藤木久志のレビュー一覧

  • 戦国の村を行く

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    従来の貧しい農民と搾取する武士、階級闘争観をくつがえす。たくましく生き抜いた戦国の農民の真の姿を探る名著の復刊。

    日本の歴史、搾取する階級と虐げられる農民という史観が定番。本書は実に多くの文献から実は対等だった領主と村人の関係を実証していく作品。

    歴史において一方的な思い込みが危険であることを本書は教えてくれる。

    支配者が変わる度の徳政令であったり独自に武装し戦ったり、また入れ札により村の平和を守る工夫など。

    本書は1997年に朝日選書で出版された作品を筆者の逝去後に新書で復刊したもの。歴史のダイナミズムを知るに最高の一冊でした。

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    2021年10月02日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    刀狩り令や廃刀令の再評価、近世における百姓の鉄砲所持の実態、GHQによる武器の没収など、読み応えのある一冊。

    江戸時代以降の日本人の武器使用自制という理解も面白い。結局、武器が人を殺すんじゃなくて人が人を殺すってことだ。憲法改正やアメリカの銃規制問題等々を考えるときにまた読みなおしたい。

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    2018年11月14日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    近世社会で帯刀が許されたのは武士のみである。当り前過ぎることだが、「帯刀」の意味を良く知らないでいた。
    帯刀とは、大小2本の刀を差すこと、二本差しのことである。1本では帯刀とはいわない。
    やくざの渡世人は、股旅映画で長ドスという刀を差しているが、1本なので問題ないのだろう。
    庶民は短い脇差一本である。伊勢参りなどでも携行した。庶民は刀を持てないのではない。しかし1本なので帯刀ではない。庶民の刀は、護身用でもあるが、信仰的な御守りのようなものなのだろう。だいぶ重量はある。大正生れの父の代までは、寝室の床の間に刀が飾ってあったが、民俗学的にも寝室に置くものらしい。亡くなったとき掛け布団の上に守り刀

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    2018年08月10日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    ネタバレ

    言葉しか知らなかった「刀狩り」
    歴史の検証をどうやったらいいかわからない。
    そのため、何が真実で、何が隠されているかわからない。

    それでも、言葉しか知らなかった状態から、考え始めることができた。
    今の日本の平和の基礎を作ったと考えることができるかもしれない。

    反面、交通戦争がなぜ防止できないかのヒントをここから考えたい。
    ドライビングレコーダの義務付けのような「刀狩り」と同様の強制力が必要なのかもしれない。

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    2012年08月22日
  • 城と隠物の戦国誌

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    「城」というと、平時は在地領主の館であり、戦時には兵隊が立てこもる拠点としての機能をもつ、という理解が一般的である。それに対して、本書では、城のもっとも重要な機能は、戦時における地域住民の避難場所である、という新しい説を披露する。すなわち、中世の在地領主は、戦時において領民をいかにして守るか、というのが重要な課題だったのである。これまでに発掘されたいくつかの中世城跡を例にとって、縄張りのどの場所が住民の避難場所であったかを推察することが、本書で取り組んでいる大きなテーマである。たしかに、多くの山城は外周に大きな曲輪を設けているが、この部分は軍事施設とみなすよりも、住民の避難場所だとみなす方が自

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    2011年01月30日
  • 城と隠物の戦国誌

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    乱取りから逃れるために民衆が逃げ込んだ領主の城は、その日のためもあって維持・管理には民衆が動員された。また、山中には「村の城」が設けられた。さらには、地中に掘られた穴に隠れることも。
    さらに、財産を守るため寺院や他の村、土倉などに預けた(寺院や他村は謝礼なしか。土倉は有料)。その時間的余裕がなければ、地中に埋めて隠した。

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    2010年05月08日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    見えます見えます。

    自検段から武器を持っていたのに封印し、客分意識がいかに芽生えるかが。

    この本に載っている参考文献で面白そうなのが、塚本学「生類をめぐる政治」(平凡社ライブラリー)

    いつ読めるのやら・・・。

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    2009年10月04日
  • 増補_戦国史をみる目

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     『豊臣平和令と戦国社会』や『雑兵たちの戦場』で高名な歴史学者藤木氏の論考や講演をまとめた一冊。上掲の主著で示された説や考え方、史料解釈や歴史観などが、別の角度から述べられていたりするので、藤木氏の考えをより良く理解する上で、とても参考になる。

     その中で最も感銘を受けたのは、「Ⅴ 朝鮮への侵略」と題された章に収められた文章。秀吉による朝鮮侵略により朝鮮の国土は荒廃し、また多くの朝鮮人が日本に連行され、多くの人間は日本に骨を埋めた。韓国に侵略の跡を訪ねた旅での衝撃をもとに書いた文章とのこと。著者の歴史を見る目、民衆を見る目を窺うことのできる文章だ。

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    2024年12月22日
  • 戦国の村を行く

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    織豊期、領主:支配層と村人:百姓は、ほぼ対等に渡り合っていたということに、新鮮な驚きを覚えた。支配層の為政に不満があれば裁判もし、それでも聞き入れられなければ逃散も辞さない。しかも、戦乱の際に村人は、領主の館、寺社、果ては山の中の簡易な「城」に避難して、生命と財産を守るしたたかさがあったのだ。まさに自助・共助の実践で、いつから依存心は高いくせに、為政者に対する正当な反発ができない民族になってしまったのか?

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    2023年05月25日
  • 戦国の村を行く

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    1997年刊行のものを校訂・解説を付加した再刊。戦国時代の村の実像を多種多様な史料を元に描き出す内容。自立性を持った組織としての在り方、年中行事からうかがえる生活の様子など興味深い内容が多い。

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    2022年05月02日
  • 戦国の村を行く

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    <目次>
    第1部  村の戦争
     第1章  戦場の荘園の日々~和泉国日根荘
     第2章  村人たちの戦場
     第3章  戦場の商人たち
    第2部  村の平和
     第4章  荘園の四季
     第5章  村からみた領主
     第6章  村の入札
    第3部  中世都市鎌倉
     第7章  鎌倉の祇園会と町衆

    <内容>
    昨年惜しくも亡くなられた藤木さんの復刊。中世後期、特に戦国期から安土桃山期にかけて、さまざまな説を出された。特に秀吉の「惣無事令」は有名(認めるかどうかでもめているが)。この本は前に出たものの復刊で、弟子の清水克行さんの簡単な解説が載る。講演などからの起こしなので、大変読みやすいし、戦国時代の庶民(特に農民

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    2021年06月09日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    秀吉の刀狩りによって民衆は武装解除されたという「常識」は本当だろうか?秀吉からマッカーサーまで、刀狩りの実態を検証して、武装解除された「丸腰」の民衆像から、武器を封印する新たな日本民衆像への転換を提言する。

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    2016年12月11日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    「武器を捨てれば平和になる」というのは結構昔からある考えで、しかし同時に自然の驚異と戦ってきた農民にとって武装は、具体的にも抽象的にも重要な意味があった。江戸時代になって、武士が武器の使い方を忘れても、農民にとっては鉄砲も害獣を追い払う「農具」の一つであった。
    歴史の授業では通り一遍に過ぎてしまった刀狩りを、現代の武装解除(紛争地帯におけるDDR)にも照らして改めて考えさせられた。

    日本の本当の意味での武装解除は第二次大戦後の占領軍の施策を待たなければならないわけですが、信長が高野山を焼き払い一向一揆を鎮圧することで宗教戦争の素地を排除し、秀吉に始まる刀狩りによって庶民の武装を解除した、それ

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    2016年11月09日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    古本で購入。

    豊臣秀吉による刀狩りによって民衆は武装解除され、丸腰になった。
    その後の江戸時代を通じて民衆のもとに武器はなく、百姓は農具を手に一揆を起こした。
    そう信じられている。

    ところが史実はそうではない。
    刀・脇差や田畑を荒らす害鳥獣を追い払うための鉄砲が、各地の村々には大量にあったという。
    特に刀・脇差を差すことは共同体の成員たる資格の表象であり、自立した男のシンボルだった。

    それに対する抑圧として出されたのが、いわゆる「刀狩令」だ。
    しかし実施されたのは刀の没収ではなく二本差しの禁止と装飾の規制であって、近世のある時期まで民衆は当たり前のように脇差を差していた。
    この法の目的は

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    2013年08月31日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    本書は日本の歴史上の三つの刀狩り(秀吉の刀狩り、明治の廃刀令、占領軍による武装解除)を取り上げている。
    定説では豊臣秀吉により刀狩りが行われ民衆の武装解除が進められたと思われているが実態は使用の制限であり所持は許されていたという(狙いは身分制の確立と私闘の制限にあった)。本書によると武装解除が図られるのは占領政策によるところが大きかったという。刀に対する民衆の価値観や秀吉による公議の確立など、目から鱗であり大変面白かったです。

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    2012年01月03日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    秀吉の刀狩り以降、丸腰の庶民観が世の中で広く受け入れられている一方で、刀狩りに対する研究・検証はほとんどなされていなかった。その中で、著者は近世以降の日本の庶民の武装と政治権力の政策に注目し、日本の庶民は丸腰だったのか、日本の武器はどのように推移していったのかを明らかにしていく。
    研究材料というだけでなく、読み物として興味深いものがあると思います。

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    2011年05月26日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    ネタバレ

    [ 内容 ]


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    [ おすすめ度 ]

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2011年05月11日
  • 城と隠物の戦国誌

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    戦国期、戦地に住む人々が危機を前にどのような行動をとったのかについての研究はまだ少ない。
    この本は村の城研究の第一人者である著者による村の危機管理研究の現段階におけるまとめである。
    中世城郭構造を再検証し避難民の収容がいかに城主たちにとって重大なテーマであったのかを指摘し、戦地の住民たちが大事な資産を守るために行った隠物・預物の習俗を各地の発掘結果、多数の文献から読み解く。
    さらにはそうした緊急時の対応が多くの近隣の村々との間の情報ネットワークを通じて行われていた形跡まで存在する。
    生きた戦国社会を再現するには支配者たちの歴史を知るだけでは不十分であって、こうした時代を生きた民衆の姿に目を向け

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    2010年03月28日
  • 刀狩り 武器を封印した民衆

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    鉄砲伝来の時代から、日本人は銃に対するためらいがあったらしい。
    銃社会にならなかったのは、統治者による配慮よりも民衆側からの配慮が強かったかもしれないという考察の本

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    2009年10月04日
  • 戦国の作法 村の紛争解決

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    藤木先生の著作を読むのは、大学生ぶりか。

    戦国時代の法や自治権の大家。

    戦国時代を勉強したいと思うなら、藤木先生の著作は外せない。

    このコロナ禍で藤木先生が亡くなられたとのこと。

    残念である。合掌。

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    2021年12月19日