渡辺淳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「星空病院」の、今は使われていない別館の4階にサンルームにつながる「キッチン花」がある。
シェフは、手術と料理が得意の元消化器外科医にして、名誉院長・半下石安喜良(はんげいしあきら)
お供も連れずに勝手に回診して歩き、看護師たちに嫌がられているが、もしかしたら料理で治す患者を捜しまわっているのかもしれない。
治すのは体の病気ではなく…
家族の入院、という非常事態に浮上するさまざまな“非日常”に翻弄される家族たちを、経験豊かな老先生がオペ以外の方法で助ける。
サンルームに置かれた花々に降り注ぐ光と、星空、あるいは雨。
美味しい匂いが漂ってくる。
第一話 A8病棟のバカ貝
もうすぐ一年になる新人看護師・高貝志穂(たかがいしほ)は、何をやっても要領が悪く、叱られてばかり。
ある日、文句ばかり言ってくる入院患者の担当になって…
第二話 水餃子の君に
印刷会社を経営していた斎藤洋一郎(さいとうよういちろう)は、胆石の手術で入院した妻の桃子を、家族と交代で付き添い看護している。
認知症の桃子は、目の前に夫がいるのに、「主人はどこに行ったの?」と繰り返す。
第三話 もう一度ハンバーガー
弥生は、父・京河昭夫(きょうかわあきお)の具合が悪くなったとの連絡で、12年ぶりに家族を連れてアメリカから帰国した。
国際結婚に反対した父には、「二度と顔を見せるな」と言われていた。
差別意識の強い父が、肌の黒い家族に心ないことを言って傷つけることを恐れる。
第四話 トモダチ・チャンプルー
上田秀太(うえだしゅうた)46歳は、22年間引きこもって、77歳の母のパート収入と年金で養ってもらっていた。
ある日、脳梗塞で倒れ、右半身麻痺に。
もう、俺の人生終わった。
そこへ、困っている人を助ける気満々の小学生・大河内晴臣が現れて…
お掃除のおばちゃんの名前、今だ明かされず。
これから何かあるに違いない。 -
Posted by ブクログ
定年間近の妙子の元に10年音信不通だった夫から1通の葉書が届く。意を決して葉書の消印をたよりになれない東京で夫を探すことに。だがそんなやさきにおきたトラブルにより近江寮に辿り着き寮に集まる人に料理を振る舞うことに。
面白かった。失踪した夫が料理人だったから妙子も料理に精通していて奥が深い。読んでいて勉強にもなるしたまらなく美味しそう。滋賀ものは初めて読んだ気がする。郷土料理が他の地域の人や海外の人達にも受け入れられていく様子がなんだか嬉しい。お腹がふんわりあたたかくなる感じ。とっても好き。
昆布で丁寧に出汁をとってみたくなる。
脇を固める人達もキャラが立っていて可笑しいし愛おしい。
笑って泣いて。2人のおばちゃんのペチペチしあう喧嘩も一興だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ失踪した夫を追いかけて滋賀から東京に出てきた寺島妙子は、「東京近江寮食堂」の調理担当として腰を落ち着けたが、店そのものが取り壊されることに。
知り合いのツテで、大学教授の実家である大きな日本家屋を貸してもらって、食堂を再開できることになったが…
なんだか出るみたい。
そのうえ、素行が悪くて親も持て余している、大学教授の娘まで預かることになった。
キーワードは、郷土料理、我が家の味。
郷土料理は東京で紹介されれば東京の味に変わり、我が家の味と我が家の味が結婚すれば、新しい我が家の味が生まれる。
月下氷人はお醤油?
固く守りたい思い出の味や、理想があるかもしれない。
でも、"固い"と"かたくな"はちょっと違う。
"これやなかったらあかん"というのは窮屈、と妙子。
誰かに料理を食べさせる喜びがどんどん大きくなっていく妙子。
立派な、食堂のおばちゃんになった。
そして…
若い子は成長が早いなあと思う。
不良娘はあっという間に両親よりもオトナになってしまった。
大人はなかなか変われない。
妙子と秀一の夫婦の問題はまだ時間がかかりそうだ。
簡単に解決しないところが却ってリアル。
ついに妙子が秀一に愛想を尽かしたかという場面もあったが、意外にもそうではなかった。
お互いに、"もや"の向こうに見えていた相手の姿をくっきり見ようと模索している最中なのかもしれない。
秀一も、大学教授も…男は弱い、と感じる。
女がか弱い受け身の存在だと思われがちだが、男は自分の優位を当然と思うあまり、かしずかれ、世話してもらうことを普通と思っている節がある。
何かしてもらう、実は受け身の存在とも言える。
その当然の献身が、尊敬が受けられなくなった時、理由を考えることなく"捨てられた""放棄された"と思ってしまう。
若い香津葉には、まだまだ伸びしろがある。
成長して、また戻ってくると良いなあ。