渡辺淳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
星空病院の別館には、名誉院長がもてなす『開店日時不定。招待客だけが食事のできる特別なレストラン』〈キッチン花〉がある。
仕事に行き詰まった看護師、介護に行き詰まった夫、余命僅かの父と仲直りしたい娘、そしてリハビリをやりたくないが退院もしたくない患者。
本筋としては後ろ向きになっていたり行き詰まって思考が凝り固まってしまっている人々を、名誉院長の半下石(はんげいし)が<キッチン花>でもてなしたことをきっかけに前向きな気持ちになるというありがちな話なのだが、こういうご時世、日本中どころか世界中が不安で不満ではちきれそうになっている状況の中で読む本としてはちょうど良かった。
ちょっとトボけたお -
Posted by ブクログ
ネタバレ友達と旅行に、と嘘をついて訪れた東京。
財布を落とし、無一文になってしまった主人公は
その財布のおかげで目的も果たせる事に。
観光で来たわけでもないなら、一体何をしに? と
読み進めてみれば…。
意思疎通、いや、意見を言い合わなくなったら
もうボタンの掛け違い、では終わりません。
どうしようもなくなって…という状況。
主人公の状況は、ある意味まだ軽い方かも。
食堂の賄いを引き受け、朝ご飯も…と
何しにきたのかわからなくなってきましたが
人間慣れ親しんだ事をしているのが、一番落ち着きます。
目的の糸を手繰り寄せ、どんどん進んで…。
一応達成しましたが、ここから先がまた大変そうです。
そもそ -
Posted by ブクログ
妙子が嵐皮社長から秀一の住所を知らされた時に「生きててよっかったですわ」の言葉でふたつ思い出したことがある。ひとつはレベッカ復活ライブでNOKKOがドラマーの小田原にかけた「生きててよかったですか?」の言葉と小田原の笑顔。もうひとつはやさぐれていたオイラを救ってくれてフラワーカンパニーズ「深夜高速」の歌詞のなかの「生きててよかった」。生きていること自体が当たり前の日常ではなかなか出てこない言葉だ。オイラの「生きててよかった」はもう少し先になりそうだ。
それから妙子や秀一、ヨシ子が教えてくれた食べることの大切さが印象に残った。味覚障害の忍が食べることにこだわるのはすなわち生きることへのこだわりな