杉森久英のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
上巻に引き続き下巻もサクサク読めてしまう。
下巻は篤蔵が精養軒勤務を経て、いよいよパリへ料理修行に向かう。当時は料理修行のための留学は前代未聞。
篤蔵の情熱的な向上心がヒシヒシと伝わってくる。
留学中のエピソードはなかなか秀逸。
留学を終え、ついに宮内省出仕。厨子長に任を拝命する。普段天皇・皇族がどのような食事をするのかはまさに「雲居」のお話なのでイメージが湧かなかったが、本書「雲の上」では当時の宮内省大膳寮での仕事内容や雰囲気を鮮明に伝えてくれる。
宮内省出仕の身でありながら「トンチキ野郎」とか「オタンコナス」などべらんめぇ調な篤蔵には人間味を感じる。
八千代さん、フランソワーズ、兄・周 -
Posted by ブクログ
相手をよく観察して、一歩先を読んで先に準備をしておいて、相手の技術を真似る……
できたら素敵だなぁ、とは思うけど、篤蔵みたいにはできんよなぁ。
篤蔵にはそれができたからこそ天皇の料理番になれたんだろうけども。
料理の発展の様子、街の風俗・習慣が細かく説明されているから想像で補いながら読みやすいです。
吉原で振られる理由が今では考えられない理由でかわいそうだったけど、新しい概念が入ってきたときはみんなそうなるよなぁ、と思ったり。
個人的には田辺軍曹が好き!
今のところ、喧嘩しかしていない篤蔵ですが、どうやって天皇の料理番まで上り詰めるのか……後半も楽しみです。
篤蔵役は佐藤健ではないと思うん -
Posted by ブクログ
下巻はフランスへ料理修行から宮中で働くことがメイン。当時のフランスや、日本の時代感、天皇のお料理を担当するということが、篤蔵を通して事細かに書かれている。けれども面白くないわけではなく、篤蔵のキャラクターが生き生きと描かれ、マイページ楽しい。
佐藤健主演のドラマとはかなり違う場面も多い。ドラマを見て小説を読んでいるので、ドラマの脚本というのも素晴らしいと感じた。(脚本だけでなく役者や裏方もだが)
また何よりこの本のあとがきが良かった。
天皇の料理番を簡潔に説明しつつ、情勢、筆者の書き方にも触れ、なおかつ感想も適所に記されている。あとがきの良さで☆を一つ増やしました。 -
Posted by ブクログ
初めてドラマから小説を読みたくなった作品。
ドラマで描かれるよりも篤蔵は賢く、物事を俯瞰していると感じた。あと、僕が好きだった宇佐美さんとの掛け合いは上巻では少なく、「まごころ」の言葉も篤蔵がチラと言っただけで特段取り上げられていない。やっぱりドラマと原作は違うのだなと感じた。
内容は、篤蔵視点で進む料理人への成功譚で、三歩進んで二歩下がる、みたいな話であるが、義理や人情の通し方から、明治の金銭感覚や日本の西洋料理史の雑学も知れる本である。
リアルだったのが、バンザイ軒(篤蔵が東京に出て働く二軒目の店)に来た客の日露戦争の講和条約に対する議論とそれに割って入る篤蔵の話。国民的には民一丸となっ