あらすじ
「すべてを覚えている」理絵はそういった。
でも、僕たちはすべてを覚えていることなどできない。
すべては消えていく、墜ちていく──
僕が巻き込まれた、数千億もの金が動くという闇金融の世界。その暗がりから朧に立ち現れてくる、チョコレート・ケーキ、かみのけ座、殺人、奇妙な機械……触れてはいけないものによって優しく、そして残酷に侵食されていく現実の中で、僕がついに見出す“本当の物語”とは?鬼才・稲生平太郎が放つ究極の幻想ミステリ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これはいいですね。何も分からないが、現実の理解できる世界に裂け目ができて、その向こうに広がるまったく未知で不可解な世界を垣間見る、そういった感覚を味わえる。こういうのをもっとください。
Posted by ブクログ
『入り混じった記憶の中で、彷徨い続ける』
個々の出来事は鮮明に語られるが、出来事同士の繋がりは不鮮明で、所々、現実離れした出来事が起きるため、全体を通して何が事実で何が夢なのか、最後までわからなかった。なんとも不思議なミステリーでした!
Posted by ブクログ
編集プロダクションに勤務する島津伶は、ある会社の社史を編集中、そこに登場する人物の死亡記事を目にするのだが……。
M資金や永久機関など、断片的なキーワードのみが与えられ、その核心は明示されない不可解な存在に日常が浸食されてゆく描写が秀逸。複雑な入れ子構造もあいまって、その不安定な酩酊感にゾクゾクさせられる。
言葉では語り得ぬ何ものかについて語ろうと挑むかのような幻想小説。
Posted by ブクログ
稲生さんの作品を読むのはこれで2作目ですが、海にドボーンと落とされたような、宇宙にドスーンと打ち上げられたような、そんな不安感に襲われます。
なんや知らんが、怖い。