レーモン・クノーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・原書の発想も凄いが、
翻訳のセンスが凄すぎる。
翻訳でこんなに味が出るとは…
フランス語ができる人であれば、
合わせて原書も読んでみたら、
より楽しめそう。
・本文はもちろん面白いが、
訳者のあとがきを最初に読んだのはよかった。
訳者が苦心したこと、
翻訳しながら考えたこと
またそれぞれの章の注釈が書かれているので、
より味わって読むことができる。
・書かれている文章の内容は同じ。
でも、書き方が違うとこんなに印象が変わるのかと驚かされる。
21区別
バスのなかで(風呂の話ではない)、わたしは、ひも(女に貢がせる男のことではない)を巻いた帽子(某氏ではない)をかぶった男を見か -
Posted by ブクログ
20世紀フランスの作家レーモン・クノー(1903-1976)による実験的な作品、旧版1947年、新版1973年。ある単純な出来事を99の文体で書き表したもの。
一時期はシュルレアリスムや実存主義のグループと近かったこともあった。その後もミッシェル・レリスやジョルジュ・バタイユらとは交友が続いたという。1960年に発足した文学グループ「ウリポ」にて、言語遊戯などを通した文学実験を展開した。
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言葉が世界の像であり、世界が言葉の像であるならば、言葉遊びは世界をおもちゃにする遊び。言葉が世界と精神との境界接面であるならば、言葉遊びは精神をおもちゃにする遊び。世界も精神もいっぺんに笑って面白が -
Posted by ブクログ
何の変哲もない日常の一コマを、99種類の文章で描き出すっていう実験的な(?)一冊。原著はフランス語。
なにこれ、面白ー。変なことを考える人がいたもんだ、と思って読みたい本リストに入れたまま、ずっと忘れていた。。。
やっぱり面白かった。一朝一夕で99種類かけるようにならないよね。すごい。
もう、翻訳する人の苦労が推して知るべしだよ…超楽しそうだけど、想像しただけで涙出ちゃう。
原文のフランス語のものは、フランス語学習にも用いられるくらい有名な作品なんだって。
10. 虹の七色: こういうのすてき。どうやら原文も絶妙らしい。
23. あらたまった手紙: 夢野久作の少女地獄を思い出した。
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Posted by ブクログ
まずは作者のこの試みと、訳者の仕事を心から讃えたい。
解説を読むと訳者の苦労や工夫が良く分かる。素晴らしい。
内容は非常に面白く、いろいろ参考になるスタイルあり。
個人的に好きなスタイルは…
『遡行』
『合成語』
『区別』
『聞き違い』
結構最初の方のに偏ってるな…。
それはさて置き、好きなスタイルのなかでも『合成語』は最高だった。
マイベスト。
“ぐい押しわざ突き”
“サン=ラザって”
訳者もニヤニヤしながら訳したに違いない。
惜しむらくは“伝達”という面で通じないスタイルがあることかな。
全スタイル普通に使っても通じる内容だったら文句なかった。
なのでその分★ひとつマイナス…と -
Posted by ブクログ
面白かった。
ドラマチックでも何でもない1つの出来事を
99通りの書き方で表した本。
言葉遊びや実験的なものも含まれていて
中には解説を読まないと何がなんだか分からなかったり
読んでもよく分からないものもあるんだけれど(笑)
でも面白い。
文章って色んな書き方があるんだなぁと、改めて感じられる本でした。
内容も大事だけど、書き方って大事だなぁ。
個人的には「語尾の類似」「アレクサンドラン」「古典的」「英語かぶれ」「イギリス人のために」辺りが好きだった。
「英語かぶれ」は、完全なるルー大柴的文章なんだけれど(笑)
解説を読むと日本語って面白い!と思う。
「イギリス人のために」は音 -
Posted by ブクログ
読み始めたら、コレは、なんと言う本だ。
というより、本じゃない。
フランス語が原文なのに 日本語におしゃれに訳されている。
良くぞここまで訳したよ。
日本語の選び方がうまくて、おしゃれだ。
物語は
『ある日、バスのなかでソフト帽をかぶった26歳くらいの男が隣の乗客が押してくるので腹をたてるものの、その口調はたいした剣幕ではなくて、別の席があくとそそくさと座る。その2時間後、サン・ラザール駅前のローマ広場でその男をまた見かけた。連れの男がいて「君のコートにはもうひとつボタンがいるね」と言っているのが聞こえた。』
というだけなのであるが、
それが、様々な編集方法で繰り返される。
物語を 昆虫 -
Posted by ブクログ
以前、某有名編集トレーニングを受けた際に勧められたが、まったく記憶から抜け落ちていた。たまたま好きなサイトで勧められたのを見て購入。
正直ちゃんとは読んでいない。
読むと言うよりも眺める感じ。さらに言うとぱらぱらするだけで、色や構成を楽しむだけのこともある。でも、とにかく面白くて刺激はされる。
よくマーケティングのアイディア出しで、ひとつのアイディアを逆に見たり展開したり、縮小したり対象を変えたり、というトレーニングに基づいた方法論を試す事があるが、これはまさにそのお手本。要するにマーケであろうが文学であろうが、なにか与えられた条件をさまざまに分析して展開すると、全く別のものが生まれると