藤木久志のレビュー一覧
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戦国期における、村に生活する人々をテーマにした研究書。
戦国期、足軽・雑兵に代表される一般兵士の集団線が主役となった。
それは、鎌倉武士が戦う前に行っていた、大将同士の詞戦から、雑兵同士の詞戦の変遷をたどることからもわかる。
この「詞戦」が、敵の士気を削ぎ、味方の士気を鼓舞する重要な戦であった。
常に戦の主役であった「村」という共同体は、領主の統治機構の一部を担っている自負もあり、服従一辺倒ではなかった。
領主が村への干渉を強めると、村を預かる庄屋は、百姓たちの先頭に立って逃散(逃亡を促す)をかけて領主に抵抗し、年貢帳簿の提出を拒んで、庄内への直接介入を許さなかった。
本書は、こういった -
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戦国時代、都市や村が戦火に巻き込まれそうになったとき、民衆は大きく2つの対抗策があった。
1.領主の城に行き、篭城する。
2.近くの山野に身を隠す。
1に関しては、映画やテレビ・小説などでおなじみなので、説明は不要だと思います。
2に関しては、生命・財産を守るための知恵が必要でした。
本書は、乱世を生きる民衆が生き残るために、とった様々な手段を解説しております。
・生命・財産を守るために地下シェルターを作って隠れる。
・戦国時代の貸金庫ともいうべき、土蔵に財産を預ける。
・戦後、預けた財産をスムーズに引き渡すためのルールを明確化する。
・戦火を避けるために、攻め寄せる軍勢に賄賂を贈る。 -
Posted by ブクログ
ラジオ深夜便2009年7月16日放送分で、この本の著者、藤木久志氏が「村に戦争が来る 戦国時代の危機管理」というタイトルで話をされていた。それが非常に面白かったのでこの本を読んでみたのだが、いささかこの本は手強かった。
上目次に掲げたようなテーマについて丹念に古文書を挙げいく。解説付きの読みやすく整形した文とは言え、原典がかなり載っているので、きちんと読み進めようとするとかなり集中力がいる。私なんかでは読んでいるうちにボーッとしてしまったり、テーマが何の文を読んでいるのか忘れてしまったり。面白おかしく結論だけ書いてある新書本なんかをイメージして購入すると挫折することになりそうだ。一方で、興味あ -
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秀吉の刀狩り、明治維新後の廃刀令、そして第二次世界大戦後の占領軍による民間の武装解除を「3つの刀狩り」として、その内実を探ることで新たな日本の民衆像を検証する。
中世までの日本では、村民は治安維持のために武装し、自力で問題解決にあたっていた。その中で無秩序な暴力を回避するための暗黙のルールが生まれ、青年した男性のシンボルとしての刀を重要視する、武士道の原型ともいえる精神性は戦国以前では農民にも浸透していた。
現に秀吉の刀狩りが行われたあとも村々にはなお夥しい数の武器が保管されていたという。徳川の世になって引き継がれた刀狩りも、徹底的に村に残る武器を撤廃したという形跡はなかった。そこには -
購入済み
後世の史料ばかり
戦国時代の村ではない自力救済のため民衆は戦になると村の城と呼ばれるいわば施設に避難して生命維持装置を繋いでいたと言われる論考も懐疑的である。