稲生平太郎のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
悪夢に似た光景。
ラジオドラマ、青春アドベンチャーを聞いて初めて知ったお話です。ラジオの最終回を聞いたあと、原作小説を読みました。
はじめの方はほとんど普通の日常で、見世物小屋で見た地下への階段が気になる、というくらいでしたが、そこから徐々に非日常が忍び寄ってきます。おかしくなった友達、まともだと思っていた人が怖い人かもしれないという気づき、そして終盤の夢か現実かわからない光景の数々。。。
脈絡のなさや、原因不明の恐怖のような感覚が、悪夢を見た時の感覚そのもので、凄いと思いました。
すっきりとは終わりません。不気味な余韻を引きずりながら、後味の悪いまま終わってしまいますので、人を選ぶかもしれませんが、あの -
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人はなぜUFOや宇宙人を見るのか。
著者は実際の報告事例を丁寧に解きほぐし、アブダクション、黒衣の男、UFOカルトなど現代社会に怪しくうごめくオカルト事例を分析してゆく。
妖精伝説などとの類似性を引きつつ、その時代のオカルト的言説が生まれ、伝播してゆく背景が明快に解き明かされていく過程は爽快。
しかし一方、事例から余計な言説の尾鰭が剥ぎ取られていくことで、そこにはどうしても既知の概念では説明できない何かが残る…そう、我々の知らない「何か」が空を飛んでいるのでは?
というのが著者の見解。なんだこれは。
泥沼のようなジャンルに果敢に挑み、デタラメと切って捨てられるような資料にも誠実に向き合った一 -
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試し読み
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出版社がマイナーで、相当長い間日の目を見なかった作品だったと聞いたけれど。それはあまりにもったいない話。角川スニーカーで復刊されたのは実に喜ぶべきこと。
水族館は、とても素敵。だけれども夜の水族館(もちろん営業時間外)となると、話は別。異形のものがうごめいているイメージがして、ひどく幻想的だけれどもそれ以上に恐ろしい。さらにカメラ・オブスキュラだのこっくりさんだの霊界ラジオだのとホラー要素がこれでもかと絡み、予想通りの惨劇が起こる。とはいえあまりに静かなその雰囲気に、恐怖におののくよりは陶酔するばかり。たしかに「伝説」になりうる作品かも。 -
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
ネタバレUFO関係では知らぬものがない伝説の本。砕けた口調の読みやすい本でありながら、科学的なスタンスをちゃんと保ち、巻末にちゃんとUFO本の書誌を用意しているという意味でできがいい本。最初にUFOと妖精などの小さい人々、怪物などの目撃談を交互に提示し両者の区別がつかず、発光現象、拉致などのポイントが共通していることから、体験者の文化的フィルターで妖精に見えたり宇宙人に見えたりしているだけに過ぎない可能性を提示する。
続いてMIBや宇宙人の東洋人的特徴に見られる人種差別観などが紹介され、アメリカをやわらか目の民俗学的、社会心理学的な視点で論じた内容になっている。 -
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一見、ごく青臭い学園青春ジュブナイル・ホラー風の展開でスタートするこの作品だが、そこで軽い評価を下してはいけない。作品にちりばめられた黒魔術的オカルティズムの底知れない悪夢世界が結末には待ち受けている。アクアリウムの底に眠るモノ、それに飲み込まれる主人公。クトゥルー神話譚を彷彿とさせるような現実を一皮剥いたところに出現する異次元恐怖が光る一冊。
それゆえに謎の真相を明瞭にしていないのがこの作品の好悪を分ける事になりそうだが、地下暗黒の異界感覚の実体のない朦朧とした描写の連続には肌に迫るただならぬものを感じさせる。
再刊であるこのスニーカー文庫版は、平成ライトノベル的な作品イメージのフィルタリン -
Posted by ブクログ
(注意)このレビューはネタバレを含んでいるかもです。ごめんなさい。
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本書はあちこちに知的なしかけがしてある。英語のアナグラムを説明しているあたりは、本職の英文学教授っぽいし、戦中に弾圧された「白神教」のカリスマ教祖「出門鬼三郎」=デーモン「鬼」三郎=大本教の出口王仁三郎というシャレや蛇神が地の(あるいは地に囚われた)神であるという設定もまた宗教学っぽい。それ以外にも、多佳子と英子の対決場面(というか多佳子の妄想かも知れない場面)での心 -
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試し読み
Posted by ブクログ
UFOが大好きです。子供のころは現象そのものを不思議がってましたが、いい歳になってからは(当たり前ですが)なんでこんなものを見てしまうんだろう?という、社会的・文化的コンテクストの在り様のほうが興味の中心です。
そんな僕にはピープルズ著「人類はなぜUFOと遭遇するのか」が究極の一冊ですが(絶版なのが惜しい)、日本人にも面白い人がいました。UFO関連事象を真っ向から捉え、妖精譚や現代ストレス、レイシズムなどと関連付ける第1部はしびれるほど面白い。一方でオカルト方面に一気に舵を切る第2部以降には最後までのめり込めず、流し読みで終了。他にも面白いUFO社会学な本、ないかなあ -
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昔のnhkラジオより。
これは最初、ラジオドラマとして聞いた。
時間帯は23時前の15分間で、その前の枠はクラシック。
静謐で湿った管弦楽により冷やかさを増した深夜のひとりぼっちの部屋で、ノイズの多かった古いステレオから流れるはホラードラマ。
一人部屋の、背中の後ろが、それを聴いている間妙に気になったのを思い出す。
内容としては、ミステリ・ロジック専のわたしとしては到底受け入れられない(もとよりこういう作品です。というのは承知の上で言いますが…)
ただし、水と異形はえらく相性がいい。物語のすじそのものというより、文章からにじみ出るおどろおどろしさに引き込まれてしまった。 -
Posted by ブクログ
この本を買ったのはいつのことだったか。実はどこに行ったか分からなくなって、手元にはないんですけど。 「得体の知れない怖さ」というのを感じられる本だった。全然関係ないのに、クトゥルーっぽさを感じちゃうくらい。ラヴクラフトが書いてた頃のクトゥルーってのはこういう「怖さ」を表現する物だったんじゃないかなあ。 脱線。なにぶん古い本なんですが、不思議と古さを感じさせない本です。描かれている物は具体的なのに、なぜかそこから受ける感じは「学校の怪談」に見られるような一般化された、抽象的なイメージ。ラストがハッピーエンドじゃない上、わけわからない電波なので消化不良起こすかもしれませんが、ホラーとしては結構面