長野正孝のレビュー一覧
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古代の認識を覆す試み。ヤマト中心主義、あらゆる遺跡を祭祀のためのものだったと片付ける日本の歴史研究に対して真っ正面から挑戦している。これまでの歴史認識では、日本書紀等の文献から大きな政治の物語のみが取り出され、倭人が航海民族として日々どのような生活をしていたのかという、目の前の日常が無視され続けていたことを気づかせてくれる。朝鮮からは渡来人以外にも多くの人々が日本列島に落ち延び、独自の文化を形成して日本文化の素地を作った。古墳はただ豪族の墓という機能ではなく、日常的に寝食をする公的な盛り場や商業施設のようなものであった、などあくまで航海民族の視点から、鉄の動向を軸に研究している。古代に関して新
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Posted by ブクログ
ネタバレ表紙が三内丸山遺跡の塔の写真だったので建築系のテクノロジーの話かと思ったら随分違った。
どちらかというと水上交通の話だった。
でも古代における「治水」や「港」の見方が読後随分変わったように思う。
そして古代において水路がいかに重要だったのかというのも。
何でこんな所が地理的重要地になっているのか(またはその逆、有名な場所なのに他の場所に比べて何故劣っていたのか)古代の水路や水がどこまで来ていたか分かると見えてくる風景が変わって面白かった。
個人的には、地元の津寺遺跡が出てきたのが最大の興奮ポイントだった。
地元の博物館より説明が詳細で分かりやすかったです。 -
Posted by ブクログ
従来の歴史学は、記紀を中心に据え、神学論争をしてきたようなきらいがある。
長野正孝氏は、船と港の専門家であり、世界史レベルで、人間の活動を歴史的に検証する態度である。
この本は、中国、朝鮮、そして古代日本における鉄の交易を歴史的に分析しながら従来の所謂通説を覆している。
エジプトのピラミッドが、雨期に農作業ができない民の究極の公共事業であったというのが通説になっている。
人間、とにかく、まずきちんと食べていける状況を作ってくれるリーダーに従っていくのが常識だ。
古墳もただ単なる墳墓ではなく、古代交易における「おもてなしの場」であったということ。
出雲の巨木遺跡、それは、船舶の望楼であった。
何 -
Posted by ブクログ
独断が多いように見受けられるし、「○○については後
の××章で説明する」という文が頻出することでもわかる
ように構成が甘く、話題があちこちに移動している感が
強い。話題にあげている時代についてある程度の知識が
無いとわかりにくいことや、明らかに事実誤認と思われ
るような指摘も多いので、決して手放しで薦められる本
では無いと思う。
だが「造船技術の歴史」や「航海術の発展」から日本史
を考えることは大切だと私も思う。今まで考えたことも
なかった視点が、この本の中にはたくさん含まれている
というのは間違いない事実だろう。願わくば著者と同じ
くらいその方面に明るい人間が参画し、この本の内容を
考察・