧
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6月5日、文部科学省から「大学改革実行プラン」が出された。これまでのように将来の大学のあるべき姿を示すぼんやりしたものではなく、いついつまでにどうこうするという改革行程が示されたものとして画期的なものであろう。しかし、中身を読むとかなり問題を含む内容でもある。
たとえば、私学助成の改善充実を図るとうたわれた部分では、教学上の問題があるとされた私学に対して組織廃止命令を出したり、経営改善の見込みがないと判断された私学に大して解散命令を出したりするとしている点がある。つまり、国が教学上問題あると判断すれば、私学を解散させることができるということになるわけだから、国の意に染まない私学を恣意的につぶすこともできるようになりかねない。
本書では私学の改革努力について、多くの大学を取材して紹介している。やや表面的な紹介にとどまっている部分もあるように思われるし、はたしてそれがどのような成果を生み出すことになるかの見通しについての分析は必ずしも十分とは言えない。
しかし、多くの私学がさまざまな工夫をしつつ、社会に貢献しようと努力しているのであって、その多様性は十分に尊重されるべきであろう。
文部科学省が示す改革の方向性そのものはご説ごもっともな部分も多いが、相矛盾する内容を含むものも散見される。方向性に沿わない大学の改革努力を上からつぶすようなことにならなければ、良いのだが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ≪目次≫
序章 私立大学が100校以上消える
第1章 これが大学を見るポイントだ!
第2章 東京ビッグ6の飽くなき膨張戦略
第3章 地盤変動が進行する関西の私立大学
第4章 校風を生かしたミッションスクールが上昇
第5章 地方の元気印大学、危ない大学
第6章 高校の先生が評価する私立大学はここだ!
≪内容≫
学研の受験雑誌編集者による大学分析書。ただ、山内太地や石渡亮司の本を読んでいると、ここに載っている情報は、大変陳腐に見える。彼らの方が、大学や学生の中に食い込んでいる分、リアリティが高く、こちらの本は、世間一般的に入試情報に疎い人が読んで、驚く感じかもしれない。予想通り、危ない大学は、具体的に一校も紹介されていない。欲しい情報はそっちだと思うが… -
Posted by ブクログ
本書では,法人化以降,国公立大学が如何にして生き残る術を見出しているのか,また私立大学がどのような取り組みを通してブランドを維持しようとしているのか,著者が取材した内容,及び収集したデータを基に議論している。大学入学志願者数が横ばい,あるいは今後急激に低下するという時代の流れの中で,小規模大学は既に消えてしまったものもある。また,医学部の新設や法科大学院の増設,更には薬学部や歯学部の新設等は,今後,各大学にマイナスに影響するであろうと主張している。文部科学省をはじめとした行政の動向と世論に揺り動かされる形で,全国の大学は入試の形式を変えたり,定員増を目論んだり,新しい学部を設置するなど躍起になっている。著者は,グローバル化が進む中で,また社会構造が変動的,かつ流動的な状況の中で,大学に求められている教育の質が変えられなくてはならないと述べている。その観点から大学生の就活に言及している箇所が興味深い。だが,真新しい情報というわけではない。しかし,本書に提示されている各大学の経営実態を見抜く6つの基準は貴重な視点だと感じた。大学教員はもとより,高校の進路指導教員,受験生の保護者に一読を薦めたい。